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たばこのワルツ

作者: 松野雪濯

肌寒い夜のなかで、

たばこを深くからだにいれる。

ため息で抜けた心の穴を

なんとか埋めてしまわぬように。


重くのしかかる布団のしたで、

たばこを深くからだにいれる。

吐いた感触とにおいとを

なんとか忘れてしまわぬように。


たばこの煙は月明かりに照らされ

かたちなきかたちをとりながら

ひとりでワルツを踊っている。


いっしょに踊りませんか


そう誘われたけれど

手を取ろうとすると

笑いながら遠くにいってしまった。



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