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22話

 赤の兆候といえば、中級モンスター以上が出現します。

 国の総力をあげて多くの犠牲を出してようやく倒せるかどうかという相手が中級モンスターです。しかも一体相手に対してです。

 それよりも明らかに強い上級モンスターは今まで出現したことはありません。

 過去の歴史で遠くの国で出現してその国とその近隣国も崩壊したと記されています。

 せっかく神様に色々としてくださったのに、今度こそおしまいだ。

 そう思うと涙が溢れてきました。


「諦める必要などない」

「え……でも、起きた瞬間ではブブルル王国に結界なんて張れませんよ……」

「キミの魔力なら倒せるじゃろ」

「はいっ!?」

「魔力を人外にしたと言ったじゃろ。神級しんきゅうモンスターと互角ほどの魔力を付与してある。戦闘経験がないキミでも十分に対抗できるだろう」


 いやいや無理無理無理無理!!

 ラノベ好きでしたが、戦闘なんて私にはできません。

 前世でも喧嘩なんてせいぜい口喧嘩程度です。

 いきなり国を崩壊させてしまうほどのモンスターと戦うなんて怖いです……。


「あの……、大変申しわけないのですが神様の力で私をこのままブブルル王国に転移させてもらうことなんてできませんか?」

「残念じゃがそれはできん。キミに対しての多少の干渉はできるが、やはり最低限のことのみだ。神は基本見守ることしかできんのじゃよ」

「そうですよね……」


 それを言われて、私が異世界に転生された目的を思い出しました。

 モンスターの出現を阻止するための聖女。

 神様が直接モンスターをなんとかしてくれるならばそもそも私は転生されなかったはずです。

 なんのために私が転生したのか。


 ただ単に楽しい生活を送るためではないのでした。

 平和を維持してこその楽しい生活。


 それを思い出しました。

 その瞬間、神様が頭を下げてきました。

 私の心の中を読んでいたようです。


「酷だとは思うがの……」

「いえ、むしろ再認識させてくださりありがとうございます」

「達観しとるのう。普通ならば恐怖で逃げたくなるだろうに」

「すでに一度死んでいますし、二度目も死ぬ寸前に助けられた身ですから。なんとかしてみます」


 とは言ったものの、戦いの術なんて全くわかりません。

 それに国を壊すようなエネルギーを持った魔法を受けたら即死でしょう。

 かわし方もわからないのにどうやって戦ったら良いのか……。


「そうそう、キミの身体も人外じゃからな?」

「え?」

「そうでなければ、メビルス王国に転移させたとき、モンスターと衝突した瞬間にキミは衝撃で死んでおったよ」

「そういわれてみれば……」


 重い金貨かと思ったら軽かったり、動き回っても全然疲れなかったり……。

 体力面も人外にされていたのですね。


「多少の痛みはあるだろうが、上級モンスターの攻撃を受けた程度で死にはせんよ」

「助かった……。あ、でも今着ている服とかは全部粉々ですよね?」


 身体は頑丈になっても服は別ですよね。

 街が崩壊するレベルの威力が服にあたったら消滅するでしょう。

 たとえ上級モンスターを倒しても素っ裸で帰ることになったら恥ずかしいですね……。


「キミの身体は魔力で守られておる。それは着ている服くらいまでは有効になっておるだろうから、心配せんでも良い。もちろん、キミの魔力が尽きればその限りでは無いが」


 それを聞いてホッとしました。

 さすが異世界。素っ裸になってとんでもない状況にはならなさそうなので、ひと安心です。


「それから上級モンスターは、死んでもその場で消滅することはない。死骸は色々な素材に使えるし保存食料としても使える。大変便利な国宝級以上の貴重な品となるから有意義に使うと良い」

「大きいですよね……」

「キミにしかできない空属性のマジックボックスがある。有効に使いなさい」

「おお、そんなものまであったのですね」

「世には知られておらぬからな。魔法書を調べてもわからないじゃろう。キミが目を覚ましたときには脳内に発動の仕方や使い方もわかるようにしておこうかの」

「色々とありがとうございます!」


「ついでにいくつかの知識も入れておくか。そろそろ目を覚ますころじゃな。見守ることしかできんが頑張ってな」


 神様がニコやかにそう言うと、私は再び意識を失いました。

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