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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
ゴールデンウィーク編前半

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36/100

沙緒莉としつこい天野

 沙緒莉姉さんは三階にもう用事は無いらしく、趣味の本を見てから帰りたいとのことで一階へ向かっていった。僕はもう少し三階にある普段見ることの出来ないような本を見ておきたかったこともあり、もう少しだけ三階に残って色々と見ておきたかった。

 結局、僕と沙緒莉姉さんは別行動になってしまったのだが、本屋の中で一緒に行動することもおかしいような気がしているので特に問題はないだろう。

 どの本も僕の一か月のお小遣いでは買うことの出来ない本ばかりなのだが、値段だけではなく大きさと、その中に書かれている内容に圧倒されている僕がここにいたのだ。僕の部屋にある本棚に入らなそうな本ばかりだと思っていたのだけれど、探してみると手ごろなサイズ感の本もあるにはあったのだ。ただ、その中身は英語ではない言語で書かれているので内容はさっぱりわからなかった。


 結構時間が経ったのではないかと思って時計を見てみると、沙緒莉姉さんと別れてからすでに一時間近く経過していたのだった。少し長いし過ぎてしまったのだと思って階段に近付いてみると、下の方から沙緒莉姉さんの声が聞こえてきた。


「ごめんね、今日も一人じゃないんで行けないよ」

「そんなこと言わないでさ、少しだけでもいいから遊ぼうよ」

「それに、妹たちとご飯を作らないといけないんで無理かな。私の両親って今海外にいるから妹たちを放っておけないからね」

「それだったらさ、妹さんも一緒にどうかな?」

「いや、妹は人見知りするから無理だと思うな」

「今はちょうど連休中だし、とってもいい店があるんだから一緒に行ったら楽しいと思うよ。前田さんもたまにはサークル活動に参加しようよ。せっかくの連休なんだし、楽しまなきゃ損だと思うよ」

「あ、私は十分に楽しんでるから心配いらないかな」

「でもさ、せっかく大学に入ったんだし、遊ぶこともこれからの人生において必要な事だと思うんだけどな。僕が色々と教えてあげるからさ、一緒に遊ぼうよ」

「本当に無理なんだよね。それに、今日は一人じゃないから行けないよ。あ、明日も予定があるし、学校始まるまで空いてる日が無いかも。じゃあ」

「僕は前田さんが一日空いてなくても大丈夫だよ。少しの時間でもいいんだよ。おやつタイムみたいに短い時間でもいいからさ。どうかな?」

「どうかなって言われてもね。無理なものは無理なんだよ。私も一人じゃないし、予定はたくさん入れちゃったからね」


 うーん、どうやら沙緒莉姉さんはさっきの男の人にしつこくナンパをされているみたいだ。さっき話した感じだといい人そうにも見えたんだけど、本当はそうではなく面倒な人なのかもしれないな。もしかして、僕に仲良くしてくれていたのも沙緒莉姉さんと仲良くするためだったりして。

 いや、さすがにそれは無いか。もし、僕と沙緒莉姉さんの関係を知っていたとしたら、あれだけグイグイ行っている人なんだし、もっと僕に面倒な絡み方をしてきたんではないかと思ってしまう。

 このまま見守っていた方がいいのか、それとも助けに行った方が良いのか僕は悩んでいた。悩みながらも向こうから見えないように見守っていたのだけれど、階段の方を向いて明らかに助けを求めているような表情の沙緒莉姉さんがいた。僕は二人からバレていないと思っていたのだけれど、その時に沙緒莉姉さんとバッチリ目が合ってしまったので存在がバレてしまったのだ。

 沙緒莉姉さんは天野さんが喋っている時に僕に向かって口パクで何かを伝えようとしていた。おそらくだが、目が合った僕に助けを求めているのだろう。出来ることはやろうと思うのだけれど、あの人も頭が良さそうなので僕の口が勝てるか心配になってしまった。


「だからね、本当に一人じゃないんだよ。今は上で本を見てるんだけど、もう少しで下りてくると思うんだ。あ、ほら、下りてきたよ」

「確かに、誰か下りてきてると思うけど、前田さんの知り合いとは限らないんじゃないかな。たぶん、あの感じは前田さんの知り合いじゃなくてさっきまでそこにいた男子高校生だと思うよ」

「あ、それなら大丈夫。私の待っている人も男子高校生だから」

「いやいや、そんなわけないでしょ。前田さんとあの子は何の関係も無いと思うし。知り合いだったんなら、その子も誘って一緒にご飯を食べに行こうよ」

「だから、今日も明日もずっと家族と過ごすって決めてるの。どこにも行かないんだって」

「それだったらさ、家族も誘って温泉でも行こうよ。日頃の疲れを取るのも大事だと思うよ」

「温泉に行くんだとしたら家族で行くから大丈夫だって。だからね、私の事をそんなに気にかけてくれなくても大丈夫だから。私は私でちゃんと出来るからさ、気持ちだけ貰っておくからね」

「そんなに気にしなくてもいいんだよ。僕は前田さんが喜んでもらえるような事をしたいだけなんだよ。だから、連休中にどこかに遊びに行こうよ」

「えっとね、私は連休の予定がもう埋まってるんだよ。だから、天野君と遊ぶことは出来ないの。ごめんね」

「それでもさ、空いてる時間は少しくらいはあるでしょ。そこだけでもいいから遊ぼうよ」

「少しも空いていないんだ。妹たちの面倒も見るし、天野君が話してた男の子も一緒に遊ぶからさ。どこかに行くってことは出来ないんだよ」


 どれだけ断られても天野さんはめげていなかった。どうしたらあそこまで拒絶されていることに気が付かないで誘い続けることが出来るのだろう。そのメンタルの強さだけは見習いたいと思った。

