エルフの少女フィオ
王都に無事入国できたので早速ギルの妹フィオを探すことにする。アカネは用事があると言って別行動することになった。ギルの手紙に住所が書いてあるが見方が分からないので道案内はミカにお願いした。住所の見方を教えてもらいながら王都の町を歩く。ミカはまた私の背中に乗っている。自分ではわからないが乗り心地はいいんだろうか。
王都は中央に宮殿のようなものがあり、町並みはほとんど統一された建物で構成されている。レンガ造りだろうか、結構年季を感じる建物が多いがゴミ一つなく清掃が行き届いているようで美しい景観だ。最初の町に比べ人は多いが、みんな落ち着いていて静かだ。活気がないわけではないが慌てていないというか、都会の喧騒のようなものは聞こえてこない。
「なんか静かですねえ。」
「ここは居住エリアでほとんどエルフしかいないからな。」
「エルフばっかりだと静かになるの?」
「もともと穏やかな性格のやつが多いのもあるけどエルフは長命だからな、見た目以上に歳食ってるんだ。」
「なるほど。」
お年寄りがみんな静かなわけじゃない気がするが、精神年齢が高いってことだろうか。
しばらく歩いて手紙の住所の家に到着した。呼び鈴を鳴らすとトントンと階段を駆け降りるような音が聞こえてから玄関のドアが開いた。現れたのはミカより少し背が小さくて長い銀髪に碧眼のエルフだ。エルフはみんな端正な顔立ちをしていたが子供もかわいいな。
「こんにちはー。フィオさんですか?」
「ズドラーストヴィチェ。いかにも吾輩がフィオであるが、なぜパンダがこの世界にいるのだ?」
「(なぜロシア語?)フィオさんはパンダを知っているの?」
「吾輩はいわゆる前世の記憶持ちであるからな。それでパンダが吾輩になにか用があるのか?」
「ギルさんから手紙を預かってきました。」
ミカがポーチから手紙を取り出してフィオに渡す。
「兄上からか!内容を確認したいのだが少々時間をもらってもよいか?」
「いいですよー。」
尊大なしゃべり方をする少女だが、前世の記憶があると性格にも影響が出るんだろうか。アカネのござる口調は違うと思うが。そういえば妹は少し変わっていると別れ際にギルが言っていたな。
手紙を読み終えてフィオがこちらに向き直る。
「まずは自己紹介しようか。既に知っているようだが吾輩はフィオである。二人はギル兄・・・いや、兄とも知り合いのようだな。私のことはフィオと呼んでくれ。」
「私はパンダのマキです。」
「私はミカだ。」
「実際会うのは初めてだが貴女が例の森の・・・。想像していたより小さいな。」
「お前の方が小さいじゃないか。」
「ハッハッハ、それでそちらのパンダはマキと言ったか。言葉を話せるようだが何者だ?」
「話すと長くなるんだけど・・・。」
「エルフなら知っていると思うけどマキは転生者だよ。」
「ほぉ・・・転生者ということは人の神の刺客か。かつて人以外にも魔物や魔人、果てはドラゴンへの転生者も居たと本に書かれていたが、動物になる場合もあるのか。」
「マキは観光旅行してるだけで人の神とは関係ないけどね。」
私の言葉をさえぎってミカが簡単に事情を説明してくれた。女神と無関係というわけではないが、細かく話しても仕方のない事だしいいか。アカネの時はほとんど黙っていたがエルフ相手だとよくしゃべるんだなミカ。
「兄からの手紙は貴女らの王都観光に付き添うようにとの言伝だったのだが、それで構わないかね?」
「現地の人に案内してもらえるなら私は嬉しいけど、ミカもそれでいい?」
「いいよー。」
「それではよろしくお願いします。今は別行動していますがもう一人仲間がいるので合流したら紹介しますね。」
「兄の友人ならば吾輩にとっても同じこと、かしこまった言葉遣いは不要だ。」
「わかったよ、よろしくフィオ。」
おかしな口調のエルフの少女フィオ。彼女の記憶についてもいろいろ聞いてみたいが、まずはアカネと合流しよう。




