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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第四章:オーザンガール編
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第二十三録:モースリンガーへ 三節「ノックアウト」

残る問題は甲虫の魔物。

強くは蹴ったが死に至るほどじゃない。

体制を整えると俺の方へ向く

虫特有の感情のない瞳が向けられた。

背中の硬い外皮を開き羽根を露出

高速で羽ばたかせその巨体が浮き上がる。

上空へ舞い上がる魔物

そのまま逃げたかに思われたが旋回して俺に向かってくる。


「…なるほど、受けてたってやる」

戯れだ、自然と口角が上がる。

両足を開きどっしりと構えた

魔物とはまだ距離はある、しかし魔物は段々と加速してゆく。

そして…ついにトップスピードなり俺の眼前に迫る、だが──

「悪いな、もっと速くてもっと強いやつを知ってんだよ」

それこそ雷の様に早いやつをな。

突進してきた魔物のツノを右脇に抱える

数メートル後退したのち突進を止めた。


「おぅら!!」

俺はツノを抱えたまま魔物を持ち上げた

魔物は焦りを見せ脚をばたつかせ羽根を震わせる

俺はそんな抵抗を無視してバックドロップを決めた。

ズンッ!魔物は地面に激突

流石は甲虫なだけはある、堅牢な外皮は傷がつかなかった。

しかし内部はそうもいかない、ダメージがある

魔物は裏返ったまま痙攣するばかりで意識がブラックアウト。


「お前様〜!」

夜天羅たちが小走りでこちらへ向かってきた。

…もしかしたら俺はお叱りを

受けるかもしれない、夜天羅は山育ちだ。

そういう自然の掟みたいものには厳しいかもしれない

近づいてくる夜天羅に俺は覚悟をする

「お前様!お疲れ様なんじゃ!」

「…あれ?」

叱られると思っていたが夜天羅から掛けれた言葉は

俺へのねぎらいだった…意表をつかれて困惑する。


「どうしたんじゃ?」

にゃん?

「?」

夜天羅、コイスケ、ドロシー、みんなが俺の反応に首を傾げた。

「いやぁ…夜天羅にはちょっと怒られると

 思ったからさ、ほら自然の厳しさ?みたいな」

「…大丈夫じゃよ!ふふ、お前様は可愛いのう」

夜天羅はそう言ってそのまま抱きついてきた

…変に深読みしてしまい恥ずかしくなる。


「しかし…この魔物どうしたもんかのう」

「放置…な訳にも行かないしなぁ、森まで運んでいくか?」

「そうじゃな…無闇に殺めることもないのじゃ」

俺たちはきた道を引き返して森の適当な場所に魔物を放した。

そうして村へ到着したのは夜が始まる時間

日が暮れ月が顔を出し始めていた。


村の名は、エルザガンダ。

案内板の地図で村の宿泊施設を確認し向かう

着いた場所は大きな古民家の様な建物。

扉を開き入店する、受付には誰もおらず呼び鈴に

手を伸ばそうとしたらパタパタと

受付カウンターから軽い床をする足音が聞こえる。

ドアが開き現れたのは女性。


「は〜い、お待たせ致しました〜」

30代後半だろうか、優しそうな顔をした

女性はこちらへ笑顔を向ける。

「宿泊したいのですが…空き部屋はありますか?」

「はい、空いていおりますよ〜何泊のご予定ですか?」

「そうですね…一先ず2日でお願いします」

当初の予定とは違うが

少し用事ができてしまった…まぁ、俺のせいだが。


「では料金はこれで─」

宿泊料金、支払い、部屋の鍵の受け渡しなどを

済ませて部屋へ向かう。

荷物を置いて羽織と上着を脱ぎ椅子に掛けた。

コイスケは足をドロシーは車輪を

タオルで汚れを取ると一直線にベッドへ向かった。

「ふわっふわ!」

にゃんにゃー…

各々が楽な体制でリラックスを始めた。


「のうお前様、なんで2日も泊まるんじゃ?」

「あぁ…ごめん先に言えばよかった

 あの魔物たちの動向が気になってな…」

「なんか調べるのかの?」

「そう、村の近くで暴れてたろ?そんで俺がこう間に

 入ってたからそれで村に被害が出たら嫌だからさ…」

せめてあの魔物がどういう魔物なのか

調べて凶暴なのかどうかを知る必要がある。

ギルドで依頼が出されてる可能性もあるかもしれない。


「なるほどのう…わかったのじゃ!」

「ごめんな、俺のせいで」

「いいんじゃいいんじゃ」

ススッと静かに寄ってきた夜天羅は

俺に抱きついてきてキスをしてくる。

俺は彼女を受け入れて甘い時間を過ごす。

ンニィ…

「???」

コイスケは横にいるドロシーのディスプレイを

塞ぎ二人を見えない様にする。

こうして…宿で一夜を過ごし夜が明けてゆく。


──翌日、晴れた早朝の空気を感じながら起床

ベッドから出て身支度をする。

そうこうしていると夜天羅も起きてくる。

「ふぁ…おはようなんじゃ」

「あぁおはよう」

眠そうに目を擦りながら洗面台へ歩いてゆく夜天羅

ベッドではコイスケとドロシーがくっついて未だ眠っている。

俺はその様子を椅子に座ってぼーとみていた。

すると夜天羅が洗面台から姿を現した

さっきとは違いスッキリとした爽やかな顔をしていた。

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