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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第三章:アルカラド編
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第二十二録:問題提起 四節「告解」

カツ…カツ…天然石でできた床を何者かが

歩く音だけが静かな教会内に響く。

ここはアルカラドのリフロディア教の教会

昼間だというのに誰も居ない礼拝堂

そこはステンドグラスの光が辺りを薄く照らばかり。

フードを被り男女どちらかわからない容姿の者が懺悔室の扉を開けた。

「…作戦は?」

懺悔室の反対にはすでに人がいた

だがそれは神父ではない、低い男の声。


「…失敗しました、まさか聖痕を看破されるとは

 思いもしませんでした、申し訳ありません」

安心したのかフードをめくると現れた顔

その顔はディープホワイトにいた4等級のリーダーだった。

「異端者まで使ったというのに…なぜ看破された?」

懺悔室の向こうからピリついた空気が流れてくる

その声が静かになぜを問う。

「…1等級、ウルスタン率いるメンバーにはハイエンドエルフがいました。」


「なるほど…彼らの実力を見誤った

 我々の落ち度ですね、仕方がありません。」

「寛大な慈悲に感謝いたします、レニ様」

リーダーの男が頭を下げて祈りの姿勢を取った

神父側の男、戒罰執行隊のレニは再び男へ問う

「それで…ヤラム、魔王ノ宿木の動向は?」

「…街に帰った後はこれといって…

 ですが先ほど動きがあったようでどうやら

 ギルドの貸し個室でウルスタンたちと集まっているようです」


「今現在か?」

「はい、詳細は後ほど…ただ、盗聴がうまくいかないようで

 断片的な情報なる可能性が高いと伺っております。」

「…そうか、わかった、下がっていいぞ、引き続き監視を頼む。」

「了解、リフロディア様のご加護があらんこと」

「……………」

ガチャ…リーダーの男、ヤラムが懺悔室から退室

石床を歩く音が遠のいてゆく。

一人になったレニは懺悔室で

魔王ノ宿木と異端者の資料を改めて目を通す。


「異端者ヨリツグ…異邦の分際で

 なぜこうも強い1等級と協力したからといって

 不完全な堕天使に神代の高性能ゴーレムの撃破…」

パラパラと資料をめくる、記されている

それはギルドから秘密裏に入手した物。

「異端者同士で消えてくれればよかったものを…

 これでは他の異端者では手が出せない」


今回の作戦は異端者シモダとヨリツグを

殺し合わせるつもりだった…

そのためにシモダには聖痕で自爆まで命じていた。

まさか一撃で意識を刈り取り保険でヤラムを送った

しかしヤラムでは手に負えない化け物ではないか!

それに…我々は情報で一歩遅れていたが今は追いついた、だが──


「どうしたものか…」

実際問題…手が出せない。

我々、ギルバート様の戒罰執行隊が

総出で襲撃をすればチャンスはある。

しかしそれをすれば国に…

あのゴルドーに知られてしまうそうなれば聖人指定の剥奪に

加えて近衛騎士団"白金の獅子"も敵に回すことになる…。

歯がゆいが今は監視と嫌がらせ程度のことしかできることがない。

その監視でさえ魔王ノ宿木の探知能力の高さから思うようにできていない。

街ならまだしも外の人混みなどの雑音がない

環境では半径800メートルは近づけはしない。


「今は静観するべき…か」

資料を記憶に刻み、魔術を使用して跡形もなく紙を燃やす。

懺悔室から退室し広い礼拝堂に出る。

礼拝堂の奥にある祭壇には

女神リフロディアの純白の石像

背面には神々しいステンドグラスが石像を照らす。


「…………」

レニはその石像を眺める…その視線には失望…

それに紛れた怒りを感じさせる。

「神…か、異端者を呼び込んで何が神か…

 もうすぐ、もうすぐ貴女様の時代は終わります」

そう吐き捨て、踵を返し礼拝堂の

入り口へ向かう、扉の取手に手を掛けた。

「……次はギルバート様の時代が到来する。」

ギィ……礼拝堂の扉が開かれレニが出てゆく。

ついに誰もいなくなった礼拝堂には寂しく光が差すばかりだった。

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