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空亡逃亡  作者: 七星北斗
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1.環調

 僕は観測者である。人間から見たら神と呼ばれる者である。しかし人間の考える神とは大きく異なるだろう。


 神だというのに、困っている人間を助けるわけでもなく、観測者だから見ているだけなのだ。


 文句があるなら耳を傾けるが、叶えることはない。


 人間はしばしば誤解しがちだが、神は願いを叶える存在ではない。


 神は人間を救う存在ではなく、偶発的に選ばれた基盤を円滑に動かすための支点である。


 人間を救う存在は、他人とあなた自身しかいない。だから意味のない神頼みは止めるべきだ。


 我々神は、人間を含む生き物に関心がない。


 人間に対しては、剥げた猿という生き物だとしか認識することはないだろう。


 あなたは観測者とは何か?疑問に思うことだろう。簡単に説明すると、観測者とは、地球だけではなく異世界を含む環境の観察をする目なのだ。


 ただ観察するだけではなく、環境の推移を調査してデータに残す。そして星の寿命を計算することが、観測者の主な役割である。


 何故、星の寿命を知る必要があるのか?については、またの機会に話そう。


 まずは、α星の調査から始める。α星には蜥蜴や海月といった生き物が多く生息しており、突出して知能ある生物は少ない。


 高度な知性を持つ生命体は、しばしば環境に大きな負荷をかけ、星の寿命を短縮させる。この観点から見ると、単純な生態系の方が星の存続には有利であると言える。


 この星は空気が澄んでいて、水も綺麗。この星の生態系は今のところ大きな変化はない。


 であるが、少しばかり生き物が多すぎる。何故なら大型の肉食動物が少なく、草食動物が過剰に繁殖してしまっている。


 この星の寿命は、今のところは変化はない。星の寿命を削る生き物がいないのだから。


 しかしこの星の植物は、あと十年もすれば食い尽くされてしまうだろう。


 それは環境の変化がなければの話であるが。


 ここで忘れてはいけない、観測者は星を観察する目と僕は言った。


 僕はまだ陸の生き物の話しかしてはいない。海の生き物の進化がもうすぐ始まるのだ。


 地球の話に例えると、蛇や鰐といった姿の海洋生物の多いこの海では、それらの肉食生物が陸に上がることが予想される


 その理由の一つとしては、餌となる海洋生物の減少などが挙げられる。


 しかし大きな原因は噴火などの火山活動が頻繁に起きたことで、陸地が広がったことにより、環境に適応するための進化なのだ。


 海の生物の進化は、まさに自然の摂理が織りなす壮大なドラマだ。


 環境の変化に応じて、生物たちは生存のために適応し、新たな生態系を築き上げていく。


 これらの生き物が陸に上がることで草食動物は減るが、海洋生物はまた数を増やすことだろう。


 僕はこの方程式を循環と呼んでいる。


 α星の寿命は、このまま変化がなければ五億年といったとこだろう。

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