第十九録:与えらたのは─ 五節「記憶」
「あぁ!私はホワイトじゃない!エミリー!」
急に停止したかと思うと再起動した
ホワイト改めエミリー、俺たちは警戒をする。
あの文章は計画書だったのは
最初の一ページだけだった、あとは柏木博士の手記。
それも死に至るその直前までの全容が打ち込まれていた。
だから警戒をするこんな仕打ちを受けたエミリーが味方かわからない。
俺たちはエミリーの次の行動に注視する。
「……」
無言で立ち上がるエミリー
俺たちの方へ顔を向ける…その様子に悲哀を感じる。
「お願いです…彼を、ニックを、止めてる為に協力してください」
深く、頭を下げるエミリー。
俺たち全員の意思は決まっている。
「いいぜ、協力する」
「ハハ!当たり前じゃないか!」
「ありがとうございます!」
あんな手記を見せられて、あんな目に会ってなお
パートナーであるニックを止める為に行動したいと願うエミリー
例え今すぐにこの場から避難できたとしても俺たちは協力する道を選ぶ
「具体的にどうするんじゃ?探し出すかのう?」
「いえ…恐らくニックは出て来るはずです
今遠隔で戦える戦力ではあなた方には叶わない。」
「だから、彼自身が機体を操り現れるはずです」
「…その機体とやらなら俺たちに勝てる見込みがあると」
「はい、アレはこの街の防衛を担うはずだった物です」
この街の防衛を任せられほどの兵器
果たしてどれだけ強いのか想像すらつかない。
確実に大規模な戦闘になる事は確かだ。
「私はその機体のプロトタイプを所持、起動キーが内蔵されています。」
「プロトタイプ?それで抵抗できますの?」
レミリアの疑問はもっとものだ、通常なら試作品は劣る物だでも。
「疑問はわかります、試作機ですが性能は劣りません。
正式採用機が稼働後は新規武装開発のための試験機になる
予定だった為性能に差異はあまりありません、それに」
「試作機には特殊武装が施されています」
さらにエミリーは両方の機体の性能
武装の情報を俺たちに説明してくれる。
「ニックの機体の名は"グングニル・クレイドル"
武装は多岐に渡ります、今回何を装備して
来るかわかりませんが…
内蔵装備"罰光"に注意してください、それから─」
エミリーの説明を聞き俺たちは作戦を立てた
俺と夜天羅、ネローズ、レミリアはニックの足止め
ウル、ブランカ、はエミリーと機体の軌道に向かう。
「よし、作戦は決まったな」
「がんばろー!!」
「じゃあ─」
再び、サイレンが鳴り響きさらに都市全体が明るく照らされる。
暖かな光…どうやってか太陽光を
取り入れている様子だ、今まで暗く目が眩む。
サイレンが鳴り止むと今度は
甲高い耳鳴りの様な音が耳に入る、いや…これは!
俺はこの音に聞き覚えがあり上を見上げる。
目に映るのは超速で旋回した、まさに──
「鉄の龍!?いやゴーレム!?」
ネローズが驚く、ウル、ブランカ、レミリアもそれを最大限警戒する。
「違う!あれは俺の世界の戦闘機と呼ばれる兵器だ!!」
戦闘機からミサイルが放たれる
音速ので俺たちに向かってくるそれを夜天羅の弓が迎撃、空中で爆ぜる。
「作戦開始!」
「ハハ!了解だ!」
開戦の合図と共に俺たちは作戦開始。
ウル、ブランカ、エミリーが目的の場所へ向かう
敵は俺たちの意図がわかったのかウルを攻撃しようとする、が─
「させませんわ!」
炎の壁が立ち塞がり行く手を阻む。
急旋回し別の方向から追跡をするもネローズの魔術により阻止。
敵はホバリングしその場で滞空。
考える隙を与えない、俺は家屋を足場に駆け上がり
グングニルに接近、拳で地面に叩きつけようと振るう。
「っ!マジか!!」
機体を回転させて俺の拳を回避
さらに反撃する為にミサイルを発射。
刀を抜刀、信管を避けてミサイルを両断した
そのまま地面に着地。
全員に囲まれたグングニルは空中で再び停止
睨み合いが続く。
ニックは考えているだろう
どう逃げてウルたちを追いかければよいか。
さらに上に逃げたとしても魔術と正確無比な矢が機体下部
ミサイルなどを貫かれるなどどうすれば最善か、どうすれば最短かを。
[うっとおしいな…人風情が…]
機体から声が聞こえてくる、抑えているがイラつきが漏れている。
なら…煽ってやろう、相手から冷静な判断を奪い戦いを有利に持っていく。
「おいおい!人間四人も出し抜けないないなんて防衛の要が聞いて呆れるな!」
[…手加減をしてやっていると理解できていない様だな、人間。]
「はっ!言い訳だけは一丁前じゃないか!」
[囀るな、殺すぞ]
「やってみろよ! 木偶の坊!」
[!!?]
俺は瞬時にグングニルへ接近、ニックは反応が遅れる
振り上げた拳が機体前方のノーズ部分にクリーンヒット。
空中での制御を失いかけるも何とか制御を取り戻すも
高度は下がり、レミリア、ネローズに挟まれる。
「集中砲撃魔術"インフェルノレイ"」
「アマリリス遺本、断章"アトミックダスト"」
二人の最大火力を浴びせる
火柱が立ち上がりさらに黒い霧が辺りに霧散する。




