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ヴァンパイアとパンダ  作者: 怪獣大熊猫
エルフの国ミッドガルド
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冒険者ギルド

 フィオのお母さんでもあるエルフの女王サラに旅に出る報告を済ませ、次はお父さんの方に報告に行く。

「フィオのお父さんは何をしているの?」

「冒険者ギルドの長をやっている。若いころに冒険していた経験を生かしているようだな。我々は冒険者登録を行うつもりだったので一石二鳥だな。」

「へー。ギルドって国際的な組織みたいだけど、どうやって管理してるの?」

「図書館のノルンの機能で各国のギルドとデータを共有している。各ギルドには簡易な情報端末が設置されており、そこで冒険者登録やクエスト依頼および受注を管理しているのだ。」

「ミミルが図書館のデータ更新に必要って聞いたけど、冒険者たちに情報を集めてもらうことはできないのかな?」

「冒険者たちからもある程度クエストに関する情報は集まるけど、客観的な情報は得にくいんだー。自分たちの国の事に関してはあんまり話してくれないし、意識していない生活習慣とか常識は見てみないと分からないからねー。更新するのは私・・・というかヨツンだしー。」

「拙者は和の国出身でござるが、自分の国のこととはいえわからないことも多いでござるな―。」

 とにかく自分の目で確かめてみろということらしい。別にミミルの同行が嫌なわけではないので、これ以上追求しなくてもいいか。


 商業エリアの中ほどにある冒険者ギルド本部に到着した。本部というくらいだからここが各ギルドの総本山的な場所なのだろう。貨幣経済を用いないエルフがなぜ元締めのような役割を担っているのだろうか。

「早速中に入るぞ。」

「おー。」

「のりこめー。」


 冒険者ギルドに入ると冒険者らしきいでたちの人たちが並べられたテーブルに座って談笑している。グループに分かれているようだが種族間に垣根はないようで、いろんな種族が交じり合って話をしている。まるで酒場のような雰囲気だ。

「おやフィオじゃないか?どうしたんだいこんなところに?」

 カウンターに居たダンディーなおじさんが話しかけてきた。

「おはようございます父上。既に母上にも報告してきたのですが、吾輩は彼女らと旅に出ることにしたので報告に参りました。」

「おはよう。フィオも旅に出るような年ごろか。私はフィオの父でギルド長をしているレオだ。みんなよろしくね。」

「パンダのマキです。よろしくお願いします。」

「忍者のアカネでござるー。」

「私は森の賢者のミカだ。いちいちつっこまなくていいぞレオ。私はマキの友達で同行しているだけだ。」

 ミカは会う人会う人に毎回何しに来たのか聞かれるのが嫌なようで先手を打った。


「ああ、そういうことならつっこまないよ。旅に出るということはここに来たのは冒険者登録をするためでもあるのかな?」

「はいそのつもりです。登録はどうやるんですか?」

「そうだね、通常は必要書類に記入して適性試験を受けて審査が通れば完了なんだが、エルフの個人データは収集済みだからフィオの審査は必要ないよ。アカネさんは忍者ということならライセンスを提示してくれればクリアだね。ミカさんはまあテストする意味がないからいいかな。あとはマキさんだけど。」

 個人データが収集済みってなんか危険な言葉だけどこの国では問題ないのだろう。


「マキは転生者で身寄りもないので身辺調査に意味はないです。吾輩とミカが同志として危険な存在ではないと保証します。」

「マキさんは転生者なのかい?賢者が認めているなら身の上に関しては問題ないけれど、冒険者は危険が伴う職業だけど大丈夫なのかい?」

「戦えないですけど不死身なので危険なことに関しては大丈夫だと思います。」

「戦えないのはあんまり大丈夫じゃないけど、パーティ単位で見れば問題ないかな。それじゃあ全員登録するから書類に必要事項を記入してね。」

 厳しい審査と言っていたが、すごくあっさり終わってしまった。ミカの威光を借りているようで少し気後れするが、そうでもしないと身寄りもなく戦えない私が冒険者登録することは難しいのだろう。


 登録書類には名前、種族、年齢、出身地などの個人情報と特技を記入する欄がある。通常は身体能力や戦闘能力を測るテストもあるようだが、免除されたので今回はなしだ。4人とも書類に手早く記入して提出した。

「私ができることって全部ミカができることなんだよね。もとはと言えばミカの能力コピーしただけだから当然だけど。」

「そんなことないぞ。私はマキの世界の話は詳しく知らないし、毛皮がモフモフもしていない。誰かを背中に乗せて歩くこともできないぞ。」

「それもそうだね。私意外といいところあるな。」

 ネガティブになってもしょうがないので、できることをやろう。たとえミカが強くなくても私は友達になったと思うし、利用価値があるから友達になるわけじゃないんだ。


 書類を提出し数十分ほど待っていると審査を終えたレオが戻ってきた。

「審査が終わったからギルドカードを配るね。」

 ギルドカードは車の免許証のようなカードだ。情報端末にかざすとノルンと接続してクエストの受注ができるらしい。魔法が苦手で端末を操作できない人でも受付の人が対応してくれるようだ。魔法がまったく使えない人はそうそう居ないらしいが。


「試しに何かクエストを受けてみるか?」

「そうだね。旅行の資金も作らないといけないし。」

「拙者は体を動かす任務がいいでござるな―。」

「私はなんでもいいぞ。」

「ハラショー。それでは一番難しいクエストをやってみるか。」

「いやいやいや。いきなり最高難易度とかさすがにダメでしょ。」

「そうか?それじゃあこの下位クエストでもやるか。ポチっと。」

「決めるの早いなフィオ。」

「個別の優先度はともかくとして誰かがやらねばならんのだ。困っている人は放っておけまい、すぐ行くぞ。それでは父上行ってまいります。」

「みんな頑張ってね。フィオをよろしく。」

「はい、行ってきます。」


 冒険者ギルドに登録して、さっそくクエストを受注した一行はギルドの酒場を飛び出していくのだった。

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