クレアさんが沙緒莉姉さんと真弓と一緒にパンツを見せてくる
僕はクレアさんから目を背けて離れるように少しずつ移動していたのだけれど、クレアさんは僕の視界から消えないのでいつまでたっても僕はセクシーな黒い下着を見ることになっていた。やっぱり、僕はこういう風に自分から見せてくる人が苦手なようだ。
「昌晃君ってさ、男の子なのにこういうの見たいって思わないの?」
「見たいとは思いますけど、そんな風に自分から見せてくるのは違うと思うんです。ほら、見えそうで見えない時にやっと見えたってのが良いと思うんですよ」
「何それ、全然理解出来ないや。でもさ、沙緒莉も真弓ちゃんも積極的に昌晃君に見せてるって聞いたんだけど、それってやっぱり興奮しないわけ?」
「興奮するとかそういうのじゃなくて、いとこ同士なんだからそんな風に考えたことも無いですよ。それに、真弓は妹って感じだし、沙緒莉姉さんは頼れる姉って感じですもん」
「じゃあ、陽香ちゃんは?」
「陽香は、双子の片割れって感じですかね。勉強は陽香の方が出来るけど、それ以外はあんまり負けてないと思うんですよ。僕は道に迷ったりしないし、運動だってそれなりに出来ますからね」
「へえ、陽香ちゃんって方向音痴なんだ。そんな風に見えないけど、しっかりしてそうなのに意外だね」
「というか、そろそろその下着を見えないようにしてくださいよ。ずっとその体勢でいたら疲れるだろうし、沙緒莉姉さんたちにも変な風に思われますよ」
「あ、それなら大丈夫。私はずっとバスケやってるからさ。体力には自信があるんだよ。それに、私がこういう事をするのって沙緒莉に言ってあるしね。というか、沙緒莉から昌晃君に見せるのが楽しいって聞いてからさ、いつの日かこうしてやってみたいなって思ってたんだよ。私が思ってたよりも、楽しかったな。だからさ、またちょくちょく見せにきてもいいよね?」
「良くないです。そういうのは僕じゃない特別な相手にしてください」
「そうは言うけどさ、私ってずっと彼女いないんだよね。だから、見せる相手もいないって事なの」
「彼女?」
「そう。私ってさ、どっちでも大丈夫なんだけど。どちらかと言えば、可愛い女の子の方が好きなんだよね。沙緒莉はそういう対象ではないんだけど、ぶっちゃけて言っちゃうとさ、陽香ちゃんって私の好みのタイプなんだよね。なんだかさ、強そうに見えるのに意外と華奢だし、私が守ってあげなくちゃって思えるんだよね。今日会ったばっかりだけど、今だって風に飛ばされそうになってたし、助けに行った方が良いのかな?」
「いや、そこまで貧弱ではないと思いますよ。雨の日だって傘をさしてても風にあおられたりはしてないですからね。それよりも、他の人にもその下着見えちゃいますよ」
「まあまあ、ここなんて滅多に誰も来ないんだから大丈夫だよ。それにさ、私は昌晃君にしか見せてないんだから、もっと喜んでもらわないと私のプライドが傷付いちゃうんだけどね。もしかして、日本人じゃないと嫌で外国人は嫌いだったりする?」
「そんな事ないですけど。クレアさんは美人だと思いますし、正直下着が見えてるのってラッキーだなって思いますけど、見えてるのと見せられてるのでは僕にとっては大きな違いなんですよ。だから、見えてラッキーって思いよりも、早く隠してくださいって思いの方が強かったりするんです」
「まあ、そういうのって人それぞれだもんね。でも、昌晃君が日本人じゃなくても大丈夫って思ってくれるのは嬉しいな。ちなみになんだけど、私はパパもママも日本人だよ。こんな名前と見た目だけど、日本人だからね」
「え、そうなんですか。それは普通に驚きましたよ」
「でも、パパもママも元はイギリス人で日本に帰化しただけなんだけどね」
そんな事を話していると、遠くまで行っていた陽香たちが返ってきた。三人とも寒そうにしているのだけれど、風を遮るものが無い堤防の上を歩いていたのだから仕方ないだろう。
「途中でね、釣りをしている人がいたんだけど、今日は何も釣れてないんだって。でも、これから少し暖かくなるみたいだからもう少し続けてみるって言ってたよ。お兄ちゃんは釣りってするの?」
「僕はあんまりしたことないけど、真弓は釣りをしてみたいのかな?」
「真弓はあんまりしたいって思わないかな。きっと、真弓は針に餌を付けることが出来ないと思うんだよね。それに、釣れたとしても魚を外せないと思うんだ。だから、釣りをしても人に頼らないと何も出来ないかも」
「そうかもしれないけどさ、興味があるならやってみるのもいいんじゃないかな。道具なら父さんに言えば用意してくれると思うし、餌とか釣れた魚の手伝いならするからね。やってみて続けられなさそうだなって思ったらそこでやめてもいいと思うし、元からある道具を使うんだからお試しにはちょうどいいかもしれないよ」
「そっか、おじさんにお願いすれば釣りができるかもしれないんだね。でも、お姉ちゃんたちはきっと興味無いんだろうね」
「そうね。私は正直に言って魚はお店で買うので十分だと思うわ。虫が触れないってのもあるけど、生きている魚を触ったら料理出来なくなりそうだもん」
「そうよね。陽香の言う通りで、生きている魚を見ちゃうと魚料理が出来なくなりそうよね。やっぱり、魚はお店で買うのが一番な気がするわ」
「お姉ちゃんたちのいう事も一理あるかも。もしかしたら、真弓も魚料理が出来なくなっちゃうのかな」
「いや、三人とも魚料理ってしたことないでしょ。せいぜい焼き魚くらいで他に何かしてたっけ?」
「いや、してないけどさ、そういう事でしょ。私達は生きた魚に触る前から生きた魚に触ってるって思ってるって事によって魚料理を無意識のうちに避けていたって事なんだよ。だから、私達が魚料理をしていなかったのはたまたまなんじゃなくて必然だったって事なんだよ」
陽香は僕に向かって熱弁しているのだけれど、その言葉に僕の感情がゆすぶられることは一切なかった。むしろ、その言葉を聞いて、魚料理から逃げているんだなという感情しかわいてこなかった。
そして、そんな風に熱く語っていた陽香の後ろでは、僕だけに見えるように沙緒莉姉さんと真弓とクレアさんがパンツを見せてきていた。僕はそのパンツを見ないように陽香の目をじっと見つめていたのだけれど、陽香は僕と見つめ合うのが恥ずかしくなったのか、時々視線を外していた。
僕も本当は視線を外したいのだけれど、そうするとどうしても視界に三人のパンツが入ってしまうのでそれだけは避けたかった。どうしたらいいのだろうと思って天を見上げると、そこにはパンツなんて存在していなかった。
どこまでも抜けるような青空ではあったけれど、風があったせいでそこまで気持ちの良いものではなかった。




