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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
高校生編1

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陽香と二人の帰り道

「昌晃ってさ、自分でモテると思う?」

「どうして?」

「どうしてって、質問しているのは私なんだけど。で、どう思う?」

「どうって言われても。今までそんな経験はしたことないからわからないかも」

「だろうね。さっきの姿を見てたらそう思ったから」

「そう思ったって、どういう事?」

「だって、資料整理が終わった後の二人の距離感って、完全に好意が無い同士だって思えるくらい広かったもん」

「そうかな?」

「普通はさ、一緒に資料をまとめたりしてればそれなりに会話もすると思うのよ。でも、二人ってパッと見だけど、距離を縮めようとするどころか、お互いに壁を作っちゃってるように見えたのよね。それってさ、お互いに異性に対する信頼を持ってないって事なんじゃないかな。昌晃が昔っからいじめられてたってのは聞いたけど、もしかして林田さんも過去に何らかのトラウマがあったりするんじゃないかな。もしそうだったとしたらさ、私が協力出来ることあったら言って欲しいなって思ってね」

「どうだろう。林田さんがクラスでも男子と喋ってるとこ取ってみたことが無いんだけど、そういうイジメとかは無いような気がするよ。そもそも、僕以外にそんな対象になる人もいないだろうしね」

「ちょっと待って、昌晃って高校でもいじめられてるの?」

「いじめられているというか、クラスの男子から無視されてるって程度だけどね。実害は無いから気にしてないんだけど、考えてみたら林田さんも普通に女子とは話してるのも見ないような気がする。あれ、もしかして、林田さんも無視されているのか?」

「いやいや、林田さんの事はいったん置いといてさ、昌晃はクラスの男子から無視されてるのって、なんでなの?」

「なんでって、入学式の日からずっと毎日陽香と登下校しているからだって吉川さんたちに言われたよ」

「どうして私と一緒に登下校してたら無視されるようになるのよ」

「そんなの知らないけど、吉川さんたちが言うには、陽香みたいな可愛い子を独占してる外部生は敵だ。みたいな空気が男子の中で出来上がっちゃったんだって。僕はちゃんと陽香がいとこで方向音痴が酷くて一人で帰れないから一緒に登下校してるって言ったんだけど、男子は誰も信用してくれなかったんだよ。そもそも、僕の話なんて着てないみたいなんだけどね」

「じゃあ、私が明日のお昼に昌晃のクラスに行っていとこ同士だってことをわかってくれるまで言うわ。それでいいでしょ?」

「別に構わないけど、そんな事しなくても僕は気にしてないから大丈夫だよ」

「そんなに強がらなくても大丈夫だよ」


 陽香は僕の手を両手で握って見つめてきた。この構図は先ほど林田さんとのアレを思い出して気まずくなってしまう。でも、そんな事を知らない陽香は僕の目を真っすぐに見つめていた。もしかして、陽香はさっきの事を全部知っててこうしているのではないだろうか。そんな気さえしていた。


「あれ、昌晃の手ってなんかいい匂いしているけど、ハンドクリームとかつけてたっけ?」

「いや、そういうのは付けてないけど、そんなにいい匂いしているかな?」

「うん、なんか爽やかないい匂い」


 陽香は僕の手の匂いを嗅ごうと顔を近付けていた。もしかして、林田さんに触れた時に林田さんのいい匂いが僕の手に移ってしまったのだろうか。そうだとして、陽香はそれに気が付いてしまうのだろうか。


「あ、わかったかも」

「何が分かったの?」

「私がさっき縫ったハンドクリームの匂いかもしれない。手を洗った後に塗ったの忘れてたよ。でも、私の手にはあんまり匂いの子ってないのに不思議だね」

「もしかしたらさ、陽香よりも僕の方が体温が高いから匂いが強く感じちゃうのかもね。ほら、冷たいものより温かい方が匂いが強かったりするでしょ?」

「そうかもしれないけど、なんとなく腑に落ちないな」

「まあ、そんなもんだって。そう言えば、今日の晩御飯って何か知ってる?」

「今日は生姜焼きって言ってたと思うよ。真弓が食べたいって昨日言ってたからね」

「そうなんだ。生姜焼きはあんまり食べた事ないけど、おばさんが作ることってあったの?」

「生姜焼きは無かったと思うよ。そもそも、豚肉を食べる機会ってあんまりなかったと思うんだよね。牛肉も鶏肉もあんまり食べた事なかったかも。でも、ラムは体にいいからって良く食べてたよ」

「それって、どうやって食べてたの?」

「ほとんど塩気のない素焼き状態だったよ。でも、焼き加減は絶妙だったと思うんだよね。ママの焼き加減とおばさんのソースがあれば凄い料理になりそうだなって、今なら思うかも」

「母さんはしっかり過ぎるくらい焼いちゃうもんね。焼き加減なら母さんより陽香の方が上手だと思うし、今のうちに味付けも覚えちゃえば完璧になれるんじゃないかな」

「そうだといいな。でも、そうなるためにもたくさんみんなで練習しとかないとね」


 そんな事を話しながら帰っていると、見慣れた後ろ姿の中学生が僕たちの前を歩いていた。

 僕と陽香は彼女に声をかけると、そのまま仲良く三人で家路についたのだ。

 陽香も真弓も晩御飯の話題になるといつも以上に目を輝かせていたのだけれど、僕の母さんの作る料理が本当に好きなのが伝わってきて誇らしい気持ちになれた。


 沙緒莉姉さんは僕たちよりも先に帰宅していたようで、生姜焼きに添えるキャベツの千切りを作っていた。あんまり上手じゃない千切りキャベツではあったけれど、不揃いの方が家庭敵っぽくていいんじゃないかなと思いながら、僕は四人で仲良く料理をしている姿を見たいだのだった。


 ただ、部屋着に着替えた陽香は相変わらず服のサイズがおかしいのか、前かがみになると胸元が大きく開いていたし、しゃがむとローライズのジーンズからパンツが見ていた。

 でも、僕は今までのように激しくドキドキすることは無くなっていた。きっと、これは林田さんのおかげなんだろうなと思うことにしたのだった。

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