アルゴノーツ始動
ミッドガルドから旅立つにあたって、冒険者ギルド本部に立ち寄った。関連クエストがあれば受ける事と旅の道程の打ち合わせのためだ。まずはユグドラシルに会いに行き、その後ドワーフの国ニザヴェリルへと向かうのだが私はもちろんどちらも行き方を知らない。
「ニザヴェリルへの道中で受けられそうなクエストは確認した限りではないな。」
「お金に関しては急を要するものじゃないしおいおいでいいかな。まずはユグドラシルに会いに行くわけだけど、どこに居るの?」
「昨日猪を追い返した西の森からさらに西に進み、山のふもとの樹海に生えているぞ。深い森林地帯を抜けていくから馬車のような乗り物は使えないし歩いていくしかないだろうな。」
「私たちの足だとどのくらいかかるのかな?」
「マキの足に合わせるとして3日くらいだな。」
「結構かかるね。私たちかなり軽装だけど野宿するなら何か必要なものはあるかな?」
「食料に関しては森に果物やキノコなどがたくさんあるから道中散策しながら進もう。食べられる動物もいるし川魚もいる。飲み水は魔法で出せるし火も起こせるから特別道具は必要ないな。調理に関しては吾輩に任せてくれ。」
「フィオは大きめのリュックを担いでいるけど調理道具が入っているの?」
「鍋とフライパンがあるぞ。調理と言っても魔法でほとんど済ませるからこれで事足りるのだ。あとは緊急用の保存食くらいだな。豊かな森の散策なんてロシアの冬の行軍に比べれば近所の散歩と変わらんさ。」
「野営なら拙者が即席のテントを森の枝葉から作れるでござるよ。忍者の必須技術でござる。こちらも道具は要らないでござるな。」
「それなら寝食に関しては特に準備しなくても問題ないのかな?」
「あの森には君たちに危害を加えられるような危険な生物はいないと思うけど一応気を付けてねー。」
「ユグドラシルを切り倒そうとしている人間の噂も少し気になるな。こんなところに出向いてくる人間なら転生者だろうし探してみるか。私が吸血鬼だと分かったら挑んでくるかもしれないけど。」
「拙者はこの世界の人間に会ったことはないでござるがあまりいい噂は聞かないでござるからな―。転生者は強いのでござるか?」
「強さはギフト次第だけど、エルフに単独で勝てるような能力は人間では持てないな。種族としての自力が違うからな。」
転生者は魔王を倒すために活動するらしいけど、そんなに強くないのかな?転生ポイントがどうこうって女神の手紙に書いてあったし適当に最強の勇者は作れないのかもしれない。なんでポイント制なんだろう?そしてだれがポイントの採点してるんだろう?女神が勝手にキャラメイクしたような状態で私は産み出されたけれど、他の転生者も同じなのかな?
「ユグドラシルに挨拶を済ませたら、ニザヴェリルへはどうやって行くの?」
「交流のある国の位置なら私が分かるからそこからは案内するよー。」
「私も昔行ったことがあるからだいたいの位置はわかるし問題ないぞ。」
「特に準備は要らなさそうだし出発しようか。」
私とミカは食べたり寝たりしなくても平気だし、フィオとアカネもサバイバルが得意なようだから特に心配する必要は無さそうだ。ユグドラシルを狙っているという人間の転生者は気になるけど、私も同じ転生者だし話し合いで止められればいいけれど。そんなに気にならないけどついでに神や魔王についての話も聞けるかな?
「出発するのかい?気を付けてね。」
「はい行ってきます。」
ギルド長のレオに挨拶をしてギルドを後にした。
王都の門を出る際にはギルドカードを提示すれば手続きが楽になる。持ち物検査はあるけれど商人や観光客とは別ルートで審査されるので待ち時間は無く手間も少ない。これだけでも冒険者ギルドに登録する価値があるな。私たちは持ち物も少なかったのですぐに審査は終わり出国することができた。
「アルゴノーツの最初の冒険でござるな。」
「冒険ってほど危ないことはしないと思うけどね。」
「こういうのは雰囲気が大事でござるよ。」
「吾輩も冒険は嫌いではないぞ。北欧神話やヴァイキングにあこがれていたことがあるからな。ユグドラシルも北欧神話に出てくるものであるし、幼いころのワクワクを思い出してしまうな。」
「私たちの戦いはこれからだ。」
「打ち切り漫画かな?」
こうして冒険者パーティアルゴノーツはミッドガルドに別れを告げ、新しい目的地へと旅立った。最初はミカと二人だけの当てのない観光旅行のはずだったが、いくつか目的もできてアカネとフィオ、そしてミミルという仲間もできた。わからない事も多いし旅行のついでに解明していけるといいな。
エルフの王国ミッドガルド編終了




