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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
ゴールデンウィーク編後半

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クレアさんが僕の部屋で寝ることになったらしい

 海でしたことと言えば、散歩とお弁当を食べたくらいだったのだけれど、僕たちは充実した時間を過ごすことが出来た。

 いつも家の中で過ごすことが多いし、出かけたとしても食品を買いに行くくらいだったので、ただ海に行くだけでも楽しい時間に感じてしまうのだ。クレアさんと沙緒莉姉さんが楽しそうに話しているのを見ているのも面白かったし、真弓もクレアさんと仲良くなっているのを見るのも嬉しかった。でも、陽香だけは車の中でも外でもクレアさんと会話をしようとしているようには見えなかった。

 最初は緊張しているのかなと思って見ていたのだけれど、どうもそういう事ではなく、何か壁を作っているようにも見えた。クレアさん自身は悪い人ではないと思うので陽香が何を警戒しているのかわからないが、晩御飯を決める段階になっても陽香は何も言わずに黙ってうつむいていた。


「ねえ、もしかして具合悪いの?」

「そうかもしれない。あんまり乗り物酔いとかしないんだけど、後ろの真ん中に座ってると気持ち悪くなっちゃうかも。でも、今は大丈夫だから」

「じゃあ、帰りは僕が後ろに乗るから陽香は前に乗りなよ。そうすれば少しは気がまぎれるかもしれないよね?」

「ありがとう。でも、大丈夫だと思う。もう少しで家につくわけだし、買い物している間に落ち着いてくると思うからさ。晩御飯は何になるんだろうね」

「今日はクレアさんが真弓に料理を教えてくれるって言ってたんだけど、きっと外国の料理じゃないかな。イギリスってどんな料理が有名なのかわからないけど、クレアさんの家庭の料理を作ると思うよ」

「イギリス料理って、全然想像つかないけど、さっぱりしたものは無さそうよね。せっかく作ってもらった料理を残したくないけど、今の感じだったらそれも難しいかも」

「そうだ、何か冷たいものでも買ってこようか?」

「大丈夫よ。今は隣にいてくれた方が助かるから。それに、昌晃がいなくなったら私はどこに行けばいいかわからなくなっちゃうからね。お姉ちゃんも真弓もどこに行ったかわからないし、今は昌晃だけが頼りなんだからね。ここから家まで一人で帰るなんて無理だから」

「それは大丈夫だよ。陽香が歩き回らなければ僕はすぐに戻ってくるし、心配なら一緒に行こうか?」

「いいえ、このまま休んでれば大丈夫だから気にしないでね。それにしても、夕方のスーパーって結構人がいるもんなんだね」

「そりゃそうだろうね。世間ではもうゴールデンウィークも終わるってころだし、何か家で作ろうって家庭も多いからじゃないかな。僕たちの休みはまだ続くけど、連休の最後は家でゆっくりしたいって思う人が沢山いるだろうからね」


 僕と陽香が座っているベンチはちょうど駐車場と店舗の間にあるのだが、僕たちの前を多くの人達がひっきりなしに行きかっていた。どの人達も割と多くの荷物を持っているのだけれど、みんな楽しそうに見えた。陽香も乗り物酔いさえしていなければ楽しそうにしていたんだろうなと思ってみたのだけれど、今でも少しは楽しそうにしているように見えるが不思議だった。

 陽香の車酔いがおさまってきたタイミングでみんなが戻ってきたのだけれど、その両手にはそんなに必要なのかと思うくらいの荷物を抱えていた。あの量の荷物を車に積むとみんな乗れないんじゃないかなと思ったのだけれど、案の定荷物に圧迫されて最低でも一人は車から降りることになってしまった。


「じゃあ、ここは家からそんなに遠くないんで僕は歩いて帰りますよ。沙緒莉姉さんは家まで案内出来ますよね?」

「それなら大丈夫だよ。クレアが来る時にカーナビにウチの住所登録しておいたみたいだからね」

「そうなんだよ。だから、昌晃君の家まで行くことは出来るんだよ。それに、荷物を下ろしたら戻ってくるから安心して待ってくれていいんだよ」

「迎えに来てくれるって言うのは嬉しいんですけど、そうなると晩御飯の時間が遅くなっちゃうんじゃないですかね。僕はそれでも平気ですけど、みんなわりとお腹空いてるんじゃないですか?」

