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ロシア大戦争4

   ロシア大戦争4




 フィンランド時間 5月1日午前0時


 フィンランド政府は警戒を強くしていた。

 既に秘密裏に戦車部隊が東欧のウクライナ周辺へ訓練目的で展開を始めていたし、バルト諸国周辺には5万の陸軍部隊が訓練目的で既に布陣していた。

 ロシア海軍艦隊がサンクトペテルブルクから動き始めているのも知っていた。

 フィンランド政府は国防上の危機が数時間以内に起こる可能性を80%以上であると推測していた。

 既にこの一週間でロシア国境地帯の防衛線の構築は済んでおり、フィンランド軍は臨戦態勢を整えていた。

 おそらく、どの国よりも態勢は整っていた。

 

 午前1時57分


 最初のロシア陸軍の部隊が国境を突破した。

 その部隊は隠密部隊であったが、彼らは既に極東で事が起き始めていることを知り得ていたため、フィンランド政府は国家非常事態を宣言し、深夜なのに街中が明るくなっていた。

 さらには、フィンランドに迫る15万の軍隊を迎え撃つために予備役が招集された。

 フィンランドに対してのミサイル攻撃も対策は完了しており、既に陸軍部隊は基地を放棄し、各地に臨時司令部を作っていた。

 政府はバンカーに避難しており、ヘルシンキには対空砲、迎撃ミサイルが重点的に配備されていた。

 国境付近を突破しようとしたロシア陸軍戦車部隊は国境に大量に仕掛けられた対戦車地雷や、塹壕、トンネルを使った攻撃によって戦車部隊の随行員、戦車本隊にかなりの被害を与えていた。

 国境地帯の森はロシア軍の墓場であった。

 ありとあらゆる罠と決死の防衛をするフィンランド軍人、上空にはロシア対策を常日頃から考えていたフィンランド空軍が飛び交っていた。

 国境地帯の防衛線が抜かれるとヘルシンキが落ちる可能性が高くなる。

 そうなると、自分たちの家族が危険な目に遭う。

 そう考えた多くのフィンランド軍人達は圧倒的な兵力で攻撃してくるロシア軍に決死の覚悟で反撃した。

 そのため、フィンランド戦線はロシア内での順位が下がった。

 ロシアには攻略目標が多くあったからだ。

 その結果、フィンランドは領土は攻められたが、戦術的な勝利を重ね、戦争終了まで国土を守り抜くことになる。

 それは、小さな小国でも大きな国の侵攻を耐え抜くことができるという歴史の転換点を迎えるとともに、NATOの支援が大きかった。

 フィンランド米軍基地にいた米陸軍1個大隊と、急遽派遣されたグリーンベレーや、シールズといった特殊部隊が加勢したからだ。

 そして、NATOのフィンランド以外の東欧諸国は次々と落ちていった。



 5月1日には、ウクライナや、バルト諸国もロシアから攻撃された。

 その日攻撃された国は日本、満州、フィンランド、ウクライナ、エストニア、ラトビアである。

 その中のエストニアはあっという間に落ちてしまった。

 深夜の侵攻にエストニア政府は対応しきれなかった。

 エストニアには、ドイツ国防陸軍1個大隊が、フィンランドにいる在フィンランド米軍に対抗する形で配備されていたが、深夜であったことと小国エストニアにいるという攻められることはないだろうという安心感から緊急対応がおろそかになってしまった。

 その結果、ドイツ国防陸軍の部隊はロシア軍に包囲され降伏した。

 エストニア政府は首都タリンが午前5時過ぎに落ちたことで降伏した。

 また、同時侵攻を受けていたラトビアも午前6時前に首都リガが、ロシア軍によって制圧されてしまった。

 しかし、ラトビア政府はリトアニアに亡命した。

 ラトビアには臨時政府が発足した。

 こうして、わずか数時間で2カ国が制圧されてしまった。


 

 ドイツ 

 

 午前1時頃からドイツ国防省はかなり騒がしかったが、その混乱が各省や、総統府まで広がってきた。

 極東ではロシアのミサイル攻撃で日満両国から死者が出て、両国がヤブサメミサイルで反撃。

 さらには、樺太、満州北部で激しい地上戦が起こっており、日満両国が非常事態を宣言していた。

 フィンランドでは、国境線付近でフィンランド軍の決死の抵抗でロシア軍を押しとどめていた。

 ドイツ軍はロシア軍の動向を緊急でかき集めていた。

 そして、ドイツ政府、軍を動揺させたのはウクライナとバルト諸国への攻撃であった。

 欧州の穀倉地帯であるウクライナはドイツ政府にとって国内で足りない食糧の補給地であったし、バルト諸国は昔はロシアからドイツを守るための障壁であった。

 しかし、ドイツ政府は既にロシアはソ連ではなく、牙を抜いており、仲間であると判断していた。

 しかし、それは間違いであったとドイツは判断した。

 でも、今更何を言ってもロシアの進撃が止まらないことは誰の目にも明らかであった。

 ドイツ国防司令部は総統を緊急で起こすように指令を出した。

 ドイツの国家的な危機であるというドイツ国防軍の判断である。

 既に欧州では冷戦は形骸化していた。

 アメリカもドイツも冷戦への興味を失っていたからだ。

 今もなお、冷戦にこだわっているのは蛮仏戦争で痛手を負ったフランスと、ロシア、満州ぐらいであった。

 事実上の形骸化した冷戦になっていたのだ。

 既にドイツ軍は核戦力以外は削減されており、陸軍はライン戦線に2個軍団、アルプス防衛に1個軍団、国内維持に1個軍団、ポーランド、チェコ、オーストリア国境線に合わせて1個軍団であった。さらに、ウクライナ、ポーランドにそれぞれ1個師団、また海外各地に二個師団分程度であった。

 陸軍33万人、海軍機動艦隊一個と潜水艦隊、その他少々合わせて4万人、空軍18万人の55万人程度であった。

 これでも過剰であり、アルプス防衛や、ウクライナ防衛の部隊、海外展開部隊の縮小が続いており、陸軍は形式33万人であるが実際は30万ちょっとであった。

 そして、小さくなったドイツ軍ではロシア軍を止めるのには数が少ないというのが緊急で研究所が出した結論であった。

 総統府と国防省は、緊急で会議が行った。

 既に午前5時半頃にはエストニア、ラトビアは陥落寸前、ベラルーシはロシアに恭順し、ポーランドにロシア軍が迫っていた。

 ドイツ軍のウクライナ駐屯部隊はロシア側でなく、キエフやブルガリア周辺にいたのでまだ安全であったが、クリミアは既に占領されつつあった。

 







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