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春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる  作者: 釧路太郎
ゴールデンウィーク編前半

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お風呂上がりのサービスと人影

 一時になってしまうとそうとしか見えないという事はよくあるようで、僕がお風呂に入る前に仲良く三人でお風呂に入っていた陽香はすりガラス越しに髪の長い何かを見たらしい。もちろん、僕の髪は長くないし今この家に僕達四人以外に誰も人はいないのだ。

 それを直接見た陽香が怖がるのは理解出来るのだが、話を聞いただけの真弓も怖がっているのは理解出来ないし、絶対に怖くないと思っているのに面白半分に怖がって陽香と真弓を煽っている沙緒莉姉さんはどうかしていると思う。

 そんな事もあったためなのかわからないが、僕がお風呂に入っている間に脱衣所で三人が僕を見守っててくれると言い出したのだが、僕はそれを丁重にお断りするのだった。もちろん、僕は髪の長い人がいたなんて信じていないし、そんな話も聞いたことが無かった。そもそも、髪の長い人がいたとして何の用で出てきたのかもわからないのだから、対処のしようも無いというものじゃないだろうか。


 意図せずに僕は本日の最後にお風呂に入る人になったわけだが、最後にしてはいつもよりも早い時間なのだ。そんなことがあるからこそ、僕はいつも以上にゆっくりとお風呂に入ることにした。

 最近はゆっくりお風呂に浸かることも無かったなと思いながら何となく入り口辺りを見ていると、陽香が見たと思われるような人影が左右に動いているように見えた。脱衣所の鍵は閉めてあるので誰も入ってくることは出来ないと思うのだが、お風呂を楽しんでいる僕にはそんなものは何の関係もないのだ。

 その後も頭や体を洗ったり、ゆっくりと湯船に使ったりとお風呂タイムを大いに堪能していたのだが、結局のところ人影のようなものは最初に見たっきりで何なのか正体もわからず仕舞いだった。

 脱衣所で体を拭いたり髪を乾かしたりしていたところ、壁際に掛けられている紙袋の束がサーキュレーターの風で揺れているのを思い出した。たぶん、この紙袋が人影に見えたのではないと思うのだけれど、これがその人影だという事にしておけば陽香も真弓も納得して安心してくれるだろう。いや、こんなものを信じるわけはないと思うのだけれど、これが一番納得出来る答えになるとは思うことにした。

 とりあえず、人っぽく見えるように紙袋の束の間にタオルを何枚か挟んでおいて、すりガラス越しに見ると人っぽく見えるようにはしておいた。だが、先程と違ってタオルが直接風を受けることで自然な感じに動かなくなってしまったのだが、そんな事はどうでもいいだろう。きっと陽香と真弓は信じてくれるはずだ。


「というわけで、この紙袋が人影に見えたんじゃないかな?」

「そう言われてみればそうかも。でも、色が違ったような気がするな。そんなに明るい髪色じゃないと思うんだけど」

「それってさ、怖いって思う事で違う色に見えてただけなんじゃないかな。同じ物でも自分の状態で違うものに見えることがあるみたいだし、怖いって思ってたらそう見えるようになるらしいよ。真弓だってさっきの映画で見えないものを見たって言ってたしさ、思い込みでそう見えることだってあるんじゃないかな」

「そうかもしれないよね。うん、そうだわ。私が怖い怖いって思ってたからそう見えただけなんだよね。怖いって思わなければそう見えないってだけだもんね」

「陽香お姉ちゃんは怖がりだからそう見えただけなのかもね。真弓が最初に見てたらそうは見えなかったって事だよ」

「でも、真弓も私が見えた後に教えたら、怖くて震えてたじゃない」

「それはさ、陽香お姉ちゃんが怖がってたからだよ。お兄ちゃんも言ってたけど、怖いって思えば怖くないものでも怖く感じるってやつだもん。陽香お姉ちゃんが怖がりじゃなかったらさ、真弓ももう少しゆっくりお風呂に入れたのにな」