「私は全然平気だよ。まだ少し車酔いが残ってるんですぐじゃなくて平気だし」

「陽香お姉ちゃん大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だよ。こうして外の空気吸ってたらマシになってきたからね。そうだ、私も歩いて帰ろうかな。今だったらそんなに寒くないし、風も気持ちいから大丈夫な気がしてきた」

「陽香お姉ちゃんが歩いて帰るって言うんだったら、真弓も歩こうかな」

「ちょっと、真弓はクレアに料理教えてもらうんでしょ。真弓が歩いて帰るんだったら晩御飯食べるのもっと遅くなっちゃうよ」

「そっか、じゃあ、真弓は先に帰ってクレアちゃんに料理を教えてもらう事にするよ。家に帰ったら元気な陽香お姉ちゃんに戻っててね」

「うん、大丈夫だと思うよ」


 僕と陽香は皆を見送った後にゆっくり歩いていたのだが、心なしか陽香は少し落ち着いたようにも見えた。

 太陽はまだ見えているのだけれど、今のペースで歩いていると完全に太陽が沈んでしまうような気がしていた。それでも僕の家の周りは割と明るいので平気なのだが、スーパーのあるこの辺りは自然も多く残っているので何となく不気味な感じがしていた。

 時々動物が動いているのか、草むらの中から物音が聞こえるのだけれど、こちらに向かってくる様子もないので僕たちは注意深く足を前に進めていた。もっとも、陽香はまだ車酔いが残っているようなので早く歩くことは出来ないのだけれど、車から降りた時に比べたらちゃんと前を向けている分マシなのだろう。


「家まであとどれくらいだと思う?」

「たぶん、このペースで行ければ一時間はかからないと思うよ。辛いなら連絡して迎えに来てもらおうか?」

「それは大丈夫よ。さっきよりは良くなってきたし、ちょっと辛いだけだから。あと、一つお願いがあるんだけどいいかな?」

「何かな。何か買ってきて欲しいものとかあるの?」

「そうじゃなくて、ちょっとフラフラするから少しだけ手を繋いでてもらってもいいかな?」

「手を繋ぐって、手を握ってくれって事?」

「そうよ。他にどんな意味があると思ってるのよ。ほら、お願いだから」


 僕は陽香が差し出してきた手を掴むと、陽香は僕の手をぎゅっと握ってきた。陽香は僕の手をしっかりつかんで倒れないように気合を入れているのだと思うけれど、意外とその握る力は強かった。

 不思議なもので、陽香と手を繋いでいる間は陽香の下着がちらりと見えた時以上にドキドキしてしまっていた。僕の心臓の鼓動が繋いでいる手を伝って陽香に聞こえなければいいのにと思っていたけれど、僕の心臓は普段とは違うリズムを刻んでいたので気付かれている可能性は高そうだった。

 僕と陽香は無言のまま家の近くまで歩いてきたのだけれど、あの角を曲がれば家が見えてくるというタイミングで陽香が僕の手をパッと離したのだった。


「ありがとう、もう大丈夫になったかも」

「そうなんだ。それならよかったよ」

「このお礼は今度するからさ、今日の事は内緒にしておいてね」

「うん。わかったよ」


 僕たちが玄関を開けて家に入ると、その時点で出汁の凄くいい匂いがしていた。

 イギリス料理にだしを取る文化なんてあるのかなと思っていると、僕たちが返ってきた事に気付いた真弓が僕らのもとへ駆け寄ってきた。


「おかえりなさい。陽香お姉ちゃんの具合はもう良くなったの?」

「ただいま。うん、涼しい風にあたってたらだいぶ良くなってきたよ」

「それは良かった。あのね、クレアちゃんが美味しいお鍋の作り方を教えてくれたの。出汁の取り方も教えてもらったから今度陽香お姉ちゃんにも教えるね。味付けは苦手かもしれないけど、出汁を取るのは出来そうな気がするんだ」

「お鍋って、イギリスにもお鍋あるの?」

「違うよ。クレアちゃんのオリジナル料理だって。でも、お鍋って何入れてもいいからオリジナルって感じはしないよね」

「へえ、お出汁の取り方なら覚えられそうね。味付けって塩とか醤油で良いのかな?」

「クレアちゃんは何でもいいって言ってたよ。それとね、今日はクレアちゃんが止まって行ってくれるんだけど、お兄ちゃんの部屋で寝るってさ」

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