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手がかり、足がかり 4




——完全に、盲点だった。

市井の絵本。神話風のお伽噺。


皇后陛下と話さなかったら、いつまでも気が付かずにいた。


「陛下、ありがとうございます。

これで光が見えましたわ」


私は、立ち上がり、精一杯の(カーテシー)をとる。


「役に立てたなら良かったわ。

罪滅ぼしにもならないけど、貴女の助けになれたならそれで。


——時々、帝国(こっち)に来て私ともお茶の時間を持ってくれると嬉しいわ。


その時は()()()に、エドウィンにも会ってあげてね。

あの子は、貴女が居ないと全く駄目になっちゃうから」


お茶目な感じで片目を瞑って、皇后陛下は私に言った。


私は、必ず、と笑って答え、御前を辞した。



出かける準備をしていると、エドウィン様が顔を出した。


「レティ、どこか行くの?」


「ええ、城下町の本屋に。

皇后陛下から、有力な情報を得たので、確かめに行きます」


心がはやる。

早く確かめないと、早く。


「わかった、私も行こう。


アル、今日の午後の予定は調整出来るな?」


「はい、問題ございません」


アルバート様が、間髪入れず答える。

あっという間に同行決定だ。


「焦ってるのは分かるけど、落ち着いて、レティ。


大丈夫、本は逃げないし、聖女も元気だから」


「え…?」


「さっき報告があったよ。

聖女は、辺境の街で、食堂で働いてる。


元気そうらしいよ」


淡く微笑むエドウィン様。

私は、何故か胸が痛んだ。


変な表情をしていたのだろう。

エドウィン様は、私をそっと抱きしめて、次第に腕の力を強くした。


「お願いだから、私を、聖女に譲ろうなんて思わないで。


私は、レティの側に居たいんだ」


——私は、大層酷いことを考えていたらしい。


背中に手を回し、ポンポンと叩く。


「貴方が望まないのなら、ウィン。


絶対にしませんから」


「どうだか。私を置いてとっとと帰りそうだ」


完全に拗ねた声で、エドウィン様は言う。


私は笑って、腕の中から彼を見上げた。


「私もそれなりに、貴方を大切に思っていますよ、ウィン。


『それなりに』は、照れ隠しですからね」


「うわぁ、嫌な言い方を覚えたね、レティ」


一瞬顔を顰めて、でも次の瞬間、大輪の花が咲くように笑って。


「私には、君以上に大切なものはないよ、レティ」



……ああ、もう、やめて欲しい……


———信じたく、なっちゃうじゃないか———


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