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さよならはきっとくるけどどこまでも

 常に焦燥感に駆られている人と一緒にいることは難しいことだ。時間をかけて彼がどう歩くのか観察してみよう。歩行と思考は絶ちがたい信頼関係にある。たとえば彼の手はどこに置かれているのか。ポケットの中に突っ込まれているのか。前のポケットなのか。ケツのポケットなのか。上着のポケットなのか。視線の動き、口の閉め具合、もしくは開き具合、足の運び、速度、反応、反射、あらゆることを観察されているという妄想に囚われてしまって、おれは外を出歩けなくなってしまったのだった。

 テレグラムのメッセージでホルモン屋ケンちゃんが釈放されたと知った。ケンちゃんはしばらくホルモン屋には復帰できないだろう。でもケンちゃんほどの男であれば、逞しく稼いで生きてゆけるに違いない。問題はおれだ。どうにかして稼がなければならない。稼ぐ・オア・ダイだ。


 昔、ぼんやりと外国のオモチャを輸入して稼ぎたいなあ~、なんてことを考えていた。どうせ商売をするのなら自分が楽しくなれるようなものがいい。チョコレート屋かオモチャ屋……だな。だが商売はまったく甘いものではないらしい。店の中でぼんやり座っているだけでは、まったく稼げないようなのだ。

 商売をやってるやつから、商売のやり方をレクチャーしてもらった。五分くらい経つと頭が痛くなってきて、そのあと吐き気がしてきたので、もういいもういい、大丈夫だ、もう結構。帰ってもらった。

 なんてことだ。甘くないどころの話ではない。死んだ方がマシって世界だ。いったいどうなってるんだ。怪物的なバイタリティの持ち主でないと務まらない。おれなんかは三日で死ねる。

 そう言えば昔、おれの親父が三人目の奥さんの親の遺産を使ってラーメン屋を開いたはいいが、想像よりも疲れるという理由で三日で閉店したことがあった。そのときは大笑いしたものだが、とてもじゃないが笑える話ではなかったのだ。そりゃそうだ。あの野郎に商売などできるわけがない。

 その後、地域のネット掲示板みたいなやつで、どうやら保健所から営業停止の命令が出たらしい、って噂になっていた。飲み屋でこの話をすれば鉄板でウケる話なのだが、笑っている場合ではなかったのだ。おれたちが商売になんて手を出すべきじゃないんだ。死に直結する話なんだよ。まったく笑えない。これっぽっちも笑えやしないんだぜ。


 じゃあどうすればいいってんだ。探偵にでもなるか。おれはしつこさには定評のある男だ。頭もキレる。度胸もある。適正はじゅうぶんにある。自分ではそう思っている。だが、車の運転ができないのだった。原付の免許すら持っていない。ターゲットに車に乗られてしまえばそこで終了だ。まったく。いままでどうやって生きてきたんだ。

 もう少し現実的なことを考えよう。考えてみよう。考えるんだ。ここが考えどころだぜ。いつだって上手くやってきたじゃないか。そうとも、派手にとは決していかないまでも、いままでギリギリのところで立ち回ってきたんだ。考えればなにか良いアイディアが浮かぶはずだ。一発長打など狙わなくたっていい。短く持ってコツコツ当てるんだ。追い込まれたらファールで粘るんだ。現実的に考える。ただそれだけだ。考えてみてごらん。考えるくらいはできるだろう。やる、やらないは別の話だ。とりあえずは考えるだけでも考えて、それからまた考えてみればいいじゃないか。

 おれはじっと待った。現実的な考えが浮かぶのを待ってみた。職安に行く? そりゃ現実的とは言えんな。一度だけ行ったことがあるけれど、すごく並ばなきゃいけないんだぜ。たとえ楽しいことやお得なことがその先に待っていたって列に並ぶのなんてごめんだっていうのに、どうしてやりたくもないことの為に並ばなければならない? 

