家に着くまでがクエストです
エルはゴーレムと力比べをして倒し、力を認められて主従の契約を結んだ。エルはゴーレムにゴーくんと名付け、ゴーレムの捕獲クエストは達成された。
ゴーくんを仲間に加えたエルとアルゴノーツの一行は、モグラの魔物が待っている広場まで戻って来た。
「モグラさんお待たせ。」
「早かったな。用事はもう終わったのか?」
「はい、ゴーレムの捕獲は無事達成できました。」
「ゴオオ。」
ゴーくんは返事をするように小さく唸り声をあげた。エルだけでなく私の言葉にも反応しているし、やはり知性があるように感じるが、話はできないんだろうか?
「かなりでかいゴーレムだが、お前たちこいつを倒したのか?」
「エルが一人でやっつけましたよ。」
「そこの一番小さい奴か。見かけによらず強いんだな。」
「私はたぶん見た目通りの弱さですよ。」
「そうなのか?まあ細かいことは聞かないが。それで、これから街へと向かうのか?」
「そうですね。今は午後の3時ごろなのでまだ時間に余裕は有りますけど、早めに戻って私たちも街で準備をしたいですし。」
「私は特に準備する必要がないから、いつでもいいぞ。」
「それじゃあ、モグラさんは街の近くの森に潜んでいてもらって、私たちの準備が終わったら呼びに行きますね。」
「それで構わない。よろしく頼む。」
モグラの魔物もパーティに加えて大所帯な感じになったパーティは鉱山の中を進む。
「それにしてもエルは強かったね。」
「そうでござるな、あの雷を纏う技は魔法でござるか?」
「詳しく話すと長くなるんだけど、あれは魔法ではないよ。街でやりたいこともあるし、帰ってから時間を作って改めて話すね。」
「了解でござるよ。エル殿も用事があるようだし、少し急いで戻るでござるか。」
鉱山の入り口まで早足で戻ってきたので一息つく。
「ここから街まで歩くと30分、まだ時間に余裕は有るでござるが。早めについて準備をしたいし走るでござるか?」
「モグラさんとゴーくんはどのくらいの速さで移動できるんだろう?」
「私はそれなりに速いぞ。馬より速いくらいだな。」
「ゴーくんも力比べの時の突進の速度からすると、同じくらいの速さで走れそうだねー。」
「見かけによらず二人とも速いね。それなら一番足が遅いのは私かな?そういえばエルは走るの得意?雷を纏っていた時は、それこそ雷みたいなすごいスピードだったけど。」
「あの状態は身体能力が上がっているから、普通に走る速さはもっと遅いよ。せっかくだし私はゴーくんに乗せて貰おうかな?」
「それなら私もゴーくんに乗ってもいい?」
「うん、いいよ。いいよねゴーくん?」
「ゴオオオ。」
ゴーくんが背中に乗るように身振り手振りで催促しているので、エルと二人で乗せて貰う。
「ミカはどうする?」
「私は飛んで行こうかな。たまには羽を伸ばさないとな。」
ミカは羽があるから、比喩ではなく本当に羽を伸ばすって事だな。ミカは不老不死だから調子が悪くなったりしないはずだけど、気分的な問題なのかな?
「アカネとフィオはやっぱり走るの?」
「そうだな。今回我々は特に何もしていないし、体が鈍らない様に組手をしながら帰るとするか。」
「了解でござる。大した距離じゃないから本気で行くでござるよ!」
「それじゃあ出発しよう。」
「おー。」
相談を終えて、パーティ全員で街へ向かって走り出した。
「ゴーくんは2足歩行の巨体だけど、走ってもそんなに揺れないね。」
「ゴーレムは誰かに作られた魔法生物だからね。人を乗せるために特殊なバランス調整が効いているのかもしれないね。」
「そういえばゴーレムって個体数を増やす方法はあるの?あそこにいる数だけで打ち止め?」
「鉱山に居るゴーレムの数は一定に保たれているらしいよ。詳しくは分からないんだけど人と契約して出ていくゴーレムが居たら、別のゴーレムが補充されて、契約の部屋のさらに奥の洞窟で小さなゴーレムが産まれるみたい。」
「数が減らないように調整された魔法生物なのか。そう聞くとやっぱり自然な生き物とは違うんだね。」
「私は機械や道具にも意思が宿ると思っているし、ゴーレムが作り物の命だとしてもきっと心があると思うよ。ね?ゴーくん。」
「ゴオオ。」
ゴーくんの返事だと肯定してるのか否定してるのかよくわからないな。でも物にも意思が宿るって考え方は、日本の付喪神みたいで何となく納得できるな。
街まではまっすぐ行けば10分程で到達するが、街の近くに有る森へとモグラの魔物を案内して隠れてもらうために少々寄り道する。
「夕方頃にまた迎えに来るので隠れて待っていてください。」
「分かった。別の冒険者に見つかると厄介だし、地中に籠っていることにしよう。時間になったらここに来てくれ。」
そう言うとモグラは一瞬で穴を掘って地中へと姿を隠した。穴の入り口はあまり目立たないように埋められており、これなら容易く発見されることは無いだろう。
「モグラ殿は走るのもなかなか早いし、まるで忍者みたいでござるな。なかなかの素質でござる。」
「確かにモグラは忍者っぽいかも。」
「色合いも目立たないし大人しいし、勧誘してみたらどうだ?」
「拙者はプロの忍者とはいえ現在修行中だし、冒険者も兼業でござるからな。弟子を取るのはちょっと無理でござるよ。」
「魔物でも忍者になれるの?」
「和の国には魔物が居ないでござるからな。誰も偏見を持っていないはずだし、魔物だから無理という事は無いでござるよ。もちろん修行して試験を通らなければ、プロの忍者にはなれないでござるが。」
ミカが昔和の国を旅行したときは忍者がいっぱい居たと言っていたけど、プロになるのは冒険者になる以上の難関だと言う話だし、アマチュアの忍者も居るんだろうか?
モグラと別れて森から街へと向かい、最終的には鉱山から20分程かかって街へと到達した。
「私たちはとりあえずギルドにクエスト達成報告をして、そのままモグラさんの事をフラウさんと相談しよう。ギルド長のレオさんから連絡してもらってるはずだけど、具体的にどうするか決めないとね。」
「マキの通訳が重要になるだろうし、ギルドの管理メンバーとしっかり作戦を練ったほうがいいな。」
「エル殿はどうするでござる?ゴーくんはそのまま街に入れるのでござるか?」
「ゴーくんが私の管理下に入ったことを職人ギルドに登録しないといけないから検問には少し時間がかかるよ。だから、私はいったんここで別れるね。色々片付けたら冒険者ギルドの方に行くから、そっちはよろしくね。」
「おっけー。モグラさんの件も片付いたら約束通り一緒に夕食に行こうね。」
「うん、楽しみにしてるよ。それじゃあまた後でね。」
エルはゴーくんを連れて、商人用の入国審査ゲートへと向かっていった。私たちは一般用ゲートから入国し冒険者ギルドへと向かう事にした。




