第二十録:vs.グングニル 三節「魂の残滓」
どうしようか考えていたその時。
耳鳴りの様なつんざく飛行音が聞こえてくる。
上を見上げると──
「黒い…竜?」
レミリアが呟く、現れたのはグングニルとは
対極の色をした戦闘機が一直線にグングニルの元へ向かう。
形はグングニルとあまり変わらないが黒い方が少し小さい。
黒い機体は変形し人形に移行してグングニルの対面に立つ。
[きたか…エミリー…]
[ニック…お願いもう、やめて!]
[…だめだ、人間は滅ぼす。邪魔をするなら今度は俺が君を眠らせる]
グングニルは銃口を向ける
エミリーの淡い願いは無慈悲に拒否された。
[なら…なら、私も覚悟を決めます!]
エミリーは牽制用の機銃を発砲。
機人による戦闘が始まった。
「や!みんな、無事かい?」
後ろから聞き覚えのある声が
二つ聞こえてきたそれに振り向くと。
「ウル!」
「ブランカ!」
レミリア、ネローズが二人に近づく。
互いの無事を確認し合う。
「ヨリツグもヤテンラも無事でなによりだね!」
「あぁなんとかな」
「それより、エミリーに加勢するか?」
「全員でならなんとかなるんじゃないかのう?」
俺一人ならキツイがウル、ブランカを
加えてエミリーの援護に向かえば有利に立てる。
「いや!少しエミリーに引き付けてもらうよ!
僕たちはアイツに攻撃を通せる様にしよう!」
「可能なのか?」
「えぇ、わたくしとブランカの力を使えば可能ですわ」
「やるよー!!」
ふんふんと鼻を鳴らしやる気に満ち溢れたブランカ。
「それに加えて試したい事があるわ
説明するから準備して、いい?──」
ネローズが説明を始める。
───二体の戦闘機がドッグファイトを繰り広げる
空ではない場所広い街の上空とは言え四方に壁がある状態
精密な操作、人体が耐えることの出来ないGをもろともしない
縦横無尽の軌道は人類には成し得ない芸当。
[なぜ…人間の味方をする!]
[ニックこそ!なぜ辞めないの!?復讐はとうの昔に終わったじゃない!]
[…俺の!俺の怒りはアレだけで収まらない!
なぜ博士が死んだ!なぜドロシーは殺された!
答えは簡単だ、狂ったエゴに殺されたんだよ!そして!それは人の根源だ!!」
[だから根絶やしにすると!?]
[そうだ!あんな物を秘めている人類など滅ぼす以外に道はない!」
[ふざけないで!柏木博士はそうじゃなかったでしょう!?
そんな人さえ貴方は殺すの…いいえ殺したの!?]
[選別など無意味だ根源は時限爆弾の様に
いつ爆発するかわからない!ならその芽ごと摘むしかない」
グングニルから数十発のミサイルが発射される
エミリーは回避に専念しフレアを発射。
それでも執拗に追尾するミサイル。
[頑張って!行くわよ…レーヴァテイン!]
試作機、黒い竜レーヴァテイン。
まるで曲芸の様にしなやかで力強く
踊る様にミサイルを避け、機銃で追撃をする。
[…貴方をそこから引きずり下ろすわ]
[できるのらやってみるといい、異邦神の残滓エミリー]
[それは貴方もでしょう!]
レーヴァテインは人形へ変形し剣を振りかぶる
それをひらりと避けてグングニルも変形。
マシンガンが火を吹く。
一進一退の攻防、決定打を与えるには
互いのメインウェポンを当てるしかない。
対峙する二人、グングニルが罰光が発射
[ッ!!?]
間一髪で回避、しかし罰光は収まらない
発射状態を保ったままレーヴァテインへ。
変形しスピードで翻弄し避け続けるが罰光は一向に止まない。
(発射状態が長い!ドヴェルグγのせいね!)
逃げ続けるレーヴァテイン、極光を放つグングニル
気を抜けば一瞬で終わってしまう追いかけっこ。
(無闇に逃げないでくれ!エミリー…君を傷つけたくはない!
滅ぼすのはあの…あの醜悪な人間どもだけだ!!)
[クソ…当たらないか!]
(次弾チャージまで5分…エミリーはチャージ時間を知っている、仕掛けてくる!)
罰光が止み、定位置に戻す。
(次弾まで5分…アレを出すしかない!)
再度人形に変形したレーヴァテインはグングニルへ猛進する。
[ロスト・レクイエム発動]
レーヴァテインが手に持つ剣が展開、うなりをあげる。
スピードを活かして切り掛かるもグングニルは回避にのみ集中する。
(ロスト・レクイエム…罰光の様な単純な火力じゃない
搦手の極地!一度でもその刃を喰らえば強制的に
全システムがダウン、再起動も相手に強制設定されてしまう。)
ニックはその危険性を身を持って知っている
自然に剣へ意識がいくそれを見逃すエミリーではない。
グングニルの腕を掴みダメージを受ける前提の捨て身の補足、だが──
[…君ならそう来ると思ったよ]
[なっ!?]
グングニルの追加ユニット、ドヴェルグγは
すでにエミリーの知っている物ではない。
[ドヴェルグγ展開"トール"!!]
追加ユニットから短い避雷針の様なものが展開
パチパチと帯電していた。
[まずッ──]
レーヴァテインは腕を離そうとするも逆に掴まれてしまい
高電流がレーヴァテイン、エミリーに流れ込む。




