表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/81

あおやぎさんⅡ

12 

部屋の中は静かで(ここはだいたいどこも静かだ)、あおやぎさんが透明フィルムを切るときのシャーって音だけがきこえる。

シャー、シャーー、ぺりぺりぺりぺり。シャー、ぺりぺり。すぅー、とんとん。

長方形に切られたフィルムの上に本を載せて、丁寧に包んでいく。縁で折り返して余分なフィルムを切り落とし、角は木べらを使ってきっちり整える。空気が入って、本が水膨れみたいにならないように、版画で使うばれんのような道具を、何度か本の表面を滑らせる。最後に両てのひらで本全体をくるりとひと撫でし、フィニッシュ。カウンタ右端のブックバスケットに入れていく。一連の作業にはよどみがなくて、見ていると気持ちがいい。

本は、大きさも厚みもさまざまだけれど、工程は、すべて同じだ。

あおやぎさんの両手には、いっさいの迷いがなくて、潔い。ずっと見ていたくなる。同じ手が、同じ作業するのを、ずっと見ていると、軽い目眩とともに、時間の感覚が麻痺して・・


「さて、だいたいの手順はわかったかしら?」

はっとした。え?ぼくら、今、寝ちゃってた?そんなはずない。あおやぎさんを、あおやぎさんの作業を、ずっと見てたんだから、寝るはずなんてないのに。でも、夢をみていて、その夢から覚めたような錯覚を覚えて、ぼくは、はっとした。

「ご、ごめんなさい。ちょっと、ぼーっとしちゃってて・・あの、でも、ちゃんと見てました。」

「そうね、ちゃんと見てたのは知ってる。そんなにあたふたしなくて大丈夫。さあ、こっちに来て。手取り足取り、指導してあげるから。」あおやぎさんは、そう言って、微笑った


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