「魔法の世界」「人と科学の世界」
しばらくパンダにできることを考えているとミカがハーブティーを淹れてくれた。パンダの手ではカップが持てないみたいなので、行儀が悪いがテーブルに置いたままで飲む。
ティーセットは陶器製で近代的な意匠が施されている。家がログハウスなことも気になったが、室内を見渡すと家具や食器も近代的に思える。この世界は元の世界とどういった関係なんだろう。
「この世界と元の世界はどんな関係なの?家とか食器とか見慣れたものだし文字も読めるけど。」
「家にあるものは全部私が作ったものだから参考にならないと思うけれど。文字に関しては私が読めるものはマキも読めるんじゃないかな。・・・二つの世界の関係はおとぎ話になってるから話してあげるよ。」
そう言うとミカは本棚から一冊本を取り出して読み始めた。
”魔法の世界と科学の世界
むかーし昔、この世界がまだ産まれるより前のお話。7人の神様が居ました。
7人の姿は人、亜人、魔族、獣、鳥、魚、虫のようでした。
ある日人の神が7人で世界を作ろうと言い出しました。暇だったので残り6人は了承しました。
人の神は自分が管理する世界を「人と科学の世界」として、人間だけを特別扱いしました。
亜人の神は「魔法の世界」として、どんな生き物も平等に扱いました。
残り5人は面倒だからいいと言って自分の世界は作りませんでした。
そして神々は世界を作った後で二つの世界を繋げることにしました。
その一つの形が転生者です。”
「つまり言い換えるとどういうこと?」
「記憶を持った転生者によって知識や技術はお互いの世界に持ち込まれてるってこと。魔法でできることをあえて科学技術で何とかしようとする奴はあまりいないから技術的には劣ってるだろうけどね。」
科学の世界のファンタジー系創作は魔法の世界がベースだから似たようなものが多いのか。流行に乗ってパクってるわけじゃなかったんだな。
「転生者ってみんな私みたいにあの女神に送り込まれるの?」
「転生者には二種類いて神がもう一方の世界に干渉するために送り込む場合と、強烈な個性を持った奴が自力で記憶を持ち込む場合があるね。マキは一応前者になるのかな。なぜか国によって転生者になる割合が違っていて日本が特に多いね。」
「日本未来に生きてるな。」




