表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜女神になりたくて  作者: 上村朱璃
3/6

第003話.生に執着するパワー

 あの日、初めてゴブリンを見た時に何も出来なかった事。“帯”が出たのもたまたまで、手も足も出なかった事。


 本当は生き延びられた事を、自分に褒めてあげれば良いのに……ワタシはそれを許せず、自分を責めたんです。


 誰も視る事の出来ないゴブリンを、自分がこの世に解き放ったかも? いえ、自分が目撃して無いだけで、既にこの世には……


 この先、こんな自分の所為でママを危険な目に合わせてしまうかも知れない。そんな自責の念だったのかも知れません。




 本当はそんな事なんて全然心配しなくても良い位、ワタシのママって本当はスゴい人なんですけどね、実は……




 でも自分を許せない小学生のワタシ、あの時偶然出せた力をもっと自由に引き出せる様に練習しよう!とココロに決めたんです。


 ワタシは家の窓から空を見上げながら、ボーっと考え事してます。


「ふわぁ、夏の暑さも漸くひと段落しました」


 現在、窓の外に見えるのは……空の一番高い所に在る、まるで鳥の羽根の様な雲。空一面に細かい雲片が広がる、まるで魚の鱗みたいな雲。



チュンチュン……チュンチュン……



 この囀りは、スズメが稲穂を啄みに来たんでしょうか? ワタシは両腕を突き上げ、ん~っ!と大きく伸びをします。


 シュルンッと頬を撫でる様に通り抜けるそよ風が、何とも心地良くて。ワタシは何となく、こう考えたんです。




 確か、あの時……猛烈に『生きたい!』って願ったんです! もしかすると“生に執着するパワー”があの形となって現れたのかも知れません。


 もしその仮定が合っているのならば、肉体を鍛える練習しても無意味ですよね。生に執着する様なシチュエーションを作ってあげなくちゃ。一番手っ取り早いのは……



 だったら、いっぱい運動をして汗を流して。体力をカラッポにしてあげればどうでしょう?




 方針が決まったので、体力作りも兼ねて最初はあのゴブリンに襲われた家の裏庭を拠点にして。家の周りから走り込みする事にしてみました!



タッタッタッタッタ……



 家の周りを走る内に、だんだん強張ってた筋肉もイイ感じに解れて来ました。よしっ、もうそろそろ家の周りから近所へと少しずつ範囲を広げましょう!



ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……ふぅ。



 そして、人目を避けながら過剰な位走り込みをした結果……ワタシはヒイヒイフウフウ言いながら、大量の汗を流してへばって寝っ転がってしまいました。


「よしっ、今なら……」


 ワタシは右手の平を上に翳してみました。すると、目論み通りシャンパンゴールドの“帯”を放出する事が来たんです! ワタシ、よしっ!と両手をグーに握って大喜びしました。


 取り合えず、自分の意思でこの帯を放出する事には成功しました。でも“生に執着するパワー”が必要になる様な、そんな極限の状況下では無くても……


 ある程度日常生活の延長上でこの帯を身体の一部としてコントロール出来る位に迄ならないと折角の『力』も使い物にはなりません。



 それには、どうしたら良いでしょう……?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