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「ヴィレーナよ、ブブルル王国のゴルザーフ国王陛下がやってきたが、どうする?」

「え? 他に避難してきた人はいないのですか?」


 キーファウス殿下の発言に疑問が生じました。

 私は確かに大勢の人たちが避難のためにメビルス王国へ向かっている光景を見たのですから。


「いや、今のところ国王だけだ」

「そうですか……。どっちにしても私が呼び出される可能性はあると思いますので、二度手間を避けるためにも近くにいるようにしておきますね」

「玉座の間で対談となるだろう。その際、異例ではあるがヴィレーナは人目に入らない玉座の椅子の裏側にいてもらおうかと思っている」


「承知しました。念のために全員に保護魔法をかけておきますね」

「そこまでゴルザーフ陛下は危険なのか」

「念のため……です」


 あまり考えたくはありませんが、この国を乗っ取ろうなどと考えていてもおかしくはない気がします。

 実際のところ、ゴルザーフ陛下は側近からも嫌われていました。

 それが人としてなのか国王としてなのかはわかりませんが。

 せっかく覚えた保護魔法もあるので、できることはやっておこうかなと。


「色々と気を使わせてすまないな。だが、ヴィレーナがいてくれれば護衛不要だな」

「念のために配置はしておいたほうが良いとは思いますけどね」

「わかった。無事に対談が終わることを望むが」


 少々不安が残るものの、玉座の間へ向かいました。


 ♢


「この度は突然の訪問にも関わらず、対談を開いてくれたことを心より感謝する。メビルス王国国王よ」


 ゴルザーフ陛下は、キーファウス殿下のことを当たりまえのように国王陛下と呼びました。

 たしか、以前ブブルル王国にメビルス王国の今の国王陛下が対談に来ていたと思うのですが……。

 玉座の椅子に座っているから勘違いしているのでしょうか。


「お初にお目にかかりますな。私はキーファウス=メビルスで、次期国王であります」

「そうであったか。それは失礼した。その椅子に座っていたら新たな国王だと勘違いしてしまった」

「お気になさらず。ところで、ブブルル王国国王がどのような用件で?」


 キーファウス殿下は、モンスターが襲来されたことをあくまで知らない体で話すと言っていました。


「我が国に赤の兆候が出てしまった。なぜだかわかるかね?」

「私は貴国に関与しているわけではありませんので、分かりかねますが」

「この国にいることはわかっているのだ。ヴィレーナという聖女がいるのだろう?」


 予想外に、ゴルザーフ陛下は私の名前をさっそくだしてきました。

 先ほど以上に耳を傾けます。


「確かにヴィレーナは我が国に滞在し、私の婚約者でもあります」

「ほう? それは我が国の大事な聖女を勝手にさらったと判断してもおかしくないが」

「どういうことですかな?」

「我が国直属の聖女だからだ。今回聖女がいなくなってしまったせいでモンスターが出現してしまったのだ」

「おかしいですね。確かにヴィレーナの過去は聖女としてブブルル王国に仕えていると存じております。しかしながら、ゴルザーフ陛下の手によりヴィレーナは聖女は解雇。しかも王宮の雑用係として無報酬で朝から夜まで働かさせていたという話を聞いていますが」

「…………」


 ゴルザーフ国王は、早くもなにも言えずに無言が続きました。

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