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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
ゴールデンウィーク編前半

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40/100

真弓は何でも知っている

 陽香がお風呂から戻ってきたので沙緒莉姉さんがお風呂へと向かっていった。

 真弓も一緒に入らないかと誘われていたのだが、真弓はそれを断ってゲームを始めていた。


「ねえ、ちょっと見たいテレビがあるんだけど見てもいいかな?」

「そのテレビって何時からなの?」

「あと三十分後くらいかな」

「そっか、あんまり時間無いみたいだからいったんやめようかな。それってどんな番組なの?」

「恋愛ドラマだよ。主人公の女の人がストーカーに追いかけられるんだけど恋人に助けられるってやつ。毎週いろんな手で追われるんだけどさ、彼氏が優秀だから危険な目には遭わないんだよね」

「それって、ドラマとして成り立っているの?」

「その部分ってあくまでも二人に足りない刺激を与えるスパイスみたいなもんだからね。それを乗り切った二人が楽しくイチャイチャするのを見るのが本編って感じかも」

「へえ、陽香お姉ちゃんはそういうのも好きだったんだね」

「恋愛系は割と好きだよ」

「じゃあ、ストーカーに追いかけられるのって好き?」

「え、そんなの好きな人いるわけないでしょ」

「だよね。でも、沙緒莉お姉ちゃんの事を好きな人ってのが大学にいるらしいんだけど、その人がストーカー気質っぽいから気を付けなくちゃいけないんだって。だから、沙緒莉お姉ちゃんを守るためにお兄ちゃんが家の外では彼氏のふりをするらしいんだけど、それを見ても陽香お姉ちゃんは驚いたりしないでね」

「お姉ちゃんと昌晃が恋人っぽくしてるのを見ても驚かないけど、お姉ちゃんにストーカーがいるってのは驚くよ。お姉ちゃんは私達よりもスタイルも良いし性格も明るいから好かれるのあわかるけど、ストーカー被害に遭うってヤバいよね」

「そうなんだよ。でもさ、何がヤバいって、相手にこの家の存在がバレているって事なんだよ。家がバレてるって事は、今まで以上に戸締りもしっかりしておかないと危ないって事だもんね。それにさ、沙緒莉お姉ちゃん目的で侵入してきた人達に陽香お姉ちゃんとか真弓が殺されたりする可能性だってあるかもしれないし」

「そんなドラマみたいなことあるとは思えないけどな」

「でも、そのストーカーの人って本当に危ない人らしいよ。私は面識ないんで噂レベルでしか判断出来ないんだけど、自分が気に入った相手はどこまでも追いかけるんだって。で、それが学校にバレたとしても、その人自身が優秀で生徒会長もずっとやってるような人だからさ、学校も怪我でもさせない限り表沙汰にはしないみたいだよ。それってさ、結構マズいと思うだよね」

「それってマズいよね。もしかして、その人って天野って名前だったりする?」

「え、陽香お姉ちゃん知ってるの?」

「私もクラスの友達から教えてもらっただけなんでちゃんとは知らないんだけど、去年まで高校の生徒会長だった人がお姉ちゃんと同じゼミらしくて、毎日のようにお姉ちゃんに付きまとってるってのは聞いたんだよ。その友達のお兄さんも同じゼミらしいんだけど、天野って人にはあんまり逆らえなくてさ、気付いたら自分が興味のないような相手の情報を調べたり家までついて行ったりもさせられてたんだってさ」

「そんなの断ればいいのにね」

「私もそう思って言ってみたんだけど、前に天野の命令を断った人が学校を辞めるくらい追い詰められたんだって。でも、その辞めた人がいじめられてたってことも無いらしくて、自主的にやめたことになってるらしいよ。でも、先生も生徒もみんな天野が関わってるって事は理解していたみたいなんだよね」

「それって、結構面倒な事だよね。真弓はお兄ちゃんたちから聞いた話でしか知らないけど、そういう人って誰にも迷惑をかけないようにどこかに行って欲しいなって思うよ」


 陽香と真弓は晩御飯の残りのケーキを食べながらそんな話をしていた。僕は何となく紅茶が飲みたい気分になったので、台所に置いてある陽香のティーセットを借りることにした。一言陽香に断りを入れると、二人の分も淹れてくれるのなら使ってもいいとのことだった。

