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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
高校生編1

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林田さんとエメラルドグリーン

 林田さんにお昼を一緒にどうかと誘われたのだが、今日は水曜ではなく金曜だった。僕は水曜以外は誰とも特に約束なんてしていなかったので問題はないのだけれど、いつもと違う曜日に誘われるのは少し驚いてしまっていたかもしれない。


「今日は部室じゃなくて外で食べるんだね」

「うん、部室で二人っきりってのもいいんだけど、これだけ天気が良いと外で食べるのもいいんじゃないかなって思ってね。それに、今日はなんだか暖かいから部室にこもるのもどうかと思ってさ」

「確かにね。今日の天気だと室内に閉じこもってるのはもったいないかもね。他にも外で食べてる人はいるみたいだし、たまにはいいかもね」

「そのお陰でベンチには座れなかったけど、ピクニック用のシートを持ってきてて良かったわ。ちょっと地味な感じだけど、気にしないでね」

「うん、全然いいと思うよ。それにさ、いつもは校舎から外を見てるだけだけど、こうして外から校舎を見るのも意外と面白いもんだね」


 そんな事を話しながらお弁当を食べているのだけれど、今日は珍しく沙緒莉姉さんの作ってくれたおかずが入っていた。相変わらず見た目は良いのに味付けがシンプル過ぎて素材の味すらかすんでしまっているのだけれど、どうしたらこういう風に調理することが出来るのか心配になるレベルだった。

 僕のお弁当をじっと見ている林田さんだったのだけれど、そんなに僕のお弁当が気になるのだろうか。


「ねえ、昌晃君のお弁当ってさ。いつもと違う人が作ってない?」

「え、わかるの?」

「うん、なんとなく野菜とかの切り方がいつもと違うなって思ってるんだけど、もしかして前に言ってた三年生の先輩に作ってもらってるの?」

「いや、そうじゃなくてね。陽香には妹の他に姉もいるって言ったと思うんだけど、今日はその姉さんがお弁当作りの手伝いをしてたみたいなんだ。相変わらず味はしないんだけどね。でも、桃ちゃんは良く気付いたね。さすがお料理研究会だね」

「まあ、なんとなくそうなのかなって思っただけなんだけどね。それにしてもさ、三年生の人達って前田さんの事がそんなに好きだって事なのかな?」

「そうなのかもね。でも、吉川さんとか今井さんとは違って学年が違って接点が無いから見守ってるだけみたいな話をしてたよ。同じ学年だったとしても、陽香と話したことがある生徒の方が少ないと思うんだけどね。桃ちゃんは陽香と話をしたことある?」

「何回かはあったと思うけど、深い話とかはした記憶はないかも。学校の事とか部活の事とかで何回か話したくらいね。あとは、直接会話はしないけど代表者会議で時々姿を見かけることはあるわよ」

「代表者会議って、クラス代表の人達が集まって何か話し合いでもするの?」

「うん、そんな感じかな。でも、前田さんってクラス代表ではないんだよね。代表ではないんだけどさ、みんなの考えが煮詰まった時に重大なヒントを与えてくれて導いてくれるって事はあったよ」

「え、入学してからまだ半月とちょっとしか経ってないのに?」

「うん。代表者会議は週に四回以上はあるからね。その時に答えが出なくて纏まらなかった時に前田さんに助けてもらうって感じかも。でも、前田さんは最初から最後までいる感じでもないんだよ。前回の会議でまとまり切らないのを次回に持ち越しってときにね、前田さんの意見を聞くと、不思議なことにみんな納得するような答えを出してくれるんだよ」

「そんな事をやってたなんて全然気付かなかったよ。陽香はいつも一緒に帰ってるけどそんな事一度も教えてくれなかったな」

「多分なんだけど、昌晃君に教えなかったのってさ、前田さんの中ではわざわざ言うような事でもないって事なんじゃないかな。私達は悩んでるような事でも、前田さんにとっては悩むことも無いような些細な事なのかもしれないよ」

