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紅蓮のシュヴァリエ  作者: Rio
5/10

フレンシアの前世


馬の背で揺られながら顔面蒼白になるフレンシアは、帝都にいる皇帝に対して心の中で悪態をついた。



お尻が痛い!

馬車くらい出してよ!

乗ったことないけど。

・・・まあ、出してくれたとしても、ボロボロの馬車な気がするけど。

ああ・・・吐きそう・・・



目を瞑り心の中でとにかく悪態をつく。


「目を閉じてはなりません!」

急な鋭い声にフレンシアはびくりとして、馬の腹を蹴ってしまった。


馬は前足をあげ、そのまま走り出してしまった。


「殿下!!」


走り出した馬の背に必死にしがみつくフレンシアは舌打ちをした。



あいつら!

ついてくんなって言ったのに!

あいつら何だってついてきたわけ?

キャトラル公爵が危険だから連れて行けって言ってたけど、こいつらだって私をないもの扱いしてるくせに!!


「むかつくー!!」


フレンシアがしがみついたまま叫ぶと、急に馬が走るのをやめた。

急に止まったため、フレンシアはそのまま馬の背から放り出された。



臀部と腰、右腕を強く強打したフレンシアは、ゆっくりと起き上がる。

「何なの・・・痛っ・・・」


手についた砂を払いながら、ゆっくり立ち上がる。


元々栄養状態も低く、痩せ細った体。

自分が生まれ変わったとわかった時点で、ひっそりと食べ物を見つけて食べたり、こっそりと筋肉トレーニングをした。


食べ物を見つけるのは意外と簡単だった。

離宮は手入れさておらず、木の実や魚がいた。


前世の知識を元に、木の実や魚を摂って食べた。


前世は日本という国に住んでいた。


自分についての詳しいことは覚えていないが、知識はそのままそっくり覚えていた。


前世の記憶が戻ったのは2年前。

正直軽くパニックだった。


冷たい父(皇帝)、無関心な母(皇后)。

親に恵まれていない。

弟妹たちは私から帝位継承権を剥奪することしか考えていない。


この世界は魔法に溢れ、夢の世界か何かだと思った。

でも自分の置かれている環境や、自分の名前を知った時、衝撃のあまり暴れ回った。


皇帝から冷遇され、臣下から信頼の厚い母である皇后にも関心を持たれない自分は、使用人ですら放置する始末。

暴れたところで、誰にも気づかれることはなかったが。


私の名前はフレンシア。


前世で読んだことのある小説、“シュヴァリエ”。

魔力があるものはルフドと呼ばれる精霊と契約をする。

ルフドの力を使役して魔法を使う。

そしてその魔法使いたちをまとめるのがシュヴァリエ協会。


フレンシアは魔力がありながら、放置され続けたために、まともに魔法のコントロールができずにいた。

皇族のみが使用できると言われている光の魔法を使えるにも関わらず、待遇が改善されない、いらないプリンセス、フレンシア。


フレンシアはやがて、憎悪を育て、弟妹を殺害し帝位を簒奪する。

そして、悪逆女帝となり自分を蔑ろにし、侮蔑してきた帝国民たちに復讐する。

しかし、主人公がフレンシアを倒し帝国を守る。


フレンシアは幼少期の辛い時期を忘れず、とにかく復讐しか頭がなかった。

ものすごく非道なことばかりをしてきたのだ。



最後は死ぬなんてやってられない。

確かに私自身にも復讐心はある。

だからって黙ってやられたりしない。

死なずに、自分が主人公になりかわる。



私は泣き寝入りしたくないし、小説の内容はわかっているから、とにかく先手必勝だ。






そうしてフレンシアはクロエ村を探しにきたのだが・・・。

まさか、こんなことになるとは思っていなかったのだ。






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