 僕は昨日陽香に習った手順で紅茶を淹れていたのだけれど、その間もリビングにいる二人は天野さんの話題で盛り上がっていた。

 たぶんだけど、そこまで盛り上がっている二人は天野の顔を知らないと思う。そんな顔も知らない人の話題でそこまで良く盛り上がれるなと思っていたのだけれど、二人の関心は別の話題に変わっていたようだ。


 僕は二人の横に座って紅茶を淹れていたのだけれど、最初から最後まで陽香が無言で見てきていたのは試験の時以上に緊張していたと思う。

 ずっと無言でいられるのは何か文句を言われるよりも恐ろしいもので、僕は何か間違った手順を踏んでいたのではないかと変な汗をかいてしまった。

 入れた紅茶を二人の前にそれぞれ並べたのだけれど、真弓はそれを美味しそうに飲んでくれていた。陽香は、一口啜った後に小さくうなずいていた。それがどういう意味の頷きだったのかはわからないけれど、僕はまた緊張感に包まれてしまっていた。


「昌晃の淹れてくれた紅茶は美味しいよ。私が教えたとおりに入れてくれたってのがわかるよ。でもね」

「でも?」

「もう少し温度が低くても良かったかなって思うんだ。別に美味しくないってわけでもないし、香りだって豊かに感じることが出来ていいと思うよ。でもね、私はお風呂上りなんでもう少しぬるくても良かったかなって思ったの」

「ねえ、そいう言うのってちゃんと先に言わないとわからないと思うよ。真弓だってお姉ちゃんが何を求めているのかなんてわからないのにさ、陽香お姉ちゃんの事をほとんど知らないお兄ちゃんが陽香お姉ちゃんお求めている物に完璧にこたえるなんて無理だと思うよ」

「そうかもしれないけどさ、昌晃ならやってくれるかなって思ったんだよね」

「そんなのやってくれるわけないじゃん。長年連れ添った夫婦ってわけでもないし、今のはお姉ちゃんの採点が辛すぎるよ。ゲームだったら凄く叩かれていると思うよ」

「そうかもしれないけどさ、昌晃ならわかってくれるかなって思ったんだよね」

「あの、そう言うかと思って、牛乳も持ってきてるんだけど、使う?」

「ミルクティにして飲めって事?」

「ミルクティって邪道だったかな?」

「そんな事ないわよ。ミルクティだっておいしいし、ちょうどいい温度になるかもしれない。むしろ、私が今一番飲みたかったものと言っても言い過ぎではないかもしれないわ」

「陽香お姉ちゃんって本当に適当だよね。でもさ、お兄ちゃんに一応謝ってお礼も言っておいた方がいいと思うよ」

「それもそうね。さっきはわがままを言って困らせてごめんなさい。でも、ミルクを持ってきてくれていたことは嬉しいわ。ありがとうね」


 陽香は僕に向かって謝罪と感謝の気持ちを伝えてくれた。僕はそこまで気にしていなかったので謝られなくても別に構わなかったのだけれど、感謝を伝えられるのは正直嬉しかった。

 そして、僕に対して陽香は二回頭を下げたのだけれど、その二回とも大きく開いた胸元からブカブカのブラジャーが見えてしまったのだ。下を向くとブラジャーが浮いてしまうのかと思っていたのだけれど、前に見た沙緒莉姉さんのブラジャーはしっかりと胸を包み込んでいたと思うので、単純に陽香の胸に問題があったのだろう。

 一瞬の出来事だったのでハッキリとは見ていないのだけれど、いつもは見えない何かが見えたような気がしていた。


「お兄ちゃんの淹れてくれた紅茶ってケーキと合うように濃いめにしてくれてたんだね。これならミルクを入れても風味が飛ばなさそうだね。お兄ちゃんは何でもちゃんと見てるっぽいし、真弓にもあとで教えて欲しいな」


 僕は自分で入れた紅茶を飲みながら視線を真弓から外してテレビを見ていた。

 僕が陽香の胸元を見ていたことを真弓は知っているのだろうか。そう考えながらテレビを見ていたのだけれど、内容は一切頭に入ってくることは無かった。

 それにしても、晩御飯で食べたケーキの残りがまだたくさんあったと思っていたけれど、今のペースでなくなっていったのなら、僕がお風呂から上がった頃にはもうなくなっている事だろう。

 そう考えると、もう一つくらい食べておきたいという気持ちになった。なぜか、真弓は僕のためにケーキを切り分けてくれたのだった。


 真弓は僕を凄く見ているだけじゃなくて、考えまで読めるのかと少しだけ不安になったのだが、真弓の満面の笑顔を見てそれは僕の思い過ごしだという事にしておこう。

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