第二十録:vs.グングニル 四節「神殺しの牙」
[キャァァアァアァアァ!!]
電流による機体と搭乗者、両方への甚大なダメージ。
エミリー、レーヴァテイン共にショートを起こしダウン。
煙を上げて力なく膝立ちで地面に鎮座する
それを見下ろすニック。
[そのまま…しばらく眠っていてくれ
エミリーすぐに終わ──]
「ハハ!なにを終わらすんだい?」
背後からの突撃、反応が間に合わずに直撃。
グングニルの背面に凄まじい衝撃が走る
[ッ!この程度で、なぜ!?]
ニックは驚愕した、先の突撃は確かに高い攻撃力を
有するしかし神聖防御を破るほどではないなのに
グングニルの追加ユニットドヴェルグγの
右エネルギータンクと装甲が貫かれた。
(神聖防御が剥がされた!?しかも修復しないだと!?)
自身の現状に困惑しながらも損傷部をパージ
適切な判断を下す。
[うしろかァ!!!]
敵の気配を察知して内蔵ブレードを展開、奇襲に振るう、が──
ブレードが切られ破壊される。
[なッ!?]
「…気をつけろよ、もう神聖防御は役に立たないぜ?」
[貴様らか!?]
地面に降り立つ二人の男、縁継とウル。
「すごいな…この魔法」
「ハハ!そうだろう!そうだろう!」
得意げなウル、自分の恋人たちが
誇らしいのだろうな。気持ちはよくわかる。
[何をした貴様ら!!]
怒りと混乱をぶつける様な怒号。
自分のアドバンテージが剥がれ、ダメージがはいる状態…
今までの様な防御を無視した無法はできない、慎重な行動が要求される。
…それは多大なストレスだろう。
(ただの人間どもが神聖防御を破るなど…)
(ただの…人間…?)
ニックは違和感を覚え記憶を呼び起こす。
白狼族…神聖防御の破壊、導き出された答えは
[…神殺しの牙か!?]
「ハハ!ご名答!僕の愛しいブランカの能力さ」
神聖防御の原理は至極単純、受けた攻撃を計算し
同じ出力で相殺…超高性能な魔法版爆発反応装甲
だからその計算をオーバーすれば破壊ができる。
なら破壊できなければ?
そこで神殺しの牙だ、これを付与された者の
攻撃には神聖防御を瞬時に狂わしてしまう。
本来ならブランカの生まれついての異能。
他者に付与などできない、ブランカ単体ならだ
今、仲間に魔法のスペシャリストがいる。
──エミリーとニックが戦闘を
繰り広げている最中、俺たちは準備を始める。
「試したい事っていうのはねヤテンラの魔力を使って
ブランカとレミリアの魔法の持続力を底上げしたいの」
「わ、わしか!?そんなことが可能なんかの?」
ネローズからの提案に驚く。
俺と夜天羅は垂れ流されていた
邪気を害のある物としてしか認識していない。
そんなものを使って大丈夫かという心配が先に出てくる。
「そうね…そのまま使うなら危ないかもね
でもここには魔法のスペシャリストと
魂に詳しい半悪魔がいるのよ?」
なんという説得力、彼女たち二人の実力は疑う余地がない。
しかし…最終的に判断を下すのは夜天羅だ
抵抗はあるだろう、生まれてから苦しめらていた物を
他者に委ねる事をそれで傷ついてしまうかもしれない事。
夜天羅が口を開く、その答えは─
「…おぬしら二人を信用するのじゃ
それで勝てるならなおさらじゃ!」
「わかりましたわ…成功を約束しますわ」
「じゃあ!ぎゃふんと言わしてやろうー!!」
張り切るブランカ、この魔法の主軸だ気合も入るだろうな。
「でさ、具体的にどんな魔法なんだ?」
「そうですわね、堕天使戦でも使用しましたが
私の魔法"グリムガーデン"ですの。
端的に言えば魔法の主軸…今回はブランカ
そのブランカが持ち得る能力を
解析、魔法として再編集して発動させる魔法ですわ」
…話を聞くだけでもかなりの魔法だ。
堕天使戦の時は主軸がウルだったわけか。
「デメリットもありますわ…わたくしに命を預ける事
魔法発動時にわたくしが死ねば主軸も死んでしまう」
一蓮托生というわけか…ハイリスクハイリターンな魔法だ
その魔法を何の躊躇もなく使えている辺りに
ウルたちの間の信頼関係が見える。
「ブランカ主軸のグリムガーデンは
特殊も特殊だから持続時間30秒。付与対象が
2人限定そこでヤテンラの底無しの魔力の出番よ」
「私が魂の様子を確認しつつ魔力を供給
レミリアとブランカは魔法の操作に集中」
「で、僕とヨリツグでエミリーに加勢さ!」
「作戦は以上になりますわ!みなさんわたくしのそばへ!」
ヤテンラ、レミリア、ネローズ
そして主軸のブランカを加えて魔方陣が展開された。
「グリムガーデン、著者ブランカを閲覧開始」
「いっくよー!!」
「"ライカの願い星"発動!」
淡い…光が俺たちの周囲を漂う
神殺しの牙なんて名前に
似つかわしくない綺麗で幻想的な光景。
次第に光は俺の刀とウルの槍に収束された
「さぁ!二人とも一発かましてやってきて!」
「了解!」
ウルと同時に言葉が出る
一気に駆け出し目標のグングニルの元へ向かう。




