第八話 黒猫のはなし
あれから、店長、もといアンナさんとはとても仲良くなった、少しの間、おしゃべりをしたり、私が知っているおいしい飲食店を回った、アンナさんの食欲では私についていけなかったので、途中からは、いっっしょにモンスター討伐に行った。
そこまででわかった事は、まずアンナさんは少食で性格はやんちゃな子みたいだった、年齢も13歳で身長は少し私より高いくらいだ。
他にも話を聞いてみると、最初に私を見たときに、同年代なんだと思っていたらしい、本当の年齢を言ってやると、ものすごく驚いていた。 もちろんイラっときたので、お馴染みアイアンクローをプレゼントしてやった。
っふ、このSTR値なら同身長の子を持ち上げるなんてちょちょいのチョイだったは。 グスン(涙)
そんな事は置いておいて、討伐に行ったときの私の戦い方には驚いていた、串が使えなくなった私の戦闘スタイルは、近づいてきた相手にパンチを食らわせるだけだ。
それもSTR極振りなので、もちろんワンパンだった。
そしてもちろん、私のスピードの遅さにも驚いていた。
店長兼鍛冶師のアンナだが、一様、戦えるらしい。
その、戦闘場面を見たところ、自分で打った、呪われた長剣で相手を屠っていた。(東の森)
その長剣は鍛冶師しか持てず、性能もイマイチなので販売はできないらしい。
販売出来るだけの性能でも、誰も買わないと思うが。
二人での討伐も終わり、『呪いの武具店』に帰ってきた。
「あんな強いんだったら、明日のイベントも優勝できるかもね。」
アンナが突然そんな事を言ってきた、私は明日のイベントなど聞いたこともないんだが。
もしかして、あれか最初にロスタスさんが言ってた。
どうしようか、内藤は全く知らないし、どうせなら参加して優勝もしたい。
「明日のイベントの内容教えて!」
「もしかして!知らなかったの!」
こくり
頷いた瞬間アンナが呆れたような顔をしたが、気のせいだろう。……多分
だってそんな事どこにいても聞かなかったしお知らせの通知なんて送られてこなかったし、多分。
もちろんクノにも、通知は送られてくたがクノが通知を読まずに削除してしまっただけであった。
「えーと明日のイベントは、最初に十人までの絞込みのためバトルロワイヤルで残り参加者十人になったら、トーナメント戦になる、簡単なイベント。 わかった?」
「うっうん、ありがとう」
とても、めんどくさそうだなー、と思ったのは多分きのせいだ。
にしても、私は串の遠距離攻撃ができなくなったので、魔術師や弓師にぼこぼこにされそうだ。
「ないと思うけど、壊れない串を永延に出せるアイテムってない?」
「………あるよ」
「えっ。……それ売って!」
まさか本当にあるとは思わなかったので、つい大声がでてしまった。
にしても、あるのは嬉しいがなぜそんな物があるのか、不思議だ。
しかし、「売って」と言ってからのアンナの表所が少しだけ、気になる、なんというか「またか」みたいな微妙な表情だ。
私はどうしていいか分からず、戸惑う。なんてこともなく、この時の対処法を知っている。
「これからも、ずっと友達だね」
「えっ、うん」
私の答えに、いままで見せたなかでの最高の笑顔で応えてくれた。
なぜ、私がこういう時の対処法を知っていか、と聞かれればもちろん、私にもこういう時があったからだ。
アンナと同じ中二の頃になぜか、私に親しく接してくる子がいました。その子はもちろん私なんかと本気で友達になるわけではなく、一時的な宿題処理係として、扱いたかったみたいです。もちろんこの情報は私が、
脅した―ゲフンゲフン 優しく聞いたら、教えてくれました。
そんな、わけで゛ずっと友達゛みたいなニュアンスを含んだ言葉なら、喜んでくれるのです。
あっ、もちろん、普通に友達として思っているよ。中二の時に私に近寄ってきたあいつらとは違うのです。
えっへん。
そんなくだらない事を考えているとアンナが変な服を持ってきた。
「これが、壊れない串を永延に出せる黒猫の着ぐるみです! 頭の部分は被るやつじゃなくて、帽子タイプですちなみに私が作ったのです」
そう言って、着ぐるみを広げて全体像が見えるようにしてドヤ顔でこちたを見ている。
私はそれを見て、悟った。
「面白い 冗談だなー」
「マジです」
いやいやいや、そんな真剣な目で見られても、流石に攻撃手段が増えるのはありがたいが、こんな恥ずかしい格好で外に出てみろ、日本中の笑いものになってしまう。
「そんなに嫌そうな顔しないでください。大丈夫です、他にもSTR上昇やいろいろな特典がついているんですから。」
いや、そんな事言われても、性能じゃなくて見た目が嫌なんだが、どうしたら優しく断れるだろうか。
私は生まれて始めて脳をフル回転させて、答えを導き出す。
考え込んで、やっと結論が出たのでゆっくりとアンナの方を見る。
そして、私が考えた、優しく断れる言い分を口にする。
「やっぱりそんな高性能な、ふ、く、は えっ!」
「これが私の必殺技、強制試着なのです!」
そう私はいつの間にか、黒猫の着ぐるみを着ていたのだ。