表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

ずっと一緒だよ

……。

……。


なんだろう。

変な感じ。

病院で寝ているわたしの指が動いた。

そして、わたしは目を開けた。


リーフィア?

ん?

ここはどこ?


「しおり!?」


お母さんの声だ。

お母さんだ。

わたし戻ってきたんだ。

お母さんはわたしを抱きしめて泣いていた。


わたしは10か月も寝たきりだったので、声をだすことも難しかった。

ゆっくり声をだして、1時間も話をしていればもう普通にしゃべれるようになっていた。


お父さんとしほもかけつけた。

ふたりとも泣いて喜んでいた。


「おねえちゃん!」

「しほ!」

「よかった! 目を覚ましてくれて」

「うん」


「おかえり、しおり!」

「ただいま、お父さん!」


家族みんなわたしが戻ることを望んでいてくれたようだ。


何日かして、お友達もお見舞いにきてくれた。


「しおりちゃん!」

「まりちゃん!」

「もう、よかったよーおかえりー」

「ただいま」


まりちゃんは小学校のときからの友達だ。

泣いて喜んでくれた。

唯一の友達だ。

最近の高校の話をいっぱいしてくれた。


わたしは歩行練習をするため、しばらく入院していた。


みんなが家に帰ると、ハピネス島のことを思いだす。

リーフィアに会いたい。

リーフィアたちはどうなってしまったのだろう。

あの無人島暮らしは夢ではないよね。

そんなことを思ってしまう。

でも、この腕にしているブレスレットが証拠だよ。


ある日、お母さんにきいてみた。


「お母さん、このブレスレットだれがはめてくれたの?」

「わからないの、いつのまにか腕にしてあった」

「そうなんだ~」

「看護師さんがしてくれたのかな~って思ってたのよ」

「そうか」


わたしはこれはやっぱり、リーフィアがくれたブレスレットだと思った。


しばらくして退院した。

お母さんとしほが迎えにきてくれた。

ん~ん~

力いっぱい伸びをした。


「外の空気は気持ちいいね~」

「そう?」

「病院はいやだね」

「まあね」


「ねえ、本当にタクシーよばなくてよかったの?」

「うん、いいの」


リハビリをかねて、歩いて帰った。


「大丈夫? しおり」

「うん、大丈夫だよ」

「おねえちゃん歩くの嫌いだったじゃん」

「そうだっけ?」

「そうだよ、近いコンビニに自転車でいってたじゃん」

「ああ、そうだったね」


「いや~歩かないとだめだよ。自分でなんでも考えて行動しないとだめだよ」

「なにそれ」

「まあ、そういうことだよ」

「へんなの」


わたしは無人島の暮らしを思いだしていた。


なにもないところから自分たちで作らなければならない大変さを知っているから……。


――――


わたしは大学受験をするために猛勉強をした。

もっともっと、いろんなことを勉強をしたいと思った。


いつどんな時でも、リーフィアのことは忘れたことはない。

もらったブレスレットもずっと大事にしています。


そして、この春晴れて大学生になりました。


大学でもお友達ができました。

毎日楽しく生活をおくっています。


ジリジリ……。


なに?


ふと、ゲームのことを思いだした。


「しほ~」

「なに?」

「あんた、『一緒に暮らそうハピネス島』のゲームしらない?」

「あるよ、ここに」


しほはカセットをもってきた。

わたしは、しほにきいてみた。


「しほ~このゲームやってた?」

「うん、おねえちゃんのアカウントで」

「そっか」


あのとき見た、しほがわたしのゲームをやっていたのは夢ではなかった。

あの時、リセットしようとしてたよね。

じゃあ、リセットしちゃったかぁ~

恐る恐る聞いてみた。


「しほ、リセットした?」

「……。しょうと思ったけどやめた」

「え? ほんと? してない?」

「うん、できなかった」


なら、もしかしたらリーフィアにあえるかも?

ほんのちょっとの奇跡を求めて。

電源をいれた。

そして、『一緒に暮らそうハピネス島』を起動した。


主人公はしおりになっていた。

そして……。

家からでたところから始まる。

まわりの風景はあの無人島だ。

隣の野菜畑も綺麗になっている。

家の中に入ってみた。

リーフィアはいなかった……。

やっぱり、違うのか……。


すごくがっかりした。

でも、懐かしくなって海まで歩いた。


するとだれかいる。

リーフィア!?

リーフィアだ!!


「リーフィア!」


わたしは話かけた。


「しおり! 久しぶりだな」


リーフィアが返事をした。


わたしはゲームの中でもリーフィアにあえてうれしかった。

でも、いろいろな話ができるわけではない。


もっと、リーフィアと話がしたい。

話ができないだろうか。

考えた。


手紙だ!!


わたしは飛行場のお手紙でリーフィアに毎日手紙を書いた。

書き続けた。


すると、ゲーム内で家のポストにリーフィアから手紙が届いた。


『しおり元気か? ぼくはしおりに教えてもらったリンゴジャムをミーリに作ってあげたよ。喜んでいたぞ』


と書いてあった。

やったー

届いたんだ。

そして、わたしはまた返事の手紙を書いた。


リーフィア!

リンゴジャムを作ってえらいよって。


わたしたちはゲームの中でずっとつながっている。


離れていてもずっと一緒だからね。

リーフィア。


――――


ゲームはもちろんやっています。

好きですから。

でも現実世界も楽しくやっていきます。

いろいろ悩んで考えて……、自分らしく。

最後までご覧いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