ポケットマネーで
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工場に来て、5日目。その日は、ツナギの進呈式から始まった。
「はい、これ。わたしからのプレゼント。ポケットマネーで買ったのよ。」
「わぁ、ありがとうございます。マジ嬉しいです。でも・・赤・・なんですね、やっぱり。」
「ん?色がご不満?」
「あ、いや。ちがいます。大丈夫です。嬉しいです。」
「そりゃそうよ。ポケットマネーで買ったのよ。」
「あ、はい。重ね重ねありがとうございます。・・あのポケットマネーでーってところが重要なんでしょうか?」
「そりゃそうよ。ポケットマネーで買ったのよ。」
「あ、はい。重ね重ねにもう一段重ねて、ありがとうございます。」
「・・・。」
「え・・っと。」
「うそよ。冗談よ。さ、お仕事しましょ。あまり時間もないようだから。」
「え・・?」
僕の疑問はあっさり無視されて、いつものルーチンワークがスタート。
秘密じゃなくなった“秘密基地”を巡り、A開けない B開ける C開ける・・を26まで。そのあと、同じようにハッチも。a開けない b開けない c開ける・・を26まで。当然だけど、ツナギ着てるとはかどる。使いやすい位置にポケットが付いてるから道具類を取り出しやすい。作業がスムーズにすすむ。ベルトにスープジャーを引掻けられるチェーンが付いてて、これもすごく便利。効率的に作業を進められるって、快感だ。さくさくすすむお仕事に気を良くして、いつもより早めに完了したぼくらは、昭和レトロな廃工場の巨大な鉄扉前に戻ってきた。レンガ色のツナギを着たくれないさんと、それよりちょっと鮮やかな赤色のツナギを着たぼくら。
あ・・この感じってまさか・・。




