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ショートショート集

作者: sur

1 美女か野獣


ある国に絶世の美女がいた。

男は、その女に一目ぼれをし婚約を申し込む。

そして女は、ある条件を出す。あなたの前に二つの扉を用意させます。

方一方には私が。もう一方には凶暴な虎が入っています。

私の方を選んだら結婚してあげます。もう一方を選んだら・・・

男はその条件を了承した。

では、二日後に・・・。


そして、運命の日がやってきた。しかし、男には確信があった。

この二日間で調べに調べ、裏ルートを使って女が入っている方の扉の情報はつかんでいるのだ。いろんなものを渡して、失って得た情報だ。確実に信用できる。

そして男はつかんだ情報の通り右の扉を開ける。


その中には、予想通りあの麗しき絶世の美女が立っていた。

そして、美女は言う。よく私を選んでくれました。

約束通りあなたと結婚しましょう。

その前に私の本当の姿を見せなければいけませんね。


そういうと美女はたちまち虎の姿になり、けたたましく吠える。

これが、私の本当の姿です。魔法使いの力で人間に変えてもらっていました。でも、結婚するあなたには本当の姿を見てもらいたいの。

さぁ、誓いのキスを・・・。


そうして男は悲鳴を上げたのち、顔を食いちぎられて息絶えた。


余談だが、隣の扉に入っていたのは呪いによって虎へと姿を変えられた美しい隣国の姫君で、扉を開け光を浴びると元の姿に戻るという・・・








2 自殺志願者


ある男が16階建てのビルの屋上に立っていた。

その男は目の前の柵を乗り越え、あと一歩で地上30Mの高さから飛び降りれる位置まで来た。

周りの人や下にいる人が異変に気づき、男を止めようとする

しかし男は

「やめてくれ!いい加減にこの世界から出たいんだ!この世界でもらった薬も効かないし・・・こんなおかしな常識の世界じゃ頭が狂っちまう!!」

そう言って男は飛び降りた。


そして、男はベッドの上で目を覚ます。

「良かった。やっと夢の中から出れたよ。やはり、夢の中の自分を殺せばよかったのだな」


そうして、男は何気ない平凡な日常へ戻っていった。







3 宇宙のあいさつ


宇宙人がやってきた。

出迎えた多数の美人とひとしきり握手攻め。

美人の一人が訊いた。

「あなたの星でのセックスはどうやるの?」

宇宙人いわく

「いまやっていたのがそれです・・・。こんなにたくさんの女性と一度にしたのは初めてです」


疲れた宇宙人はとっとと帰っていった




4 夢が実現する


「おい、聞いてくれよ。毎晩、変な夢を見てさ。夢の中で蛍光灯が日に日に一本ずつ減っていくんだ。たとえば一昨日は11本だったのに昨日は10本になっててさ」


「へぇ、なんなんだろうな」


「ホント何なんだろうな。薄気味悪ぃよ。でも0本になった次の日の夢はどうなるのか、ちょっと楽しみだけどな」


「まぁ、でもそういうのってあんまり気にし過ぎない方がいいぜ。そのうち忘れるだろうし。」


「そうだな。日本から蛍光灯が全部消えるなんてあり得ないしな。」


「そうだよ。あっ、明日早いから俺そろそろ帰るよ」


「おう、また進展があったら教えるよ」


その10日後、彼は事故に会い失明してこの世の光をすべて失った。

彼が光を見ることはもう二度とないだろう・・・




5  嘘吐き


蝉が甲高く鳴き、空は高く、透きとおった青に柔らかくて白い雲が浮かんでる。

八月某日。前方で陽炎が揺れてる。うだるような暑さの中、俺は墓参りに来ている。

「彼女が死んでからもう5年も経つのか・・・」


彼女は不治の病だった。いくつもの病院をまわったが、結果は同じ。もう手の施しようが無かったのだ。

もって、あと一か月の命。


僕は彼女を励ますためにある約束をした。

「そうだ、元気になったら海へ行こう。思いっきり遊ぶんだ。今みたいな夏がいいな。だから早く治せって。まぁ、心配すんな5年後くらいにはきっと完全に治ってるって。どこへでも行けるようになるよ。だから、その時までこのペンダント預かっといて。元気になったら返してよ。」


彼女は笑っていた。その頬には涙が伝っていた。


とても悲しそうな顔で、彼女は泣きながら微笑んだ。






僕は、彼女の墓に花をあげ手を合わせた。

あの約束は夏が来るたびに溶かされて、地面に染みて消えていった。


もう、全部終わったんだな・・・。






ー嘘つき!ー






後ろで突然彼女の声が聴こえた。



僕は心臓を鷲掴みにされたような衝撃を受け、慌てて振り向く。



しかし、そこには誰もいなかった。



そこにはただペンダントが落ちていて、鳴きやまない蝉の声がただずっと響いていた。





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