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くろたえ
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どちらにせよ、あの男児は、もう、戻っては来られない。
部下たちの、男児に対する説明は、出鱈目ではないにせよ、正確なものではない。正確?正解?どっちかしら?どちらにせよ、結果は同じ。あの男児は、しろたえのモノになるのだから。
彼女たちに非はない。過失もない。可愛い私の部下たち。彼女たちはただ、彼女たちの知っていることを説明しただけ。あの娘たちに、胸が苦しくなる嘘なんて、つかせはしない。彼女たちには、これまでと同じ日常があるだけ。裏国の平和な日常。本に囲まれた職場、美味しい紅茶。
私の賢明な部下たちは、本に触れられることが、どれだけ恵まれているのか、痛いほど分かっている。香り高い紅茶を存分に楽しめることが、どれだけ贅沢なことか、苦しいほど分かっている。手放したら、もう二度と手にすることは叶わないと、そのことも、哀しいにほどわかっているのだ。
私の、可愛い、色とりどりの部下たち。
この世界が続く限り、私は、彼女たちの上司であり、庇護者であり続けるのだ。




