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逆ハーと破滅からの脱出 6




ミクにエドウィン様が入れ上げ始めてから10ヶ月程経った。


蒼星の会の皆との親交も深め、学院でも認知されるようになったので、そろそろ頃合いと判断した私は、お父様とお母様に、留学の話を入れた。


案の定、すんなりと許可される。

ついでに、筆頭婚約者候補の名をミクに変えてもらえるよう、皇宮に打診してもらうようにした。


こちらも、やはりすんなり許可がおりた。


——タイミング完璧だ。

私はほくそ笑む。

戦略•戦術の先生ありがとう!


蒼星の会の中でも、アンナマリー様は無事相手の有責での婚約解消が成り、後は留学を待つばかり。

カトリーナ様の所は、交渉中だが上手く行きそうな流れだ。

無論、留学も問題ない。


この二家は、家族が娘の味方になってくれたので、解決が早かった。


問題は、イザベル様とイェーナ様。

親が政略結婚に拘り、二人がもうすぐ婚約破棄される可能性が大であることを告げても、取り合わない。


特にイザベル様の家は彼女を監禁する動きを見せたので、私が割って入った。

現在、イザベル様を行儀見習いとして公爵家で預かっている。


この頃になると、私の両親と兄は、悲しいほど私に無関心。娘や妹はミクだけと思っているかのよう。

だから、ミクに近しくない使用人は、私に同情的だ。ありがとう皆。


——分かっていたけど、辛いところだ。

でも、私はそれを利用する。

留学も、イザベル様を預かることも、そのお陰ですんなり行く。


だから、ミクを恨む必要はない。

私は自分に言い聞かせる。


早く家を出なきゃ、いけない。

出来るだけ早く。



私は、準備万端だったのもあって、1週間後の出発を決め、会の皆に通達する。


イザベル様、アンナマリー様は共に行き、ひと月遅れてカトリーナ様が合流する手筈が整った。


イェーナ様は、ひと月半ほど後にある魔術実習を終えたら、こっそり早期卒業の書類を提出して、ふた月後に私の所に『旅行』に来る。



慌ただしく全ての手配を終えて、一息ついていた私の所に、ミクが訪ねて来た。


すれ違いが多く、直接留学のことは話せていなかったなと思っていると、案の定その話で。


「お義姉(ねえ)様、家を出られて留学されるって本当ですか?」


私は、努力して笑顔を作る。

公爵令嬢だもの、感情を隠すのはお手のものよ。


「そうよ、ミク。しっかりお勉強してくるから、お父様やお母様、お兄様をよろしくね」


微笑みを浮かべた私を辛そうに見て、ミクは更に言った。


「……エドウィンさまの婚約者を降りて、私に変えるよう進言されたと聞きました。


私の、せいです、か……?」


——分かり切っていることを聞かないで。

心の中が、黒く染まっていくのを感じた私は、一度眸を閉じて、深く息を吸った。


そして、再び完璧な笑顔を浮かべた。


「いいえ、それは違うわ。

エドウィン様が望まれたのだもの、当然の変更よ。


私は、私のやりたいことのために旅立()つの。


新しいことにワクワクしてるわ。


祝福して、送り出してくれるわよね?聖女様」


冗談めかしてウインクして。


「貴女は貴女で、幸せにおなりなさい。


本当に感謝しているのよ。貴女がこの世界に来てくれたこと。


会いたくなったら、遊びにいらっしゃいな。

貴女なら、いつでも大歓迎だから」


両手を握って、そう告げた。







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