「ちょっと待ってよ。一番怖がってたのは真弓でしょ。私のせいにしないでよ」

「そりゃさ、怖がってたのは真弓もだけど、陽香お姉ちゃんみたいに変なの見てないもん。それって、真弓の方が陽香お姉ちゃんより怖がってないって証拠だよね」

「そんな事ないよ。私より真弓の方が怖がってたよ。体を洗う時だって目を瞑ってるのを鏡越しに見てたからね。真弓は鏡を見るのが怖くてお姉ちゃんに全部洗わせてたでしょ。そうだ、私の方が先に人影を見たのは事実だけど、真弓は怖がってずっと目を瞑ってたじゃない。そんなんじゃ、何も見えないよ。そんなのズルじゃない」

「ズルじゃないよ。真弓はほら、頭とか洗う時に目を瞑るから。小さい時からそうだもん」

「いや、それはみんなそうなんだけどさ、頭じゃなくて体を洗う時は目を瞑らないでしょ?」

「そんな事ないよ。真弓はいつも瞑ってるもん。いつも怖いって事じゃなくて、なんとなく怖いってだけで今日は怖くないし。陽香お姉ちゃんがいれば怖くないし」

「なんで私がいれば怖くないのよ」

「だって、幽霊とかそういうのって陽香お姉ちゃんのほうに行きそうだもん。なんでかわからないけど、そう言うもんだって思うから」

「ちょっとやめてよね。私がそういうの苦手なの知ってて言ってるでしょ。じゃあ、今日は真弓にくっついて寝るから何かに襲われても一緒だね。良かったね」

「良くないよ。そんなのいらないもん。そんなこと言うんだったら、真弓はお兄ちゃんと一緒に寝るもん」

「そんな子供みたいなこと言わないでよ」

「真弓はもう子供じゃないもん。大人だもん」

「いや、大人だったらますますダメでしょ」

「そうね、大人だったら昌晃君と一緒に寝るのはマズいわね。昌晃君は何もしないと思うけど、真弓はちょっとそういうの疎いから怪しいのよね」

「え、え、二人で真弓を責めるの?」

「別に責めてるわけじゃにけどね。大人なら一緒に寝るのは良くないって事よ」

「そうだね。一緒に同じ部屋で寝るのは良くないよね。だから、僕は自分の部屋で寝ることにするよ」

「「「それはもっとダメ」」」


 三人は僕の肩を掴んでおさえ付けるような形になってそう言っていた。三人の息がぴったりだったのは驚いたが、セリフも行動も揃っていたという事にも驚いてしまった。

 僕は三人の顔が思ったよりも近い位置にあったので困ってしまい、視線を少し下へ卸したのだが、そうすると見えてしまうものは三人が着ているパジャマの首元から見える空間なのだ。

 沙緒莉姉さんの大きな胸は白いブラジャーに包み込まれていて、陽香の小さい胸はブラトップというやつで守らているそうだ。真弓の胸は陽香よりは大きいのだけれど、沙緒莉姉さんよりはだいぶ小さいため、スポーツブラでしっかりと守られていた。白とグレーとグレーの布に守られている三人の胸から視線を逸らしながら、僕は手に持っていたジュースをごまかすように飲んでいた。

 ジュースを飲むときに横を向いて三人から視線を逸らしたのだけれど、その先にあったテレビの何も映っていない画面の中を誰かが横切ったような気がした。ハッキリと見えたわけではないのだけれど、僕たち以外の誰かが横切っていたように見えてしまった。

 陽香も真弓もそれには気付いていないようだったが、なぜか沙緒莉姉さんだけは僕と同じ方向に視線を動かしているように見えた。

 僕にはちゃんと見えなかったけれど、沙緒莉姉さんには何か見えているのだろうか。僕はそれが少し気になってしまっていた。


 それと、陽香のパジャマはいつも通りに薄手のせいかパンツのラインが完全に浮いているのはどうにかして欲しいと思った。パンツの色まではわからないのだけれど、もしかしたらパジャマと同じ色なのでわからないだけかもしれない。

 そう考えると、幽霊なのかわからないちゃんと見えない何かと陽香のパンツは同じようなものだと考えても問題は無いのではないだろうか。

 いや、そんな事を考えている時点で大問題ではあるだろう。どうして、見えないものがあると見たくなってしまうのだろう。僕はその答えがとても知りたくなってしまった。

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