「たまに家で何かしてるなって思ってたんだけど、それってその会議の話を整理でもしてたって事なのかな」

「どうなんだろうね。私は前田さんの事はよく知らないけど、勉強もスポーツも私達の学年じゃ敵う女子はいないんじゃないかなって思うんだよね。私も勉強は自信あるけど、単純にテストの点数も提出課題の評価も勝てる気はしないかも。私が一つの事を覚えている間に五つくらい覚えているような気がするのよね」

「僕も一緒に勉強してて陽香の理解するスピードは凄いなって思うよ。僕もそれなりには勉強出来る方だと思ってたけど、問題を解くスピードも正確性も全然違うもんなんだなっていつも思ってるからね」


 僕は味のしないおかずをあらかた食べ終えて、母さんが作ってくれたおかずを一口食べてみた。キノコとピーマンの炒め物なのだが、味が少し濃いめという事もあってご飯をそれだけで完食する勢いで食べてしまっていた。

 それにしても、エメラルドグリーンのシートなんてどこに売っているんだろうと思っていた。こんなに目立つようなシートの上に座っているのは少し恥ずかしいけれど、外に出ている人達は他人の事なんて気にしているそぶりすら見せなかった。


「そう言えばさ、このシートって結構珍しい色だよね。この色って桃ちゃんが好きな色なの?」

「そういう事じゃないんだけどね。せっかくだから昌晃君にはどうしてこの色のシートにしたのか教えてあげようかな。昌晃君はなんでこんなに目立つようなシートに座ってるんだろうって思ってるのかな?」

「それはね、とある理由があってこの色のシーツにしてみたんだよ。それにしてもさ、外でご飯食べてる人達って、恋人同士なのかな?」

「そうかもしれないね。私達もそんな風に見えてたりするのかな。昌晃君はどう思う?」

「少なくとも、外に出てる人達は僕たちの事を何とも思ってないと思うけど、実際のところはどうなんだろうね」

「そうだよね。外にいる人はお互いに見つめ合ってるし、自分たちの世界に完全に入り込んでるように見えるよね」

「桃ちゃんもそんな風になったりするの?」

「私はそんな事はしないかな」


 相変わらず林田さんは僕をじっと見つめながら残りわずかとなったお弁当を食べている。お弁当を直接見ているわけではないのだけれど、どんな料理でも確実に自分の口に運んでいたのであった。


「そう言えばさ、昌晃君はゴールデンウィークに何か予定でもあるの?」

「今のところは無いかな。たぶん、このまま五月になっても何も予定無いまま終わっちゃうかも」

「それはそれで楽しいかもね」

「そうだよね。ちなみになんだけど、桃ちゃんはどこかに行ったりするの?」

「予定では香港か台湾に行くみたいなんだけど、詳細は何も聞いてないのだよ」

「海外って行った事ないから気になるかも」

「言葉と食べ物が違うだけで何とかなるもんだと思うよ。ちなみになんだけど、ゴールデンウィークに遊びに行ったりしてもいいのかな?」

「まあ、外で遊ぶ分には問題無いと思うよ。どんな遊びをするかは任せるけどね。それと、このシートの色ってどうしてエメラルドグリーンになったと思う?」

「そう聞いてくるって事は、何か理由があるんだろうね。どんな理由なのかはわからないけれど、僕にはさっぱり想像もつかないよ」

「そうだとは思ってたんだよね。この色ってさ、割と珍しいと思うんだよ。普通に釣ったとしてもこの色は滅多に見つからないんじゃないかな」

「それならそれでいいんだけどね。きっと手に負えなくなる日がやってくるんだけど、そうなるともっと早い段階でどうにかしろよって思うんだろうね。ちなみに、このエメラルドグリーンの意味は、私の下着の色とお揃いだってことでした」

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