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遺書めいた物を書く前に  作者: かのひ
2/12

過去を振り返る

過去の自分を想い『穴があったら入りたい』という気持ちを理解してしまった。


脳内に漏れなく付いていると噂の、思い出補正が機能すれば『黒歴史』が『若気の至り』に進化するはずだが、私の凹な精神にはそんな便利機能は付いていないらしい。過去の出来事をこねくり回し、何度も何度も何度も延々延々延々…同じ映像を思い出し続けるのは、とてもとてもトテモとってもとてもスっごく凄くスゴーく辛い。


錯乱した私には、長編漫画や乙女な小説に必ず登場する『記憶喪失設定』になるべく、広大な草原を坂道を転がる勢いで回転しまくる山荒の幻覚まで見えているのに、過去の過ちは消えてはくれない。


皆が声を揃えて呼んだ私の2つ名『忘却の王』は何処へ行ってしまったのだろう?



物心ついた時から「オマエハコンナコ事モ覚エラレナイノカ」と言われ続けたおかげで、有難いことに『ソンナ事もコンナコトも覚えられない馬鹿』だという自覚が、幼い頃から私にはちゃんとあった。



だから、彼らが言い続ける罵りや嘲りの言葉が、私を奮起させる為の罵倒だったと分かったとき、腹がたつより『何がやりたいんだろうこの人達は?』としか思わなかった。


馬鹿でノロマで、他人に迷惑しかかけない出来損ないの私に、何をやらせたいんだろう?


馬鹿でノロマで側迷惑な存在の私が、何かの役に立つわけがないのに、この人達は何がしたいんだろう?



全否定して逃げ道を塞いだのなら、いっそばっさりと切り捨ててくれればよかったのに。


『絶食させ、飢えて乾いたところで餌を与えるのは卑怯だ』と思うのはワガママだったのだろうか?





結果的にそうやって成長した私は、罵られる事で安心し、褒められると不安になる妙な属性を抱えて大人になってしまった。


『こんな属性、穴を掘って二度と戻ってこない彼方に捨て去ってしまいたい』と考える程度に『常識を持った大人に』なったのは、喜ばしいのかもしれない。


しかし…常識があっても、捨て去りたいこの思考は穴に埋められないのだ。



誰かお願いだ、私を漫画の王道『記憶喪失』にしてくれないだろうか。

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