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死の勇者TS陰子は異世界帰還者である  作者: ぎあまん


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120/183

120 深淵狂騒曲 07


「はっ! リー将軍!!」


 寝ぼけ眼のルーは新たな人物を前にして慌てて敬礼をした。


「…………」

「…………」


 その後はなにやらC国語でやりとりする。

 まぁいいや、いまのうちに【鑑定】してやれ。


ネーム:李勝

レベル:275

クラス:英雄王


ネーム:阮晶明

レベル:120

クラス:舞槍士


ネーム:宗忠全

レベル:150

クラス:魔拳士


ネーム:郭干

レベル:100

クラス:飛剣法士


 おお、強い!

 亮平よりレベルが高い奴に初めて会った。

 全員が100↑というのもすごいよな。

 しかも英雄王ってなんか字面がいいな。

 もしかして、こいつが英雄部隊のリーダーか?

 あっ、全員に睨まれた。

【鑑定】がばれたか。


「貴様! 覗き見するな!?」

「ソーリーソーリー」


 舞槍士の女は日本語が使えるようだ。ルーよりはつっかかった感じの発音で怒ってきた。

 年も俺と同じぐらいだ。

 それ以外の三人は男で年上だ。英雄王と飛剣法士が二十代後半ぐらいで、魔拳士が二回りぐらいは上っぽい。


「織羽さん、こちらはリー将軍。英雄部隊を率いられている方です」

「そりゃどうも。で、なんの用?」


 紹介をサラッと流して用件を尋ねる。


「救援に来たとのことです。大変名誉なことですよ、織羽さん」

「で、火焔山とやらの攻略は終わったのか?」

「織羽さん……」

「聞けよ。自分の仕事を放り出して他人の仕事に口出しに来たのかって」

「…………」

「聞けないなら、全員、俺の仕事を邪魔しに来た敵とみなす。言葉の壁が生んだ悲しい衝突だな」

「私たちは委員会からの命令で来た」


 俺の殺気を受けて言葉に詰まるルーに変わり、舞槍士の女……ルァンがリーに話しかけてから答えた。


「火焔山の攻略はまだ終わっていない」

「で、邪魔して来いって言われたのか?」


 委員会っていうのがこいつらの上司なんだろう。

 上に命じられて攻略途中のダンジョンからいきなりここに来させられたのか。

 そう考えるとこいつらもかわいそうな連中だが……とはいえ油断もできない。

 どうも上の連中は俺に成功報酬を払いたくない腹積もりな気がする。


「攻略を命じられた。ただそれだけだ。やり方については命じられていない。できれば協力を申し込みたい」


 殺気がきつ過ぎたかルーが動けなくなっているので、ルァンがそのまま通訳となる。


「協力ったって、御覧の通り順調だったんだがね」

「そ、そうだな」


 俺が周りにいる鋼鉄兵士たちを示すとルァンが動揺を見せた。


「まっ、手が足りないときはお願いするかもしれない。それ以外は付いて来てくれればいい。こんなところだが休暇に来たとでも思ってくれ」


 そんなわけで、ここまで一気に突っ走って来た英雄部隊の四人のために追加で休憩時間を取ることになった。



†††††


 鋼鉄兵士に守られて休憩する英雄部隊の四人。

 リーダーの英雄王・李勝……リー。

 舞槍士の少女・阮晶明……ルァン。

 最年長の魔拳士・宗忠全……ゾン。

 飛剣法士の青年・郭干……グゥォ。

 四人は各自取り出した折り畳みイスに座って顔を見合わせていた。


「これはまったく、予想外の光景だな」


 言葉に迷っている三人に変わって、リーは苦笑を浮かべた。


「なるほど、強気の態度も理解できる」

「上はこれを理解していたのでしょうかな?」


 と、ゾンが顎先に伸ばした髭を揉みながら言葉を漏らす。


「ここまでとは思っていなかっただろうな。だが、テレビで流れた部分だけでも彼女の実力が並外れていることは証明できる」

「ならやはり、今回の状況はあの女を排除するためのものということなの?」


 ルァンが顔をしかめる。こちらの【鑑定】を弾いておきながら、自分はちゃっかりとこちらの実力を【鑑定】で測っている。それに腹を立ててはいるが、だからと排除を望むほどでもない。

 そういう感情がしかめっ面に漏れている。


「色々だろうな」

「色々?」

「色々だよ。ルァンはわかんねぇか?」

「はっ? あんたにわかるわけ?」


 揶揄ってくるグゥォを睨む。


「そりゃな。実際、深淵はあの黒いののせいで攻略のとっかかりさえなかったんだ。攻略できるならそれに越したことはない。で、失敗したって日本の実力者をこき下ろす道具にできる」

「だが、本当に攻略されても困る。成功報酬が高額過ぎた」

「そうですな。報酬が安ければ、案外、なんの障害もなかったのかもしれませんな」

「なら、わたしたちが火焔山の攻略の邪魔をされたのもあの女のせいってことよね。迷惑!」

「とはいえ、一度了承した話に泥を塗ろうとしているのは我らが祖国だ。誉められた話ではないし、従う気にもなれん」

「それに、戦って勝てますかな?」


 ゾンの問いに全員がまた黙った。


「なにより大事なのは自分の命……ということですな?」

「そういうことだ。みな、愚かなことは考えるなよ」

「了解」

「了解っ」


 そんな風に話がまとまった。




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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ命賭けてる最前線まで頭お花畑ならとっくに滅んでるわな 数がいる(人口的な意味で)のを理由に使い潰しながら繁栄する方法がとれないもんな ある意味実力者しか生き残れない三○志みたいになって正…
[一言] 敏腕秘書(予知的に)霧さんいない状況でややこしい事になってるなぁ 本人が残ったって事はこっちは任せておけるって事の無言の信頼なんだろうな〜
[一言] 案外まともな方々でしたね まぁ異世界で勝ち残ってきた修羅場経験組が命の掛かった場面で判断を謝ったりはしないか
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