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異世界帰還録  作者: 夜縹 空継
第三章:アルカラド編
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第十九録:与えらたのは─ 四節「責任」

「そうだ…ドロシー!ドロシーはどこに!

 お願いだ!あの子だけは巻き込まないでくれ…」

カトレアの狂気に触れたニックは懇願するしかなかった

自分たちが亡き後にドロシーがどうなってしまうか。


だがカトレアから、目の前の悪魔から

告げられた一言に私もニックも言葉を失う。

「あぁ…あのロボね、もうスクラップにしてやったわよ

 今頃は廃棄場で圧縮でもされてるんじゃない?」

頭が真っ白になった、ケタケタと笑う人物が

何を言っているのか理解できない、したくもない

「…う、そだ」

「アハハハ!最期に感情が育っている様でよかったわ!」

「カトレア!貴女なんて事を!うっ!」

博士はふらつきデスクに手をつく出血がひどい


「あー!最高の気分よ!もうアンタたちの

 気持ち悪い家族ごっこを見ないで済むわ!」

カトレアは停止するニックの脇を抜けて扉へ向かう、が──

「キャァァァァ!?わた、私の指が!?」

無惨にも銃を持つ手の指がなくなり

血が吹き出ていた、これに博士が驚く。

ゆらりと幽鬼の様に立ち上がるニック

その手からポトリと2本の血濡れた指が地面に落ちる


「し、試験体002!?なんで!?ロボット三原則はどうしたのよ!」

ロボット三原則、人間への安全性、命令への服従、自己防衛。

これら三つを厳守する事をプログラムされている

しかしニックは今それを破った。

依然としてニックは沈黙したまま、直立不動

「カトレア…貴女はほんとうに愚かです

 ニックもエミリーも魂を持った人なんです」

「違う!コイツらは魂を育成するだけのただの道具だ!」


その時、外ではサイレンが鳴り響く、場は混乱を極めた。

「一体、な、なにが起こっているのよ!?」

痛みと恐怖でその場から動くことができない

カトレア、すると博士のデスクに置いているPCにもアラート表示。

"何者かに侵入されました、直ちに─"

表示が仕切る前に画面が切り替わる、写り込んでいたのはニックだった。


「ま、まさか!ハッキングしたのですか!

 この都市の電子網をたった数秒で!?」

博士が震える手でPCを操作するも受け付けない

立つのもしんどいのだろう博士は床に再び座る。

「あ、あり得ないわ!そんな機能一切積んでない!」

「いいえ…私たちは内臓させ育てましたよ」

「それは魂でしょう!?機械パーツは

 仕様上の限界を越えることはできないわ!!」

「だから彼らは人なのですよ」


「答えになってないわ!!」

絶叫、カトレアはこの現実を認めたくない。

目の前のロボットがした事を。

だが、現実は非常にも最悪の方向へ動き出す

「許さない…ドロシーを!エミリーを!

 博士を!傷つけたお前を!許さない!」

憎悪に支配されたニックはカトレアに向かいゆっくりと進んでゆく。


恐れ慄いたカトレアは扉へ一目散に向かうも

開かない、電子で制御された扉は開くも閉めるもニック次第。

徐々に迫る彼にカトレアの顔は恐怖で染まる

先ほどの怨嗟を撒き散らす様子は見る影もない

ニックは地面に落ちている銃を拾い握る。

それをカトレアに向けた。

「や、やめ─」

「ニック!やめなさ──」


パン!乾いた発砲音が虚しく響く

命乞いをしたカトレアも声で制止した博士だが

無慈悲にも頭部を撃ち抜かれた。

糸が切れた人形の様に崩れ落ちるカトレア。

そこからニックのタガが外れてしまう

鳴り響く発砲音、すでに死体のカトレアを執拗に撃ち続ける。

カチ、カチ、とトリガーを引く音だけが響く

ボトリ、ニックの手から銃が落ちる。


血溜まりの中に横たわる死体と拳銃

天を仰ぎ彼が呟いた。

「…殲滅しろ、全て」

そう、一言告げると扉を開き私や博士にさえ目もくれず立ち去る。

「かふっ…私も危ないですね、血を流し過ぎています。

 最期に私は責任を果たさねばなりません!」

博士が力を振り絞り立ち上がると

PCをオフライン状態にして準備を始める


私の手首の端子を露出させてドロシーが

入るはずだった義体に接続させる。

「すみません…エミリー、貴女に何もかもを

 押し付ける形になります…彼はニックは

 この街の人間を皆殺しにするでしょう

 そしてこの街が終われば次に移る…

 もはや災害に等しい彼を…止めてあげてください」

カタカタとキーボードを打つ博士。

その手は弱々しくなっていく

私は死にゆく博士をただ見ていることしかできない。


「…これは、とある試作兵器の起動キーです

 恐らくニックはこの兵器の正式運用機体を

 支配しているはずしかし起動には時間を要します。

 試作兵器の起動は早いはず…それに特別な武装を積んで…います。」

徐々に博士の命の灯火が消えてゆく。

それでも、気力を振り絞り操作を進める


「…接続完了しました、エミリー目が覚めたのなら

 どうか…どうか彼を止めてください。

 心優しい彼をこれ以上手を汚させては──」

そこで博士は息絶えてしまう

同時に私の意識もここでぷつりと途切れる。

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