 しかし、先程と比べて沙緒莉姉さんと目が合う回数が増えている。明らかに沙緒莉姉さんもイライラしているようだし、これ以上何かを引き延ばそうと思っても進展のない二人の会話からは何も見つからなさそうだ。


 僕は満を持して階段を下りて行ったのだが、階段を下りている最中に二人とバッチリ目が合って気まずくなってしまった。沙緒莉姉さんからはもっと早く来いという視線を送られていたし、天野さんはなんでお前なんだという風に思ってそうな表情を浮かべていた。


「あれ、沙緒莉姉さんはこの人と知り合いなの?」

「あ、一応知り合いかな。同じゼミの天野君だよ」

「先ほどは色々と教えていただきありがとうございました。」

「じゃあ、私達は急ぐんでまた学校であったらよろしくね」

「ちょっと待ってもらっていいかな。君は高校生だったよね?」

「そうですけど、それがどうかしたんですか?」

「どうかしたんですかじゃなくてさ、なんで君が前田さんの事を知っているわけ?」

「ああ、それはね。昌晃君は私の大切な人だからだよ。これから昌晃君と晩御飯の買い出しもしなくちゃいけないし、もう遅くなっちゃうから帰るね。誘ってくれてありがとうね。じゃあ、またね」

「ちょっと待ってもらってもいいかな」


 天野さんは沙緒莉姉さんと一緒に帰ろうとしている僕の腕を掴んでそう言った。先ほどまでの優しい感じとはうって変わって力強い何かを感じていた。

 僕は殴り合いの喧嘩なんてしたことが無いのだが、今の感じだといつ殴られてもおかしくないような印象を天野さんから受けた。実際に殴りあったりはしないと思うのだけれど、僕の手を掴む天野さんの力がだんだんと強くなっているようにも思えた。


「晩御飯の買い出しってさ、どうして一緒にする必要があるのかな?」

「どうしてって、一緒に住んでるからだもんね」

「そうですね。僕と沙緒莉姉さんたちは一緒に住んでますもんね」

「ちょっといいかな。前田さんのご両親って今は海外にいらっしゃるんだよね?」

「そうだけど、それがどうかしたの?」

「って事は、君の家に前田さんたちが住んでるって事なのかな?」

「そうですけど、僕の両親は連休を利用して沙緒莉姉さんのご両親に会いに行っていますよ」

「それってさ、大人がいない状況で一緒に暮らしてるって事なのかな?」

「そうだよ。私達は一緒に住んでるよ。それが何か問題でもあるの?」

「問題なんてないけどさ、その子が良くて僕がダメな理由は何かな?」

「何って、しつこいところかな。優しくしてくれるのは嬉しいしありがたいんだけど、ちょっとしつこすぎるんじゃないかなって思うんだよね」

「そんなに僕はしつこいのかな。自分ではわからないけど、君もそう思うかな?」

「ちゃんと全部聞いてたわけじゃないんでアレですけど、天野さんはちょっとしつこいと思いますよ。じゃあ、僕たちは用事があるんで失礼します」


 僕は天野さんが何かを言う前に沙緒莉姉さんの手を引いて階段を下りて行った。本当は駆け下りたい気持ちで一杯なのだが、沙緒莉姉さんが一緒に居ることもあって少しだけ早足で下りて行った。

 踊り場で少しだけに買いを見てみたのだけれど、そこには泣きそうな表情をした天野さんが僕を見ていた。変な風に呪ったりしないで欲しいなという気持ちになって僕は二階を見上げていたのだ。


「助かったけどさ、もう少し早く来てくれても良かったんじゃないかな」

「いや、友達っぽい感じだったんで大丈夫なのかと思って見守ってました。友達ではないんですか?」

「友達じゃないわよ。同じゼミ生ってだけの話よ。最初の歓迎会に参加してからやたらとしつこく付きまとわれているんだよね。先生たちに相談しても、天野君はご両親も凄い人だからって事で真剣に取り合ってくれないんだよね。大学生なんだから自分で何とかしなさいって事かもしれないけどさ、アレってちょっとヤバいと思うんだよね」

「僕もそう思いますよ。さっきはあんな感じじゃなかったんですけど、間に沙緒莉姉さんが入ったら豹変しちゃうんですかね。ちょっと気持ち悪いかも」

「でも、途中経過はどうあれ、昌晃君に借りを作っちゃったね。お礼に陽香のパンツ姿の写真でも撮って送ろうか?」

「いや、なんで陽香の何ですか。そういうのは良くないと思いますよ」

「全くだね。じゃあ、ここは恥ずかしさをぐっとこらえて、私のパンツを見せてあげるね。お風呂上りに見てくれたらさ、今まで見た事ないパンツを見せてあげるからね」


 僕は今まで見たことが無いパンツというものが何なのか気になっていたけれど、それを見せる舞台ではないんじゃないかと思っていたりもした。

 だからと言って、家の中でこっそりと見せられるのも困ってしまう。僕は沙緒莉姉さんのパンツが見たいのではなくて、今まで見たことが無いというパンツがどんなものなのか見てみたいという気持ちはあるのだった。

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