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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第三章:アルカラド編
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第二十一録:罪の跡 二節「罰光」

「この街は崩壊します、今は私たちが

 何とか街のシステムを使い現状を保っています。」

「ならなおさら早く逃げますわよ!」

レミリアの言葉にエミリーは静かに首を左右に振る

拒否…隣で立っていたニックから煙が上がり膝をつく

「ニック!お前!」

「うるさいぞ人間」


崩壊を止めるためのシステム処理の

負荷が身体に影響を与え始めている。

エミリーはニックを支える、そのエミリー

にすら頭部の液晶にノイズが走りはじめている。

「なんで!ここまできてそれはないでしょ!?」

「だね…ニック、君は生きて向き合うべきだ」

そうだ、ウルの言う通りだこんなところで死なせてたまるものか。


俺たちが動き出したその時──

「うおっ!?」

「っ!」

突如一人でに起動したレーヴァテインが

俺たち全員を抱えて飛び始める、振り解けない!

今し方、全力の戦闘をした…余力がない!

「エミリー!ニック!」

夜天羅が叫ぶ、しかしその声は虚しく

空に消える…ザザッ、ノイズがレーヴァテインから聞こえる。


[ありがとう…ございます、みなさんのおかげで

私は目的を果たせました…思い残すことはもう…」

「まだ!あるだろ!?」

[安心してください、他の方々は事前に避難をされています。]

俺の言葉に反応がない、一方的にエミリーの言葉を受信している。

街が、エミリーとニックが遠ざかってゆく

どうしようもない状況を白い街が

消えてゆくのをただただ見守ることしかできない、歯がゆい


──街が崩れてゆく。

私は彼らにレーヴァテインを

託して崩れゆく街から脱出をさせた。

私は座り、ニックの頭を膝に置く。

彼は…私がシステムを起動した時それを

察知して私が潰れてしまわない様に庇った。

その時、私は彼があの頃のニックが戻ってきた気がした。


「…結局、僕は何も成せなかった挙句

 僕のせいでドロシーを死なせ、君も巻き込んでしまった…」

「貴方が提案しなければドロシーとの

 あの日々はあり得なかったわ、私は…いいのよ。」

死ぬのは怖い…でもニックを置いていくのは

それ以上に嫌だ、あぁ、そっかこれが──

「ニック、実はね──」


レーヴァテインは飛翔し渓谷から地上に上がった

俺たちを抱えたまま静かに着地、腕から解放される

「クソ!!」

行き場のない怒りを地面にぶつけた

救えなかった!俺の力ならできたはずだ!

救えたはずの命がこの手から滑り落ちた

自分が信じていたものが

ガラガラと崩れる様な虚無感が襲う。

「ままならないものだね…」

そう呟くウル、平静を装っているが強く握られ

震える拳は自身の不甲斐なさを悔いている様だ


重たい空気、暗い雰囲気、全員が

後悔に苛まれていた…そんな中。

夜天羅が慌てて俺の元へ来た。

「おま、お前様!」

「夜天羅…どうし──」

彼女のほうへ視線を向けた

俺は夜天羅が両手で抱えた者に驚く。

「私はドロシー!!」 

夜天羅の腕の中のロボットはそう言って

ディスプレイに笑顔を作り手を振る。


「─ドロシーは生きているわ」

「なん…だっ…て?、そんな!そんなはずは!」

「貴方を止めた後に探したわ…

 せめて弔ってあげたかったの…」

「そしたら…奇跡ね、消えかけの魂で

 生きていたドロシーが居たわ

 あの子は必死に生きようとしていた。

 必死で繋ぎ止めたわ、自分自身を賭して…

 回復するのに時間は掛かったちゃったけどね」



「そんな!…僕は!じゃあ!」

「私も貴方も…あの頃は無垢だったのよ…

 疑う事を知らなかった。そう、プログラムされていた」

ニックにこの事を伏せていた理由

怒りに支配された彼に言っても

信じてはくれないだろう、むしろ怒りを加速させる。

だから彼を止めた。


「私は彼等を信頼してドロシーを託したわ…ちょっと強引だったけどね」

声を詰まらせるニック、それは次第に嗚咽へと変わってゆく

「あぁ!クソ!こんな!こんな身体じゃ、もう涙も流せない!!」

彼は両手で顔を覆う、無機質な顔とは真反対の感情…

これが、これが罰、あまりにも眩しく目が眩むほどの希望と言う名の罰。

「僕は!なんだってこんな!死なせることしかできなかった!」


「貴方が死なら私は生、私たちは

 離れるべきじゃなかったの…あの時、私が離れてしま─」

「違う!断じてエミリーのせいなんかじゃない!」

「私はもう貴方から離れないわ…貴方の罪も罰も

 一緒に背負っていきたい、あぁ、これが──」

私は彼を抱きしめて呟いた。

街が崩壊する轟音の中、私と彼だけが静寂に包まれた。


「──僕もだ」

プツンッ……二人のヒューマノイドの

電源が落ちた、すると崩壊が加速する。

街が瓦礫の山になってゆきついには全てが地中に沈んでゆく…

もはや誰も触れられない、埋もれた街。

悲劇のヒューマノイド、その心を知るものはもう

誰もいない…願わくば魂の輪廻の果ての再会を──

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