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予感的中
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この日は朝から予感がしてたんだ。あ、ここもきょうまでかな、って。
「さて、ここでのぼくの仕事は、これでおしまい。」あさぎさんはそう言うと、ぼくらを見上げた。車椅子に乗っているあさぎさんは、ぼくらより背が低い。当然だけど、それがちょっとだけ、うれしかったんだ。ここでは、ぼくらは、いつも、一番小さくて。背が、って意味だけじゃなくて、色々な意味で。統括的に。だから、せめて、背だけでも(正確には目線の高さ、だ)大きくいられたことが、うれしかった。でも、もちろん、そんなことをあさぎさんに言うつもりは、ない。
「はい。わかりました。長々お世話になりました。」
「あら、ちゃんとしたご挨拶ができて、いい子ね。」
「はい、いい子です。」
「ふふ。今日は、はなだちゃん、シフトから外れてるけど、またいつかアッサムしましょう、って言ってたわよ。」
「はい!します!アッサムします!!」
「ふふ。じゃあ、わたしとは、いつかダージリンしましょう。」
「はい!します!ダージリンします!!」
そして、やっぱり、あさぎさんも言ったんだ。
「さあ、右手を出して。」
あ、と思った瞬間。
あさぎさんは、青色の小さな石を、僕のてのひらに埋め込んだ。




