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ぼくのこと
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「「「ぼくのこと・・」」」
同じタイミングで同じセリフを口にした3人は、顔を見合わせた。
「気になるわよね。」
「まあ、すこしね。」
「小生意気に任せきりで、大丈夫かしら?」
「小生意気、じゃなくて、こむらき、ね。彼女の能力はお墨付きでしょ。大丈夫よ。」
「怖がってないかしら?」
「ぼくが、こむらさきのことを?怖がるの?どうして?」
「どうしてって・・“黒縁”だから・・」
「新しい冗句?」
「ちがうわよ。ずっと“銀縁”の私たちと過ごしてきたから・・“黒”に初めて会ってびっくりしたかも・・って・・」
「そんな訳ないじゃない。表の世界に黒縁メガネ女子がいないわけないでしょ。」
「もちろん、そうだけど・・」
「なによ。歯切れが悪いわね・」
「せいらんは、こむらさきに、ぼくを横取りされたみたいで悔しいのよ。ちがう?」
「・・・そうかも・・」
「あら、素直ね。」
他愛もないことを話しているうちに、せいらんも落ち着きを取り戻していく。
これぞ、まさしく雑談の効能。
「ま、とにかく。私たちは、私たちの使命を全うしましょう。」
「そうね。正道から逸れないように。」
「「「真理がわれらを自由にする。」」」
裏国のスローガンを唱和して、3人は、それぞれの持ち場へ散って行った。




