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ヴァンパイアとパンダ  作者: 怪獣大熊猫
動き出す世界
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ニザヴェリルの観光 その1~歴史とか~

 郊外での用事を済ませた一行は、街の観光のため大通りへと戻ってきた。

 街中は昼の間は人通りが少なく、交易商の馬車がたまに抜けていく程度で静かなものだ。


 街の中心である職人ギルドまで来ると、エルは振り返って質問した。

「今から観光を始めるけど、何か見たいものとか場所の傾向はある?」

「私は特別何が見たいって事は無いけど、この街独自の物ならなんでも見てみたいな。」

「吾輩もそんな感じだな。この街の習慣や文化が分かるなら、どんなものでも興味があるぞ。」

「拙者は強い人に会いたいでござるな。」

「私は細かくいろいろなところを見て回って欲しいなー。」

 口々に要望を伝えるが、みんな具体的なものではなくざっくりだな。

 続いてミカも口を開いた。

「私は一度この街を訪れているから大体の事は知ってるつもりだから、ここ最近にできた物を知りたいな。」

「そう言えばミカが以前この街に来たのって何年くらい前なの?」

「ほんの500年前くらいだぞ。」

「それはほんのとは言わないよ。」

「はっはっは。」

 ミカの時間間隔から言えば一瞬なのかもしれないが、500年も前の事を言っていたのか。それにしてはミカが知っている店が有ったり、食文化などにも変化が無いようだけど、この街は相当昔からほとんど変わっていないという事かな?


 全員の要望を聞いたところで仕切り直してエルが話し始める。

「観光案内すると言っても、この街にあるのは職人が経営するお店ばっかりなんだけどね。あとは温泉と火山くらいかな。」

「ミッドガルドもそうだったけど、寺院みたいなものは無いんだね。それと城跡とかも。マイン遺跡は城跡みたいなものだったけれど、ニザヴェリルとは関係ないんだよね?記録も残ってなかった様だし、ワイ子達の話によるとワイト族の物だったみたいだし。」

「うん、順番に説明するね。。まず寺院についてだけど、この国には宗教が無いからそう言った施設は無いね。」

「そうなの?ソールの話はほとんど北欧神話に近い話みたいだけど、信仰しているわけではないの?」

「ソールは実在した勇者だから信仰とは違うかな。ミョルニルとかグングニルの事は神器と呼んでいるけど、作ったのはドワーフだから別に神が関わっているわけではないしね。ドワーフが言うところの神器は、特殊な素材を用いた超すごい武器とか防具って意味でしかないね。」

「怪物を倒したり神器を使ったりって聞くと、日本神話で言うスサノオとかヤマトタケルみたいな存在なのかな?スサノオは神として描かれているけどヤマトタケルは実在の……あんまり関係ないしこの話はいいか。」

「日本にも神器が有るんだね。和の国にも有るのかな?」

 エルはアカネの方を向いて質問した。

「神社に保管されているって聞いたことが有るでござるよ。見たことは無いでござるけどね。」

「へー実在するんだね。和の国に行ったら見てみたいな。」

「神主というか管理人とは知り合いだから、見せてくれないか頼んでみるでござるよ。」

「うん、よろしくね。」

 神社があるって事は和の国には宗教が有るのか。気になるけれど、これ以上は話が脱線してしまうし、和の国の話は実際に訪れた時に聞こう。


「この国に宗教施設が無いのは分かったけど、城跡は無いの?」

「そうだね、城跡みたいな物も無いよ。この国は記録に残っている限り戦争が起きて無いみたいだからね。というか他国と敵対した事すらないから、防衛設備は作られていないみたいだよ。」

「そうなのか?記録が残っているというのは何年前の話だ?」

 フィオが質問した。

「記録が残っているのは1万2千年前までだね。それ以前には大戦が有ったって記録しかないから、詳しい事は分からないよ。」

「1万2千年前と言うとミッドガルドが建国したのと同じ頃だな。となるとその大戦は、アトラス神国含む旧文明の終末戦争の事だな。つまりニザヴェリルは旧文明の崩壊以前から存在していたのか。」

「正確な建国がいつかは記録が無いからなんとも言えないけど、ドワーフの共同体ができたのはもっとずっと前のはずだよ。それこそソールが生きていた時代には存在したはずだからね。」

 ミョルニルを作ったのがドワーフなんだから当然か。

「歴史が古いんだねー。この街もソールが生きていた時代からずっとあるのかな?」

「そうだねー細かいことは分からないけどね。」

 記録が無いのだからエルが分かるはずないか。ソールが生きていたのがどのくらい昔なのか分からないけど、大戦より前なのは確かなんだな。

「ミカは何か知ってる?ソールにも会った事が有るんだよね?」

「前にも言ったけど、ユグドラシルのところでちょっと見たくらいだからソールの事はよく知らないぞ。ユグドラシルにまた会いに行く予定だし、その時に聞いたらいいんじゃないか?」

「それもそうだね。話だけしているのもなんだし、街の観光を始めようか。」 

 エルが仕切り直して、実際に街の観光を始める事にした。


 街から離れた港に造船所があると以前聞いたので、そっちにも興味があるんだけれど、今回は街の中の観光に絞ろう。あとの予定が詰まっているから、それほど悠長に観光していられないからな。

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