正解を教えるのはこむらさきの仕事
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やった!やっと成功した。これで、イレギュラー業務に煩わされなくて済む。
ふう。平穏な日常よ、おかええり。平凡な毎日よ、ただいま。
さっさとくろたえに報告して、この件は忘れてしまおう。
こむらさきは送信を見届けると、くろたえの執務室へ。
黒檀の机、黒革の椅子。壁面いっぱいに並んだ、いくつものスクリーンの中から保健室を注視していたくろたえには、事の顛末は、既に分かっていた。
「こむらさき、ありがとう。あなたなら、やってくれると信じてた。」
「・・報告の必要は皆無ね。百聞は一見に如かず。見ての通り、成功よ。」
「重ねて、お礼を言うわ、ありがとう。」
「どういたしまして。これで、私は通常業務に戻らせてもらうわ。今回のことは忘れる。他言しない。だから、もしも今回のことで、のちのち煩わしい問題が持ち上がっても・・」
「わかってる。あなたは何も知らない。何もしていない。責任は何もない・・?責任は誰もない・・?あら?」
「あなたに責任はないーこれが正解よ。よかった。」
「ええ。よかった。正解を教えてくれて、感謝するわ。で、私たちの友人関係は・・」
「もちろん、今まで通り。」
「よかった。心からお礼を言うわ。こむらさき、ありがとう。」
「もういいわよ。じゃ、行くわ。あ、明日の紅茶はウバにしましょう。ミルクで。」
「いいわね。カップ&ソーサーは、選んでおく。」
「よろしく。じゃあ。」
鉄製の黒扉を閉めて、こむらさきはふうっと一息ついた。これで、一件落着。元通り。




