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裏国司書と僕らの地下世界冒険譚

1

枯れた噴水の下には秘密の地下通路が存在する。扉が開くのは皆既日食のときだけ。

何年か前の都市伝説、小学校時代のローカルな噂話。そんなのちんけなおとぎ話・・だと思っていた。

あの日、自分の眼でその地下通路への梯子を見るまでは。


みちるとあおいと僕の三人で、春休み最後の一週間をだらだら過ごす計画を実行中。

宿題はほとんどないからラッキー(新学年の予習が少しだけ)、面倒な家族行事(旅行とか墓参りとか・・)はクリア、やっとホントの春休みだーとかなんとか。いつもの三人、いつもの場所で、いつもの空気。

ずっとこのまま三人でだらだら継続希望だわーって

死んだじいちゃんが使ってた掘っ立て小屋みたいな離れでわちゃわちゃやってて。

お気に入りの画集とか、再読用の小説とか新書とかいろいろ持ち込んで。

古くて毛羽立ちまくりだけど肌触り最高のクッション3つ。鉄瓶で沸かした白湯満タンのポット3本。これだけあれば最強の僕ら。簡単なアイテムで最強になれる僕らは最強。

読み疲れてしゃべり疲れて夕方になってちょっと涼しくなって、小屋の外に出たらむらさき色の夕焼け。こんなもってこいなシチュエーションってある?白湯ポット持って散歩にゴーだ。僕は自転車ひいて。みちるとあおいは徒歩で。三人横並びでむらさき色の空の中に消えてゆくように遠くまで。って言っても、いつもの散歩コースの行きつく果てはいつもの場所。いつ行っても水の枯れてる噴水広場。昔は、水が、きらきら降ってきた。浅いすり鉢状になった水色のセメントの底に、噴水のてっぺんから降ってきた水滴が同心円を描いて、その中で水遊びする子供たちと、それを見守る大人たち。

昔は、あっという間に今に取って代わられる。昔は、すぐに無くなる。昔が、今と同じぐらい、ずっと、昔のままならいいのに。



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