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黒い執務室
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黒檀の机に、黒革の椅子。壁面いっぱいに並んだ、いくつもスクリーンには、裏国内のあらゆる場所の映像が映し出されている。滞りなく、いつもと同じように、作業は進んでいる。
が、一箇所だけ、明らかに滞っている場所―保健を除いては。
くろたえは、長々とため息をついた。なかなかどうして、スケジュール通りに物事はすすまない。なぜって、それをするには、私の部下たちは、気持ちがありすぎるから。ありすぎる?つよすぎる?どっちかしら?時々、言葉の選択に自信がなくなる。私の言葉が、可愛い部下たちに、正確に伝わっているといいけれど。
「足から出して、手から入れるーって、すごくわかりやすいわ。もいちど首を叩いて眠らせて、足と手と、出すのと入れるのと、両方ともどうぞ。こむらさき、よろしく。」
部屋の隅、白と黒のツートンのカウチで本を読んでいた黒縁メガネの美人さん=こむらさきは、静かに頷いて、静かに部屋を出て行った




