エルフの女王サラ
フィオに連れられて宮殿に戻ってきた。さっきまでいた文化エリアと冒険者ギルドのある商業エリアは隣接しているので、宮殿には戻らなくてもよいはずだがなぜだろうか。
「すまんがまずは吾輩の両親に旅に出ることを報告しに行くぞ。」
「あーそういうことか。一緒に行く私たちも挨拶した方がいいね。」
「娘さんは預かったでござる。」
「それじゃ誘拐犯みたいだよ。」
「それでは宮殿に入るぞ。」
フィオの両親は宮殿で働いているんだろうか?言われるがままに宮殿へと入っていく。
宮殿には守衛のような人はおらず、誰でも入ることができるようだ。宮殿と言ってもあまり大きなものではないようで、謁見の間が入口から直通になっていた。外面的なエルフの代表者という話だし、女王がここに住んでいるわけではないのだろう。外観は背の高い建物であったが二階などもない。目立つ形にしてランドマーク的な役割を担っているのかもしれない。
玉座では女王らしき人物が一人で本を読んでいた。女王はこちらに気づいたようで立ち上がり近づいてくる。
「あら―いらっしゃいフィオちゃん。ここに来るなんて珍しいわね。後ろの方たちはお友達かしら?」
「おはようございます母上。昨日知り合ったばかりですが同志です。」
「おはようでござる。」
「おはようございます。フィオのお母さんが女王なの?じゃあフィオはお姫様?」
「昨日も話したがこの国の王は世襲制ではないし、エルフの間に上下関係は基本的に存在しないのだ。」
「なんだか珍しいお客さん達ね。私はフィオの母で女王をやっているサラよ。よろしくね。」
「よろしくお願いします。パンダのマキです。」
「和の国から来た忍者のアカネでござる。」
「私はミカだ。」
「あらあら?森の賢者様がいるけれど、この国に何か御用かしら?」
「私はマキの友達で観光旅行の最中だ。別に何か用があってきたわけじゃないよ。」
「母上、本日は報告があってまいりました。吾輩は彼女らとともに旅に出ることにしました。」
「あらそうなの?気を付けてねー。」
「緩すぎるよサラちゃん。少しは心配してあげてよー。」
「ヨツンさんしばらく見ない間にかわいくなったわね。フィオちゃんならしっかりしてるから大丈夫よ。私もこのくらいの時にはパパと一緒に世界中冒険したものよ。大人のエルフはあまり迂闊なことはできないから、こどもの時だけの特権ね。」
エルフはこどもでも自立して自分の意思で行動することを尊重するため、たとえ我が子であろうとその意志に口出しはしない。しかし信頼しているだけで薄情というわけではないようだ。
「それでは母上、父上にも報告しに行きますのでこれで。」
「みなさんフィオちゃんをよろしくね。」
「はい、失礼します。」
「私も一緒に行くから旅の記録が見たかったら図書館においでよーサラちゃん。あと私はミミルだよー本物のヨツンは図書館に居るからねー。」
「あらそうなの?便利になったわねー。」
女王とは言っても普通のお母さんのようだ。外交とかできてるんだろうかと少し心配になったが、適任者がなっているという話なので大丈夫なんだろう。
私たちはフィオに続いて宮殿を後にした。次はフィオのお父さんに会いに行くようだ。




