第二十一録:罪の跡 三節「あの子のために」
今の感情は置いておき目の前の現実を直視する
俺たちの眼前にいるのロボットはドロシーと
名乗る…不可解、ドロシーは亡くなったはず。
「?」
不思議そうに俺たちを見つめる。
再び、レーヴァテインから音声が発せられる。
[この録音が流れていると言う事は無事に地上に
脱出できたのですね…そしてドロシーを受け取ってくださった」
流れるエミリーの声、俺たちは静かに聞き入る
しかし…一人そうではなかった。
「エミリー!エミリー!」
夜天羅に抱かれたドロシーが嬉しそうに声を弾ませ
腕から飛び出しレーヴァテインへ駆け寄るその様子はAIのじゃない。
魂がある…これでこの子はエミリーが再現した
複製などではない事がわかる…わかってしまった。
胸が掻きむしられる様な激情が渦巻く。
[…ドロシー、よく、よく聞いてね?
私もニックも、もう…貴女と過ごす事はできないの」
「エミリー!どうして!ドロシーは元気だよ!」
夜天羅のその目には涙が溢れていた俺は思わず方を抱いた
静かに夜天羅の影から現れたコイスケも彼女へ寄り添う
ブランカたちも同じだ、だが二人の
邪魔をしにいように小さく嗚咽を漏らすばかり。
[…そうね、でもできないの
だからその人たちと旅をしなさいドロシー]
「ど、どうして!ドロシー!
エミリーとニックと一緒にいたいよ!?」
[…貴女は世界を見て、くるのよ、
そう…すればまた私たちは巡り合うわ]
「エミリー!エミリー?」
[都市防衛ユニット、レーヴァテインの
権限移行が受理しました。現時点を持ってエミリーから
ドロシーに権限を移行、なお権限制限のため武装、
バトルモードは使用不可になります。権限解放は順次予定。]
[ねぇ!エミリー!エミリー!」
長い機械的な冷たいアナウンスが響く。
不安そうにするドロシー…
必死に名を呼ぶその姿は幼な子そのもの。
エミリーとニックはドロシーにとっては
両親そのもの…あの子は急にこの広く理不尽な世界に放り投げられた。
夜天羅は歩き出し、ドロシーに近づく膝をつき優しく…抱きしめた。
「あ…」
「エミリーとニックは…遠い、遠い星に行ってしまったんじゃ」
「エミリー!なんでドロシーも─」
「お主を守る為じゃ…」
「だから…ドロシーが一人でも行ける様にわしと一緒に行かんか?」
夜天羅は涙の跡が残る顔で笑顔をつくる。
ドロシーと接するのに罪悪感はいらない
それは蟠りになる。幼い子ほど感情の機微に鋭い
「ドロシー、ドロシーは…」
そう簡単に判断できるものではない。
指標となる存在の欠如、ドロシーはまるで
世界に1人になった様な感覚だろう…
だが俺たちは声をかけない、ドロシーの意志を
最初の意思表示を邪魔してはいけない。
静かに、その返答を待つ。
「ドロシー…いく!そうしたほうが2人が喜ぶとおもうから!!」
まだ、生と死もしらぬドロシーの選択。
いつか…厳しい現実に立ち向かう時がくる
俺は…俺と夜天羅はそれを支えなくても1人
で立ち向かえる様にする…そう、決めた。
「ドロシー、俺は縁継だよろしく」
近づき自己紹介をする、続いて夜天羅もだ。
「わしは夜天羅じゃ、こっちの子はコイスケじゃ」
んにゃーん…にゃ!!
「よろしく!よろしく!」
[──条件を達成しました
レーヴァテインの操縦が可能になります。]
レーヴァテインは動き出し戦闘機形態に移行。
なるほど…ドロシーの成長に合わせて
機能を開放していく仕様になっているのか。
「さて!しんみりした空気はおしまいさ!」
「ウル…すまないな相談もなく決めてしまって」
「いいさ!これはドロシーの選択さ!」
「そうだな…」
「ヤテンラ!この人誰!」
ウルたちは順にエミリーへ自己紹介をしていく
「おーい!覡!?」
こっちに向かってきたのは霜田たち一行
先に脱出していたがレーヴァテインのほうが早かったんだろう。
「な、何がどうなったんだよ!?」
「…街が沈んだ、もう…誰も手を出せない。
お前らも早く撤退しろよ、俺たちはもう行く。」
[レーヴァテイン、待機モードに移行します]
アナウンスが流れると機体はゆっくりと上昇、
一定の高さになると一緒にして遥か上空に消えた
それを見届けた俺たちは霜田たちに背を向けと歩き出す。
「あっ!おい!ちょっと待てよ!」
後ろから霜田の声と気配がする。
俺は振り返って伸ばされた霜田の手を掴んだ
「…なぜ俺じゃなく夜天羅の肩を掴もうとする」
霜田の行動に不自然さを感じる、気になる事が
あって呼び止め俺の肩に手を置くなら理解できる
それをわざわざ俺の前を歩いていた夜天羅の方を掴もうとする。
「わし?」
夜天羅が振り返った、その時…風で流れる髪に霜田の指先が触れた。
ピコン、ゲームの様な効果音が鳴る。
[能力を模倣しました、能力:魔王ノ宿S級縺
ョ轤コ縲∬?蜉帙?蜉」蛹悶↓豕ィ諢上@縺ヲ縺上□縺輔>]
能力のコピー!?夜天羅のをだと!?
訳のわからないアナウンスに本能的に危機を察知した
俺は薄ら笑いを浮かべる霜田の頭を殴る
声を上げる間もなく地面に沈み意識をなくした。
「ちょ!?お、お前様!?」
「言いたい事はわかる、でもコイツは
夜天羅の能力…恐らく邪気をコピー、模倣した。」
「!?こやつ…生きとる…よな?」
「そこは安心してくれ」
正直…コピーできたのかも怪しい、アナウンスのバグは
どう考えてもヤバい意識は奪ったが起きたらどうなるかわからない。
「…なるほどね!それで強制的にコピーを
辞めさせるために意識を奪った訳だね!」




