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逆ハーと破滅からの脱出 7




「——流石ですわ、メグ」


この頃になると、お互い愛称呼びになっている、『蒼星の会』のメンバー。


馬車の中で、アリーが言う。アンナマリーの愛称だ。


1週間前のやり取りを、ベルが話したのだ。ベルは、イザベルの愛称ね。


「——だって、今更ですもの。

何もかもね」


私は苦笑した。

もう手放したものに、未練は無い。

無いったら、無いのだ。




そして1週間の旅の後、隣国シューレントの王都シューメルに到着した。

道中は、途中合流した(マーガレット)の商団と同行したので、特に危険もなく——あったところで、(マーガレット)の魔法で丸焼きになるだけだが——関所に入ったのだが、そこで思わぬ人が待っていた。


「よぉ、無事着いたか、メグ」


「……こんな所で、何してるんですか?

ワ…」

「待て!ここではダンと呼べ‼︎」


喰い気味に言う長身の男性。

ワルター王子だ。


「…とにかく、何してるんですか?」


頭痛を感じて、こめかみに手をやると、ワルターもといダンは、ニヤリと笑った。


「ん?スカウト」


「はい?」


令嬢にあるまじき反応を返してしまった。


どういうことか分からず、そのまま眸を見返して先を促す。


「俺、来月から帝国担当で外交官するのよ。こっちとあっちの言葉に明るい秘書を探してましてね。心当たりはおありでない?」


相変わらずふざけた物言いだ。全く。


うーん、私はやりたい事があるしなぁ。


後ろの2人を振り返る。


2人とも、戸惑った表情(かお)


「あ、じゃ、キミどう?」


王子が手を差し伸べた先にいたのは、アリー。


——なんだ、ちゃっかり調べてるじゃない。

他に行かれる前に、確保しに来たな。



アリーの家は、外交官の家柄。

学院はまだ卒業ではなく、留学しに来たのだけど、それでもいいのか確認すると、王国の学園に通いながらでも良いとのこと。

ワルター王子の『人を見る目』は確かだから、アリーは外交官か、その補佐の素養があるのだろう。


勢いに押されて頷くアリーに、私はもう一度確認を取る。

自分の『意思』で、決めて欲しい。


そう言うと、今度は、決意を込めてはっきりと頷くアリー。


「私は、やってみたいです。

お役に立てるかどうか、分かりませんけど」


王国に来て早速の進路決定に、私は明るい未来が見えたような気がした。



「——皆さま、覚悟はよろしくて?」


私は、悪戯っぽく微笑(わら)った。


「今までの10倍忙しく、100倍楽しくなりますわ‼︎」



アリーとベルも、楽しそうに微笑んだ。



——この3年後、11歳も歳下のアリーに恋したワルター王子が、彼女を王子妃に迎えようと奮闘し始めるのは、また別のお話———




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