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ヴァンパイアとパンダ  作者: 怪獣大熊猫
エルフの国ミッドガルド
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旅立ち

吸血鬼ヴァンパイアの少女と友達になったので異世界旅行することにした。

魔王なんて知らん私の管轄外だ。

 目を覚ますとミカが朝食の準備をしていた。森に一人で住んでいるみたいだから当たり前だがなんでもできるなこの子。寝間着から着替えて昨日と同じくミニエプロン姿になっていた。


 起き上がった私に気づいてミカが料理の手を止めたので挨拶する。

「おはよう。なにか手伝おうか?」

「おはよう!すぐできるから顔洗っておいで。」

 お母さんか。手伝おうかとは言ったがパンダの手では難しいことはあまりできないので、素直に顔を洗うことにする。パンダだからといろいろ諦めていることに気づき、ミカに頼りっぱなしなことに少し後ろめたさを感じた。自分に何ができるのかは今後の課題としよう。


 顔を洗って戻るとすでに料理はテーブルに並べられていた。考えてみれば昨日は何も食べていないがお腹はすいていない。ミカも同様に何も食べていなかったようだが食事は必要なのだろうか?

「昨日は何も食べなかったけどもしかしてミカは食事必要ないの?」

「別に食べなくても平気だけど食事は娯楽だよ。一緒に食べよう。」

「うん、ありがとう。」

 なるほど娯楽か。不老不死だから極論なにもしなくても死なないのだろうがそれでは路傍の石と変わらない。哲学めいたことを考えながらテーブルについた。


「「いただきます。」」

 挨拶は重要である。日本の文化が普通に通用しているのは日本からの転生者が多いと言っていたので気にしないでおこう。

 スプーンは握れるので慣れない手つきで掴み食事を始めた。メニューは野菜と肉の入った赤いスープ、焼きたてのパンとバターのようなもの、それと何かの乳だ。家庭菜園が有ったので野菜はわかるが肉と乳はどこからとってきたのだろう?

「うんおいしい。パンダって笹とか竹食べてるイメージしかないけどなんでも食べられるのかな?」

「不死身だしダメでも大丈夫なんじゃない?」

「でもそれって根本的な解決にはなってないですよね。まあ問題ないならいいか。」


「ところでどこに行くか決めた?」

「特に決めていないけどどこかいいところはあるの?」

「最近私もあまり森から出ないけど昔行った和の国はいいところだったよ。日本からの転生者が多く集まってる島だけどあそこは独特だね。近場ならエルフの国ミッドガルドがあるよ。」

「日本異世界侵食しすぎだろ。エルフってやっぱりみんな美男美女だったりするの?」

「私には人間の美醜の感覚はよくわからないけどそうみたいだね。」

「よし、目的のある旅でもないし近くから行こうか。エルフ見てみたいし。」


 とりあえずの目的地が決まったところでちょうど食事を終える。

「ごちそうさまでした。」

「お粗末様でした。」

 食器の後片付けを手伝うことにする。ものを運ぶのは慎重にやればできるとわかった。食器を洗うのも頑張ればできなくもない。ミカが魔法でパパっと洗ったので必要なかったが。


「それじゃあ旅の準備をしようか。私は文字通り裸一貫荷物もないからいいけど、家はどうするの?」

「ここに来る命知らずは居ないし特別に準備は必要ないよ。着替えを少し持っていくだけかな。」

 命知らず?時々不穏なのはジョークなのか本気なのか判断に迷うところだ。


 ミカは手早くポーチ一つに荷物をまとめて腰に巻いた。

「それじゃあ出発しようか。」

「行くぞー。」

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