 じゃあ他には? なにもないのか? 本当に? マジで? マジで。カラッポ。これはあれだ。まだ考えるべき時ではないってことだ。まだ時間はある。アディッショナルタイムってやつだ。しかしロスタイムのままじゃ駄目だったのかね。おそらくは世界基準に合わせたのだろうが、言いやすい方がいいだろうに。和製英語はカッコ悪いか。野球なんて和製英語だらけだよ。ヒット・バイ・ピッチがデッドボールだよ。でも死球ってすごい言葉だ。死の球だぜ。ヤバすぎるだろう。


 最凶ボスが強すぎる。せめて状態異常が少しでも通ってくれたなら。どう立ち回っても、単純に火力で押し負けてしまう。だが、おれはそう簡単に諦めやしないぜ。なにしろしつこさには定評のあるおれだ。なにか、なにか手はあるはずだ。ディフレクト、パリィ、この辺の技が鍵を握っているのはわかるのだが、いかんせん技を出すタイミングが。いま誰にヘイトが集まっているのか確認するのをいつも怠ってしまう。

 ああ、すまんすまん。サガエメの話だ。サガエメじゃわからん人もおろうな。サガエメラルドビヨンド。おれが近年稀に見るハマり方をしているゲームだ。ここまで詳しく説明しても、こちとらなんのこっちゃわけわかりまへんねん、そういう人にはたいへん申し訳なく思うが、それにしたってこの面白さを知らずに朽ち果ててゆくのはなんとも勿体ないというか、他人ごとでありながらなんとも歯痒いというか、ここまでおれが絶賛しているのだから、少しくらい興味を持ってみたっていいじゃないかと思うところもあるにはあるが、まあおれだって、ネトフリのシティーハンターのドラマ? 映画? よくわからないが、めちゃくちゃ面白いから観てみてよ! そうリコメンドされたとしても、まあ観るわけがないので、どっちもどっちって感じだろうか。

 しかし今更シティーハンターねえ……。なんでだ? みんなそんなに冴羽遼が好きなのか。ハンターなのかスイーパーなのかハッキリとしないあのモッコリ野郎のことが。

 同じ北条司作品なら、木漏れ日の下で……じゃダメなのだろうか。植物と意思の疎通ができる少女が織りなすハートフルストーリィ。ドラマ向きじゃないか。どんな話だったか覚えてもいないが、RASH!ってのもあったね。両方見事な打ち切り漫画だ。あの頃の北条司はハッキリと時代に置いていかれていた。北条司だけじゃない。車田正美、ゆでたまご、一時代を築いていたジャンプ漫画家たちが軒並み落ち目に入っていた。

 まあだからなんだと言うことでもないし、なんでこんな話になったのかよくわからないが、ハッキリと言えることは、ここ最近のおれの文章はヤバいってことだ。

 つまり、おれの文章から魔力が失われた……そういう感じだ。こういうのってアレなんですかね、もう戻ってこないんですかね。それとも気づくと元に戻っていたりするんですかね。何気にめちゃくちゃ焦っている阿部千代なのであった。そりゃ摩天楼の少年の出る幕もなくなる。

 もうやめちゃおうかな。文章を書くなんて暗いことはとっととやめて恋に仕事に邁進しちゃおうかな。なんていう風に簡単にやめることができれば苦悩はないのだった。文章を書くことこそがおれの存在理由、つまりはレゾンデートルってやつであって、そのためにおれは酩酊の多幸感や射精の快感を捨てたのだった……!

 まあまあ。一度落ち着いてみることをお勧めする。毎日毎日、rawな文章を書いていたらそりゃ狂う。週六はキツイキッツイキッツイって、おとぼけビ〜バ〜もそう歌っているだろう。とりあえず旅行でもしてリフレッシュをしたまえよ。

 というわけで、摩天楼の少年・イン・広島。こういう場合はインで合ってる? まあいいや。ここは広島。いま、おれの目の前に野村謙二郎さんがいる。それは嘘だが、雨がすごいのう。

 昼過ぎには雨が上がる。今日もカープは勝ち勝ちカッチカチ。

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