霊山リーゼンベルクの精霊
冒険者ギルドで追加受注するクエストを選ぼうとしていると、突如アルゴノーツの座っていたテーブルが白い霧に包まれた。状況がよく分からないので静観していると、霧は濃さを増し周りが見えなくなってしまった。
「むむむ?何事でござる?」
「これは魔法による霧だな。作為的に我々だけをを狙っているようだ。」
「え?何?攻撃?」
アカネとフィオとエルは突然の出来事に身構えたが、ミカは慌てる様子もなく座っている。
「周囲の冒険者は異変に気づいてすらいなかったし、この霧には高度な幻惑効果があるみたいだな。この魔力の感じはあいつか。」
「ミカは犯人に心当たりがあるの?というかこの霧は何なの?」
「この霧は転移魔法の一種だぞ。そろそろ霧が晴れるだろう。」
ほどなくしてパッと霧が晴れると、私たちは緑豊かで穏やかな山の麓に居た。ギルドから強制転移させられてしまったようだ。
「やはり霊山リーゼンベルクか。となると犯人は私が受けたクエストに書かれていた、山の精霊で間違いないな。」
「ああ、ミカの知り合いって言っていた精霊か。その精霊が私たちを呼び出したって事?」
「まあそうなるな。」
「ミカはあまり驚いていなかったみたいだけど、精霊の目的も分かるの?」
「細かいことは分からないけど、たぶん暇だったんだろう。クエストが受注されたのに挑戦者が一向に山に来ないから、痺れを切らしてあいつの方から仕掛けてきたみたいだな。」
「精霊は山頂に居るんだよね?クエストが受注された事なんてわかるの?」
「千里眼はあいつの得意技だから、クエスト受注状況なんて易々と把握できるだろうな。」
「話からすると攻撃じゃなかったのでござるな。」
「ミカの知り合いの仕業ならひとまず安心か。」
「状況が読めないけど、そうなの?」
簡単に状況確認をしてから周囲を改めて見渡す。鳥のさえずりは聞こえてくるが、静かな森に囲まれた山のようだ。ミカはリーゼンベルクと言っていたな。
「これからどうする?山の精霊との力試しクエストを始める?」
「このままギルドに帰ってもまた呼び出されるだろうし、そうするしかないな。こらえ性のない奴だ。」
「山の精霊ってどんな人なの?」
「鼻が長くて白髪で、ドワーフみたいに髭を生やした爺さんだぞ。クエスト情報に書いてあった通り幻惑魔法が得意で、山に入った人を迷わせたり、逆に迷い人を街に帰したりしているみたいだな。」
「なんだか天狗みたいな感じでござるな。」
「言われてみればそうだね。」
「元よりクエストには向かうつもりだったし出発しようか。」
「おっけー。」
「よし、アルゴノーツクエスト開始だ!」
「おー!」
ミカの掛け声で一行は山の頂上を目指して出発した。
ちょっと忙しいので、今日は短めの導入部分だけ。




