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ヴァンパイアとパンダ  作者: 怪獣大熊猫
ドワーフの国ニザヴェリル
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冒険者クエスト―畑の獣害予防― ~達成報告~

 畑を荒らした犯人は、アカネの忍者としての兄弟子であるアライグマのオスカルだった。私とミカは反省しているオスカルと共に、食事に出かけているクエスト依頼者の帰りを待っている。アカネとフィオは依頼者が帰って来たら起こすということにして今は寝ている。

「時間ができてしまったし少し話を聞いてもいいか?」

「いいですよ。」

「まずお前たちは冒険者と言っていたが、具体的には何者なのだ?アカネとはどういう関係なのか教えてくれ。」

「私は転生者でパンダのマキです。アカネとは冒険者パーティアルゴノーツのメンバーで・・・まあ細かいことは置いておいて友達ですね。」

「私は吸血鬼(ヴァンパイア)のミカだ。アカネとの関係はマキと同じ感じだな。」

吸血鬼(ヴァンパイア)だって?空想上の怪物だと思っていたが実在したのか。道理で強そうなわけだな。」

「アカネもミカの事を知らなかったし、和の国ではミカの存在は知られていないみたいだね。」

「その様だな。吸血鬼は世界的に広く知られているみたいだけど、私自身は別に有名人ではないからな。例外として私の住む森に近いミッドガルドと、ミッドガルドと親交が深いニザヴェリルでは私を知っているものが多いみたいだな。」

「あと人間もミカを知っていたみたいだったね。」

「あれはたぶん私を知っているわけではないと思うけど、まあいいか。」

「よくわからんが吸血鬼(ヴァンパイア)ってのは話に聞くような悪い奴じゃないみたいだな。」

「ミカ以外の吸血鬼は伝説通りの悪い奴だから危険みたいですよ。」

「ほう、ミカが特別なのか。それで転生者というのはなんだ?アカネと同じように前世の記憶を持っている者の事か?」

「転生者って言うのは人間の女神によって送り込まれた者の事です。アカネも転生している事には違い無いですけど、便宜上女神が関わっている転生者とは分けて前世の記憶保持者って呼んでます。」

「神なんてものが本当に居るのか。それならマキは神の命令で動いてるのか?」

「私も一応魔王を倒せって送り込まれたんですけど、別に神の言う事を聞く必要はないみたいなので関係ないですよ。私は戦う力がほとんどないですしね。」

「それじゃあ耳長の・・・エルフだったか?あの子は何者なんだ?」

「彼女はミッドガルドで出会ったエルフのフィオです。フィオもアカネと同じく前世の記憶を持っていて、私たち3人と友達になって一緒に旅をすることになりました。」

「なるほどだいたい分かった。冒険者仲間ってよりは友達なんだなお前たちは。」

「そうですね。冒険者になったのも旅をするのに便利だからって言うのが動機でしたからね。」

「そう言う事なら安心してアカネを任せられるな。あいつは忍者のくせにまっすぐだから、悪い奴に騙されたりしないか心配だったが、お前たちと一緒なら大丈夫だろう。」


「そういえばオスカルさんはどうやってアカネの居場所を探し当てたんですか?アカネは和の国から海を泳いで渡ったって言っていたから、臭いを辿るのは無理だと思いますけど。」

「アカネは旅立つ前にまずは西へ向かうって言っていたから、西に向かっていろんな国を虱潰しに探してきたのだ。拙者は鼻が利くからある程度近づけば臭いで分かるのだが、おかげで見つけるまでに時間がかかってしまったな。」

「その巨体で人の国に入っていたんですか?よく見つからなかったですね。」

「こう見えて忍者だからな。気配を消して隠密行動するのは得意中の得意だ。お前たちには見つかっていたみたいだけどな。」

「私たちがオスカルさんに気づいたのはミカが魔力感知で見つけたからですね。」

「拙者の隠密を見破れるのは里では頭領だけだぞ。」

「修行が足りんぞオスカル。」

「そうだな。アカネも強くなっているようだし、拙者も帰ったら頭領に改めて修行をつけてもらうか。」


 アカネとの馴れ初めを話していると、夜の10時を周った頃になり、ゲッツと奥さんが食事から帰って来た。クエストの報告が有るので、アカネとフィオを起こしてから二人を出迎える。

「悪いなあんたたちだけに任せちまって、警備お疲れさんだぜ。」

「おかえりなさい。」

「見慣れない動物が居るけどそいつが畑荒らしの犯人だったのか?」

「実は拙者の里の仲間が犯人だったのでござるよ。申し訳ないでござる。」

 オスカルとアカネは深々と頭を下げた。

「そうなのか?どうして畑を荒らしたりしたんだ?」

「あまりにもおいしそうなメロンだったのでつい食べてしまったのだ。本当に申し訳ない。」

 私は通訳してゲッツにオスカルの言葉を伝える。

「被害としては大したもんじゃなかったし、これ以上荒らさないなら俺は気にしないぜ。」

「かたじけないでござる。メロン代は支払わせてもらうでござるよ。」

「まあまあいいって事よ。その動物も腹が減ってたんだろ?野生動物に畑が荒らされても動物に金を請求したりはしないぜ。荒らされないように対策はするけどな。畑の獣害と防衛は言ってみれば農家と動物の真剣勝負だからな。昨日の被害は俺が油断してたせいだし、今日被害が出なかったのはあんたたちを雇って対策したおかげだ。そこに恨みも何もないさ、お互いにな。」

「本当にかたじけないでござる。」

「アカネとフィオはユグドラシルのリミッター解除の果実を食べただろ?それなら植物を操る力が少し使えるはずだぞ。気になるならメロンを復活させてやったらどうだ?」

「そんなことができるのでござるか?」

「魔力を大量に消費してほんの少し操れる程度だろうけどな。今日はあとは寝るだけだし問題ないだろう。」

「そう言う事ならばやってみよう。すまんがゲッツも付き合ってもらえるか?」

「まあそこまで言うなら頼むぜ。」


 ゲッツの奥さんは家に戻り、残り全員で被害の有ったメロン畑へと移動した。アカネとフィオが両手を畑にかざし植物に魔力を注ぎ込む。幸い実が取られただけで茎や葉は無事だったメロンは、すぐに花を咲かせて巨大な実をつけた。

「こいつはすごいな。畑も元に戻ったし俺からはなにも文句はないぜ。クエスト達成ありがとよ。」

「本当に植物を操れるのでござるな。これなら伝説の木遁使いになるのも夢じゃないでござる。」

「伝説って?」

「ああ!」

「忍者の里で木遁を使えるのは頭領だけだからな。アカネが木遁を使いこなすようになったらみんなびっくりするぞ。」

「頭領が何者か知らないけど、植物を操ることができる奴は珍しいな。」

「若干マッチポンプみたいな感じだけど、これならクエスト達成報酬を受け取ってもいいかな?」

「さっきも言った通り俺は構わないぜ。また何かあったら頼むから、その時はよろしくな。」

「はい、またよろしくお願いします。」


 畑の被害も回復することができたので、心置きなくクエスト達成報告をしよう。アカネの兄弟子であるアライグマのオスカルともここで別れて、アルゴノーツはホームへと帰還した。

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