忍者アカネ
役場で借りた民家へと向かう。誰も使っていないのなら汚れているだろうしギルの言う通り掃除しなくてはならないだろう。なぜか役場からずっとミカが黙っているので話しかけてみる。
「どうしたの?」
「仲良さそうに話してたから、マキはエルフが好きなのかなーと思って。」
「え?普通に話していただけだよ。」
「ふーん。」
よくわからないが元気になったようなのでまあいいか。
そうこうしていると町はずれの民家に到着する。木造の平屋で外から見る限り意外ときれいなようだ。
「早速入ってみよう。」
「はいよー。」
ミカがポーチから鍵を取り出し、玄関を開けようとしたが鍵は掛かっていなかった。閉め忘れかなと訝しみながらも家にあがる。
家の中に入ると室内にはほこりもなくきれいだった。空き家だし泥棒ではないと思うが明らかに人のいた痕跡がある。ふとミカの方を見るとなぜか天井を見つめている。
「妙だなこの家、人が住んでいない割にきれいすぎる・・・って何見てるの?」
「ん?なんか張り付いてるから何してるのかなと思って。」
「え?」
天井に目をやると、黒装束に身を包み赤いスカーフを巻いたケモ耳の少女が居た。
「うわ!あからさまに忍者だ。」
「やはり忍者か。和の国にいっぱいいたな。」
「いっぱいいるのか忍者。」
襲ってくる様子もないので談笑していると忍者が天井から降りてきた。
「なぜパンダがいるでござる?なんかしゃべってるし。」
「パンダを知ってるの?」
「前世の記憶って奴でござるな。二人は何者でござる?」
「私はマキです。」
「人に名前を聞くときは自分から名乗れよ。私は吸血鬼のミカだ。」
「失礼したでござる。拙者は和の国の忍者アカネでござる。」
「忍者が名乗ってもいいの?」
「まだ修行中でフリーだから問題ないでござる。」
「ところでミカ殿はなぜ拙者に気づいたでござる?」
「匂いと魔力でバレバレだったぞ。」
「気配は隠していたはずでござるが、見かけによらずかなりの強者のようでござるな。」
「見た目に関してはアカネさんも同じくらいの体格だけど。」
「拙者はこれでも忍者でござるからして。」
忍者なら仕方ないな。
アカネは少しの間押し黙っていたが、おもむろに腰に差した忍者刀を抜いて構える。
「手合わせ願うでござる!やー!」
言うと同時にミカに襲い掛かる。露骨なアンブッシュだったがミカは軽々と片手で刀をキャッチする。アカネは掴まれた刀を捨てて再び天井へ飛び上がる。
「お見事でござる!しかしこれならどうだ!?手裏剣!」
いちいち叫ばないと使えないんだろうか。天井から複数の手裏剣を同時に投げつける。しかしまたしても片手ですべてキャッチされてしまう。
しばしの静寂を挟みアカネが天井から降りてくる。
「なぜ反撃してこないでござる?」
「必要ないからね。」
「むむむ・・・まるで相手にならないということでござるか。拙者もまだ全力ではないでござるが、実力差は明白でござるな。」
あっけにとられていたが我に返って抗議する。
「いきなり攻撃するなんてひどいじゃないか。」
「峰打ちでござる。実際安全でござるよ。」
「手裏剣の峰ってどこだろう。」
アカネは意を決したようにミカに詰め寄る。
「師匠!」
「え?なんで師匠?」
「拙者もっと強くなりたいのでござる!弟子にして欲しいでござる!」
「やだよめんどくさい。」
なんかデジャブだけど私の時とちょっと対応が違うな。
「後生でござるー。弟子にしてくれるまで離れないでござるー。」
「帰れ。」
「ちなみにお二人はどういった関係でござる?」
「変わり身早いな忍者だけに。ミカとはまだ会ったばかりだけど友達だよ。」
「ではマキ殿も強いのでござるか?」
「野生のパンダくらいの強さだよ。」
「ふむ、なるほど・・・。」
アカネは何か思いついたようでニヤリと笑った。
「マキ殿に忍術を教えるから一緒に連れて行って欲しいでござる。」
「忍術か、いいね!」
「マキがいいなら私はそれでいいよ。」
そんなこんなで亜人の忍者アカネが仲間に加わった。




